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ブックマーク / brevis.exblog.jp (19)

  • 工場計画論(3) 製品をどこに置くか | タイム・コンサルタントの日誌から

    製造業とは、『ものづくり』をビジネスとする企業である。たいていの人は、そう信じている。そして、“ものづくりこそ日の産業の真髄だ”、“製造業よ甦れ”みたいなスローガンがこの10年来、叫ばれてきた。日経済が再び成長力を取り戻すには、やはりものづくりの生産性を上げることが重要だ、そんな主張を経済通から聞くことも多い。 でも、はたして当なのだろうか。知人の経営コンサルタントから来た年初の挨拶メールの中に、「商社化しつつある日の製造業を・・」という興味深い表現があった。たしかに、この10年間で、日の製造業の姿は(その看板や見かけとは違い)ずいぶん変化してしまったと感じることがある。 その変化は、製品在庫をどこに置くか、という問題に端的に表れている。一般消費財を例に取ろうか。たとえば、あなたが衣料品を通販で注文するとする。その製品は、どこから送られてくると思われるだろうか? 多くの場合、静岡

    工場計画論(3) 製品をどこに置くか | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 時間のムダとり--スケジュールのサバを切り捨てる | タイム・コンサルタントの日誌から

    締切(納期)のある仕事をする時には、できるだけ早く着手するべきか、あるいはぎりぎり間に合うタイミング(ジャスト・イン・タイム)に着手するのが正しいのか。その答えは、スケジューリングが何を主目標とするかによって違う、と前回書いた。もし顧客が納期遅れを嫌うのみならず、予定より早く納品されることも好まないような場合、あるいは、自社内の仕掛在庫や作りすぎのムダを極小化したい場合は、ギリギリのタイミングで作るのが正しい。しかし、早く出荷すればするほど競争に有利な場合や、成果物が情報のように保管場所をとらず材料の仕入れも無い場合などは、最早着手が望ましい、ということになる。つまり、ケース・バイ・ケースなのである。 「正しい答えはどれか?」という問いをビジネスで出された場合、あわてて答えを出さずに、まず、“正しいとは、誰にとって(あるいは、どのモノサシにとって)の話だろうか?”と逆に自問すべきである。私

    時間のムダとり--スケジュールのサバを切り捨てる | タイム・コンサルタントの日誌から
  • ブルウィップ効果とは何か | タイム・コンサルタントの日誌から

    どちらを向いても不景気な話が昨今多く聞かれる。日の2008年第4四半期GDP成長率はマイナス12.1%(年率換算)で、'74年の石油ショック以来の落ち込みだ、とか、この半年間に非正規雇用者は数万人規模で首切りが進んでいる、とか、株価低迷で5,000円台への落下も杞憂ではない、といった話だ。いずれも昨年秋の米国発金融危機以降のニュースである。 また、個別業界を見ても、1月の工作機械受注はなんと84.4%減だ、とか、電子部品業界は設備投資がまったく止まった、とか、建設機械の受注もぱったりだ、とか、日の産業の牽引役とされる自動車や電機産業以外でも、異変が立て続けに起こっているようである。わがエンジニアリング業界も、今期の受注はまことに厳しい。 こうした話題は、それぞれは、真実だろう。しかし、その反面、「はてな?」と首をかしげたくなることも少なくない。たとえば、日のGDP成長率であるが、なぜ

    ブルウィップ効果とは何か | タイム・コンサルタントの日誌から
    dodolaby
    dodolaby 2009/10/07
    今やブルウィップ効果のハウリング現象で、自分自身にはね返ってきている。局所最適が全体不良を引き起こす、囚人のジレンマの典型
  • 計画の二重帳簿はなぜ発生するか - 目標、計画、ターゲット(2) | タイム・コンサルタントの日誌から

    休みをとって、愛媛から四架橋を通って広島まで抜ける旅行をした。のんびり鉄道とバスを乗り継いでいったのだが、幸い天候に恵まれ、とくに瀬戸内の風光の美しさには感激した。青く穏やかな海の上に、大小の島が浮かび、新緑が陽光を浴びて静かに佇んでいる。さすが「しまなみ海道」と名付けられるだけあって、良い景色だった。高速バスだとあっという間に通り抜けるだけだが、それだけではもったいない場所だと思う。 この四架橋ルートは複数の異なる構造の橋からなっていて、シビル・エンジニアリングの観点からも興味が尽きない。また、このルートを決める際のプロジェクト・マネジメントの苦労も十分想像できた。ただ、それにしても最後に広島空港に乗り継ぐまでが遠くて閉口した。あんな山の上にわざわざ空港を作るのは、まあ科学技術の勝利かもしれぬが、科学技術の無駄な勝利というのもあるのだな、というはなはだ失礼な感想をもった。 四架橋や

