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ブックマーク / magazine-k.jp (43)

  • 〈カタリココ文庫〉がはじまったわけ

    文庫サイズのをシリーズで刊行している。 名称は〈カタリココ文庫〉といい、ちょうどいま写真家・畠山直哉さんとわたしの対談と彼の随想が入った第8巻『見えているパチリ!』が出たところだ。ポケットに入れて、電車の中とかランチの後などにさっと取り出して読み終えられる80ページくらいのものである。このような手軽な形にしたのは、ケータイ文化に抵抗するにはにまとわりついた重たいイメージを払拭する必要があると思ったからだが、薄いのは厚みだけで、中身の濃さは保証付きである。 『見えているパチリ!』の企画は、文芸誌『新潮』の大震災特集号に畠山直哉さんが寄せた「心の陸前高田」を一読してすぐに思いついた。畠山さんは、東日大震災の津波で母と実家を失って以来、それまで国内外に向けてきた視野を転換して故郷の陸前高田に絞り、ほとんどすべての時間を町の様子を観察し、撮影して、発表することに充ててきた。書かれた文章は、そ

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  • デモのなかで生まれる香港のポリティカル・ジン

    香港で逃亡犯条例に反対する百万人デモが行われた6月9日、私は小出版物のイベントnot big issueに参加するため台北にいた。 さっそく「香港がたいへんなことになっているね」と、何人かの現地の知人に言うと、言葉少なに頷き少し表情を曇らせた。 一国二制度の香港と両岸問題の台湾では事情は違うが、ともに中国と緊張関係にあり、香港市民に対する理解と共感は大きいはず、と勝手に思っていたのだが、彼らの胸中は複雑だった。 台湾の蔡英文総統は早くに香港市民支持を表明したが、1987年の戒厳令解除後の民主化の歩みとともに成長した若い世代は、2020年1月の総統選で政権交代があれば親中路線に向うだろうと、後日、将来への不安を口にした。また日で働く台湾人の友人は「状況次第では日仕事を続けようかな」と。香港問題を自身に引きつけて考えると、いつになく空気が重くなるのであった。 ZINE COOPとの出会い

    デモのなかで生まれる香港のポリティカル・ジン
  • 無名の新人が書いた地味な分野の本に、ありえないほど長いタイトルをつけて売ろうとした人文書出版社の話

    ある日、いつものようにツイッターを立ち上げてタイムラインをぼんやり眺めていたら、なんだかとてつもなく長いタイトルのについてのツイートが流れてきた。発信者はそのの版元の編集者で、題名は『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する』――カギカッコを含めて60文字もある。ただ長いだけではない。一つひとつの言葉に見覚えはあるが、そのつながりがよくわからない。いったい「舞姫」と「アフリカ人」がどうつながるんだろう? タイトルだけではまったく内容の想像がつかないので、書店にでかけたときに立ち読みをしてみた。思ったより、ちゃんとしてる――というのも変だが、そう感じた。なにしろ版元はあの柏書房である。私はアルベルト・マングェルの『読書歴史 あるいは読者の歴史』やアレッサンドロ・マルツォ・マーニョの『そのとき、が生まれた』

    無名の新人が書いた地味な分野の本に、ありえないほど長いタイトルをつけて売ろうとした人文書出版社の話
  • 技術書典は“エンジニアたちのコミケ”である « マガジン航[kɔː]

    (注:この他に2017/4/29~4/30にかけてニコニコ超会議との共催で「超技術書典」が開催されている) 筆者は初回技術書典から第5回まで連続してCAS電子出版というサークルで出典すると共に、第2回と第5回には企業スポンサーとしても支援しています。ここではサークルとして出典した経験を報告するとともに、技術書典の市場性・優れた点についてまとめてみます。 これまでの開催状況と出典をふりかえる ■技術書典(初回)[2016/6/25 開催] 技術書典という催しが開催されることを知ったのはTwitterからでした。筆者は、2015年末からCAS電子出版ブランドのプリントオンデマンド出版を初めており、ちょうどこうした機会が欲しいと考えていましたので、すぐに申し込みました。自分で書いた『PDFインフラストラクチャ解説』というをアマゾンなどのオンライン書店で販売していましたが、オンライン書店では実際