    計画の二重帳簿はなぜ発生するか - 目標、計画、ターゲット(2) | タイム・コンサルタントの日誌から
  • マネジメント、はじめの一歩 | タイム・コンサルタントの日誌から

    半年ぶりに、また大先輩のR先生とお会いした。ある会合で一緒になった後、マネジメント論などを話しながらしばらく帰り道を同行させていただいた。 --R先生。結局、マネジメントって何なんでしょう。 「いきなりずいぶん短兵急な質問だな。どうした、会社でも首になりそうなのか。」 --いや、その点は今のところ、たぶんまだ大丈夫だと思いますが・・。この間、会社で若手に『生産管理入門』の講義をやったんです。その時に出た質問がずっと頭に引っかかっていまして。 「マネジメントとは何か、とでも聞かれたのかい。それでうろたえるとは君らしくないな。ぜんぜん講義になってないじゃないか。」 --そうじゃないんです。マネジメントとはPlan-Do-Seeのサイクルを回すことで、生産管理という仕事は、生産システムについてそれを行うことだ、と説明しました。あ、『生産システム』というのは、工場の人や機械やからなる生産の「仕組み

    マネジメント、はじめの一歩 | タイム・コンサルタントの日誌から
  • データを情報に変える | タイム・コンサルタントの日誌から

    ここに一つの数表がある。最近の企業業績に関するデータをもとに作成したものの一部だ。類似した業種の会社7社を選んで、並べてある。 売上高 従業員数 粗付加価値額 付加価値生産性 労働装備率 -------------------------------------------------------------- 企業1  36,499 | 2,039 | 25,859 |  12.68   |   12.6 企業2 709,554 | 5,661 | 184,161 |  32.53  |   29.5 企業3  87,752 | 2,031  | 26,411 |  13.00   |   12.2 企業4 282,091 | 3,358  | 64,769 |  19.29   |   23.0 企業5 257,471 | 2,509  | 29,808 |  11.88   |   

    データを情報に変える | タイム・コンサルタントの日誌から
  • プロジェクト・コミュニケーションに必要な3つの能力 | タイム・コンサルタントの日誌から

    一般にプロジェクト・マネージャーの働く時間の4割は、コミュニケーションに使われている、としばしばいわれる。いや5割以上だ、との説もあり、私の実感はこちらに近い。とにかく、プロジェクト・マネジメントというのは、朝から晩までかなりの時間を、何らかのコミュニケーションに費やしている。メールを読み、メールに答え、社内で打合せし、顧客や発注先と会い、会ったらその結果を打合せメモにしてまた発信する。そのかたわら上司の質問に答え、会社に報告書を出して、というわけで、朝から晩までずっとコミュニケーションに追われている感じである。 「プロマネ」という社内肩書きはついていないが、個別受注生産の設計部門や、あるいは品種の多い製造業の開発部門・生産技術部門の技術者なども、おそらく似た事情だと思われる。エンジニアと名乗って仕事はしているが、自分で計算したり図面を書いたりする時間はちょっぴりで、大半の時間を顧客や社内

    プロジェクト・コミュニケーションに必要な3つの能力 | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 採算をとる、とはどういうことか | タイム・コンサルタントの日誌から

    画期的な発明をした。自動車に取り付けると周囲の車の距離と速度を測定し、安全な方向と速度を割り出して自動運転してくれる制御装置だ。カーナビと組み合わせれば、運転中に熟睡していても目的地に到達できるだろう。ドライブと睡眠不足解消を同時に楽しめる。ぜひ商品化して製造したい。ヒットすれば億万長者も夢ではあるまい。 かんじんの製品価格だが、1台20万円というところでどうだろうか。必要な原材料・部品代は、ちょっと見積もってみたら10万円程度で済みそうだ。ただし、この製品を作る製造装置だが、どう考えても100万円くらいかかる。まあ貯金をはたけば無理して買えない金額でもないと思う。置き場所はとりあえず車庫にしよう。文字通りガレージ・カンパニーの誕生である。 さて、意気込んで事業をはじめたが、世界初の商品というものは、なかなか売るのが簡単ではない。知り合いの売込み先3人に断られ、4人目のトラック会社社長にコ

    採算をとる、とはどういうことか | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 超入門・調達管理 | タイム・コンサルタントの日誌から

    Kさん。そろそろまたメールをいただくころではないかと思っていたところ、やっぱりでしたね(笑)。最初が生産管理,次が在庫問題で、今度は資材ときましたか。工場に赴任された後、景気の雲行きがあやしくなって在庫に目がいき、さらに不況だから資材コストダウンと、まさに定石通り取り組まれているようですね。おかげで私の側も「超入門」シリーズがホームページに自動的に展開できそうで、まことにおそれいります。 さて冗談はさておき、ご質問は「資材業務の改善」というテーマなのに、私が勝手に「調達管理」という風に言葉を置き換えたのには、理由があります。およそどんな問題でも、まず正しい言葉と概念規定から出発しないと、伝わっていくうちにどんどん混乱していくからです。 Kさんが「資材」という用語で指しておられる業務は、文面を拝見するかぎり、購買の仕事のように思われます。どう違うの?とお感じかもしれませんが、英語にすれば前者

    超入門・調達管理 | タイム・コンサルタントの日誌から
    dodolaby
    dodolaby 2009/01/19
    調達とは、サプライヤーが適切に生産管理できるよう、サポートする仕事
  • あなたの会社にトヨタ生産方式が向かない五つの理由 | タイム・コンサルタントの日誌から

    この10年間というもの、日の生産管理思想をリードしてきたのはトヨタだったといってもいい。長かった不況の間も、ほぼかわらずに大きな利益を上げ、東海地方をはじめ日の多くの製造業をひっぱってきた。その地位と威光は誰も侮れまい。おかげで、トヨタ生産方式も多くのメーカーの範と仰がれてきた。大手電機メーカーなどもきそって著名なJITコンサルタントを迎え入れ、「生産革新」の名の下にトヨタ生産方式を導入しようと努力してきた。 ところでごく率直に言うと、トヨタ生産方式を導入しようとして、かえって生産状況を混乱させてしまうケースを私は何度かみかけた。どうもそれは、トヨタの真似をしようとして、いくつかの前提条件を忘れてしまうために起きているらしい。そこで今回は、あえてその条件を5項目にまとめ、チェックリストの用に供しようと思う。名付けて、「あなたの会社にトヨタ生産方式が向かない五つの理由」である。では、まず

    あなたの会社にトヨタ生産方式が向かない五つの理由 | タイム・コンサルタントの日誌から
  • なぜ工場を海外に移転するのか? | タイム・コンサルタントの日誌から

    また海外の工場建設現場に来ている。今週、HPの更新が遅れたのはそのせいだ。私の勤務先はエンジニアリング会社で、仕事の8割は海外の顧客向けである。ただし今回のプロジェクトはめずらしく、日企業が客先になっている。海外に工場を建設する仕事の手伝いである。 日企業と海外企業(とくに欧米のメジャーな企業)では、同じ業種に属していても、客先として見た場合、まったく性格が異なる。企業間のつきあい方の根が違うのだ。この話はまた別の時に書くが、その背後には「契約」というものに対する態度の違いがあるのだろう。 さて、日企業の海外進出には二つのパターンがある。売り手として外に出るか、作り手として外に出るかだ。売り手として外に出る、とはすなわち製品を輸出して海外に販売チャネルを構築する行き方である。高度成長期とはまさにこれが始まった時期だった。安価で、良質な商品を作る。それが海外でも注目される。まず商社経

    なぜ工場を海外に移転するのか? | タイム・コンサルタントの日誌から
  • サプライチェーン・マネジメントの実現をはばむもの | タイム・コンサルタントの日誌から

    久しぶりに、大先輩のR先生のもとを訪れた。もう随分年配だが、私にとってマネジメント問題の師匠である。かつて企業経営にタッチされた経験から、私の思いもよらぬ広い視点でものを見ておられる。 --先生、お久しぶりです。最近ふと気がついたのですが、私が研究会の仲間とともに、『SCM研究会』の名義で「サプライ・チェーン・マネジメントがわかる」という書物を出したのが、1998年でした。それからちょうど10年間たったわけです。しかしこの間、日のサプライチェーン・マネジメントはどれだけ理想に向けて進歩したでしょうか。はなはだ心許ない現状だと思うのですが。 「佐藤君が10年前にそのを書いていたときは、どんな理想を心に描いていたんだね?」 --そうですね。「わかる」の中で、私は供給計画の章を書いたのですが、当時はちょうどAPS(先進的生産スケジューラ)が現れはじめたころでした。また、ECRのような米国

    サプライチェーン・マネジメントの実現をはばむもの | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 課題、ペイン、そしてソリューション | タイム・コンサルタントの日誌から

    「ソリューション」という言葉を最初に流行らせたのは、'90年代の米国IBMだったと言われている。はじめのころは、「単に最新型CPUを載せたPCハードです、といって売れた時代はもう終わる。これからは顧客のソリューションとなるシステムでなければ売れないだろう」といった言い方だった。それがいつの間にか今日では、「最新型アーキテクチャのソリューション!」という具合に、単なるハードやソフトの出来合い商品をさすのに使われてしまっている。IT業界における典型的な“用語インフレ”の一つだろう。いまでは他の業界でも「ソリューション」を名前に冠する会社は少なくない。 しかし、発祥の地のIT業界でも、さすがにもう企業のCIOたちは『ソリューション』という語に不信感を抱くようになってきたらしい(たとえば『CIOが抱く「ソリューション」への不信感』日経ソリューションビジネス・記者の目2006年6月)。ソリューション

    課題、ペイン、そしてソリューション | タイム・コンサルタントの日誌から
    dodolaby
    dodolaby 2008/02/11
    良い営業マンは、顧客との会話の時間の8割を、顧客側の問題について話す/販売力は製品の「技術優位性」にはあまり依存しない/ポイントは課題とソリューションを結ぶ顧客の「ペイン」(痛みを伴う問題)の掘り起こし
  • マネジメントとはいったい何だろうか? | タイム・コンサルタントの日誌から

    ある金持ちの叔母さんが亡くなって、その遺産があなたのところに転がり込んだ。遺産とは、彼女がオーナーだった会社の株だ。その会社は、空位となった社長の座を、あなたにやってくれないかと頼みにきた。役員会の決議だという。一夜にしてあなたは経営者になったわけである。 社長室の大きな机に座って、あなたはこの会社の経営状況を理解しようと試みる。ユニークな技術によって専門的製品を作り出し、一定のユーザに認められてきたという。しかし近年、売り上げは伸び悩み、利益は急降下だ。有力な代替技術があらわれたらしい。ユーザの一部は、安価な中国製品に流れている。けっこうピンチではないか。何か手を打たなければならない。 役員会と部長会で、あなたは新社長としてあいさつし、業績回復にむけて力を合せよう、とスピーチする。だが、幹部たちの反応は鈍い。工場長や営業部長に資料を要求しても、言を左右してなかなか報告して来ない。彼らはあ

    マネジメントとはいったい何だろうか? | タイム・コンサルタントの日誌から
    dodolaby
    dodolaby 2007/11/18
    「自分の頭で考えたことしか、人は本気でとりくまない」人を動かしたかったら、人を動かそうとしてはいけない。これこそ、マネジメントの中核にあるパラドックスである
  • 合理的な意志決定のつみ上げがマクロな不合理を生む(2) | タイム・コンサルタントの日誌から

    前回書いた「囚人のジレンマ」の問題をセミナーなどで説明し、自分ならどの行動をとるかを聴衆にたずねてみると、過半数はやはり『自白』を選択すると答える。つまり、相棒がどちらの行動に出ても、自分のこうむるリスクを最小化する方を選ぶというのだ。すなわち、自分の損得というミクロな観点から言えば、きわめて合理的な判断である。 その同じ判断が、分業化した会社の中でもしばしば行なわれる。たとえば、こうだ:購買部門は安い資材部品を納期通りに調達することを、部門の目標として与えられている。だから、他の部門から手配部品の納期を聞かれたら、長めに答えることになる。短い納期見積を答えて、サプライヤーがそれに応じられなかったら、購買部門の失点になるからだ。リスク最小化の原理である。同じ理由で、発注ロットサイズをたずねられたら、多めに言いたくなる。その方が安く買える可能性が高いからだ。つまり、納期は長めに、発注量は多め

    合理的な意志決定のつみ上げがマクロな不合理を生む(2) | タイム・コンサルタントの日誌から
    dodolaby
    dodolaby 2006/11/26
    どの部門もリードタイムは長め長めに、在庫量は多め多めに動くことになる。各部門がそれぞれリスク最小化のために、余分なサバ読みを行なっている。
  • 製品アーキテクチャー分析--儲かる製品と部品の組合せ | タイム・コンサルタントの日誌から

    東大経済学部の藤隆宏教授といえば、『能力構築競争』(中公新書)など、主に自動車業界の徹底した調査に立脚した、ものづくり理論で有名である。藤教授の創見は「製品アーキテクチャー論」で、ひらたく言えば“すりあわせ型”部品構成と“モジュール型”部品構成の区別にある。 「すりあわせ型」の部品構成とは、すなわち製品を個々の部品から構成するときに、個別に部品を細かく仕様決め・設計して、それらを組み合わせてつくるタイプだ。その典型は自動車であり、自動車の部品は、たとえ同じ企業であっても、車種によってばらばらである。カローラのシートはクラウンには使えない。つまり、他の部品との組合せは限られており、その中で重量や強度や材質などを最適化してある。 一方、「モジュール型」の部品構成とは、製品を標準的なモジュールの組合せで実現するタイプだ。その典型はパソコンで、CPU・マザーボード・筐体・モニタ・キーボードなど

    製品アーキテクチャー分析--儲かる製品と部品の組合せ | タイム・コンサルタントの日誌から
    dodolaby
    dodolaby 2006/07/30
    部品表構造の視点から見た、選ぶべき企業戦略
  • 付加価値生産性とは何か | タイム・コンサルタントの日誌から

    付加価値とは、企業が生産を通じて新しく生み出した価値であり、端的に言えば販売額から材料購入費を差し引いたものだ。材料購入費はサプライヤーに対して支払う金額であり、そのサプライヤーにとっては販売額になる。したがって、付加価値の計算は、買い手と売り手の分を合計すると、取引額が相殺されていく関係になる。もし、ある企業が工場を分社化して子会社とし、そこから製品を仕入れて販売する形態に変わったとしても、親会社と子会社の付加価値の合計額は変わらない。 この計算を、サプライチェーンのずっと源流までたどって集計していくとどうなるか。ちょっと考えればわかるはずだが、これは国民総生産(GDP)に等しくなるのである。つまり、一国のGDPとは、その国が生み出した付加価値の総計になるのである。だから、計算上は儲かるからと言って、製造やサービスの仕事を単価の安い海外にアウトソースしてしまったらどうなるか、容易に想像が

    付加価値生産性とは何か | タイム・コンサルタントの日誌から
    dodolaby
    dodolaby 2006/07/23
    社員一人あたりの生産額(販売額)の議論を続けていく限り、かならず行き着く先はアメリカと同じ、全面アウトソーシングである。そして、国内の失業率増大と国民所得減少ばかりに貢献することになる
  • 稼働率のパラドックス | タイム・コンサルタントの日誌から

    現在の日の製造業が抱えている問題構造は、業種が違ってもしばしば似ている。それは、見込生産向けの工場で、受注生産をこなそうとしていることから生まれる。あるいは、より正確に書けば、「市場からの要求によって、大量見込生産から受注生産に工場はシフトせざるを得なくなってきたのに、企業の管理はあいかわらず見込生産の考え方で行なおうとしている」ことだ。この問題は、以前「特別なわが社」にも書いた。 見込生産から受注生産にシフトしてきた理由は、簡単に言うと、物不足の時代からモノ余りの時代になってきて、需要家・消費者の要求が細かく個別化してきたからだ。プロダクト・アウトからマーケット・インの時代になったといってもいい。こうして、一つの工場の中に、自社の予定で作る標準製品と、顧客の要求で作るカスタム製品が、混在するようになった。 工程や生産ラインも、これに合わせて少しずつ変えて行かなくてはならない。品種の切替

    稼働率のパラドックス | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 必要な人はいつもたった一人しかいない | タイム・コンサルタントの日誌から

    客先でのヒアリング日程が急につまずいたのは、帰る日の直前だった。見積のための概略の要件定義を進める中で、次回は工場の生産スケジューリングについて、詳しく聞きたいと申し出たところだった。その出張では、機密性の高い工場の実物見学は許してもらえなかったが、かわりに各工程のビデオ映像を見せてもらって、だいたいの様子は理解できたと思った。製造実行系および制御系システムの構成も、およそつかむことができた。あとは計画系だ。けっこうこの工場のスケジューリングはややこしいに違いない。社からの受注オーダーに対して、どう製造指図を展開してひもづけていくのか・・・ ところが、相手方の管理者からかえってきたのは意外な答えだった。「スケジューリングはルールが複雑すぎるから、システム化しなくていいよ。」 驚いた私は、計画と実行は生産管理の両輪で、両者がかみ合わないと工場の真の能力は上がらないのだ、と説明した。そして、

    必要な人はいつもたった一人しかいない | タイム・コンサルタントの日誌から
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