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  • トライアングル的な運動としての「編集」

    第5信(仲俣暁生から藤谷治へ) 藤谷治様 先日はある文芸誌の新人賞パーティーで、久しぶりにお目にかかれて楽しかったです。ふだんああいう場に出向くことは少ないのですが、「小説家」や「文芸評論家」が抽象的な存在ではなく、姿かたちのある具体的な存在、つまり生きている人間なのだと確認できるのはよいことだなと、文学関係の集まりに行くたびに思います。 しかし文芸や文壇をめぐる話題は、このところすっかり気が滅入るものばかりなので、もう一つの話題、そしてこの往復書簡で僕が藤谷さんと一緒に考えたいと思っている話題である〈編集〉のほうに、少し流れを変えさせてください。 * * * 先の返信で藤谷さんは、僕のことを「編集者」と思ったことはなく、「文芸批評家」だと思っていたと書いてくれました。それに対して僕は、自分が文芸に向き合うときは「文芸批評家」ではなく、「文芸評論家」でありたいと書きました。藤谷さんはさらに

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  • ロジスティックス革命と1940年体制の終わり

    「マガジン航」のエディターズ・ノートは毎月1日に公開することにしているのだが、今月はどうしても考えがまとまらないまま最初の週末を越えてしまった。理由はほかでもない、出版物流の限界がはっきりと露呈してきたからであり、それを前提とした出版産業の未来をポジティブに考えることが難しいと思えたからである。 取次自身が認めたシステム崩壊 出版関係者の多くが読んでいると思われる二つのネット連載が、この問題に触れている。まず小田光雄氏の「出版状況クロニクル」は6月1日の記事(第121回)で「新文化」(4月26日付)や「文化通信」(5月21日付)などが伝えた大手取次のトーハン、日販の経営者の生々しい発言を紹介している。 「出版業界は未曽有の事態が起こりつつある」(トーハン・藤井武彦社長) 「取次業は崩壊の危機にある」(日販・平林彰社長) こうした大仰な発言の背景にあるのは、取次という出版流通ビジネスの屋台骨

    ロジスティックス革命と1940年体制の終わり
  • 第7回 「紙vs電子」はWin, Lose or Draw

    イメージ通りではなかった電子コミック時代 第1回の「出揃った電子コミックのプレイヤーたち」から連載をスタートしてまもなく一年が経つ。第1回では、コンテンツホルダーでもある出版社が格的に電子コミックに舵を切ったことでいよいよ格的な電子コミック時代が来る、ということを書いた。 たしかに電子コミック市場は右肩上がりを続けている。逆に紙の出版物は部数、金額ともに縮小に歯止めがかかっていない。予想通りといえばその通りなのだが、現状は思い描いていた電子コミック時代とは少し違っている。 肝心の「電子コミック」の未来像がよく見えてこないのだ。原因は三つある。 一つ目は、配信の中心になっているのが無料コミックアプリだということだ。無料コミックアプリはコミックを売るのではなく、コミックでお客を集めて、コミック以外の広告やスタンプを売るビジネスと考えたほうがいい。コミックはおまけみたいなものだ。配信元は内容

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  • 我はなぜ論文YouTuberとなりしか

    YouTubeで勝手に連載している「新書よりも論文を読め」が20回の更新を超えた(初回を下に動画埋め込み)。このシリーズは、論文(大学紀要や専門誌を中心に、ときに批評や評論とも呼ばれもする論理的なタイプの文章)を毎回一取り上げて、三つのポイントに分けて5分から8分くらいで要約するという、論文紹介動画である。取り上げる論文の分野は、私が近代文学専攻ということで日の人文系に偏っているきらいはあるが、できるだけ多方向から学ぼうと努めている。 なぜこのようなことを始めたのか。勿論それは論文の読者が増えてほしいと思ったからだ。 「それは研究でやってください」って言い過ぎだろ よく知らない人のために自己紹介しておくと筆者は文壇でささやかなな賞を得、また2016年に在野研究に関する単行も出版したことで一部界隈で話題になり、物書きとしてほんの少しだけ出世している新進気鋭の文学研究者である。 結果、原

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  • ZINEの生態系とローカリティ

    小規模の印刷出版物にはさまざまな呼び方がある。小冊子やパンフレットといった一般的な言い方のほかに、「ミニコミ」「同人誌」「タウン誌」「リトルマガジン」「リトルプレス」「インディーズ・マガジン」「ジン」などが挙げられるが、和製英語も含むそれぞれには特定の歴史的文脈があり、どう呼ぶかで作り手の意識までがわかったりもする。 出版の「正史」の外で綴られ、編まれ、そして読まれてきた、こうした小規模出版物の歴史をまとめたがこの秋、あいついで刊行された。ひとつは雑誌「アイデア」での連載をまとめた、ばるぼら・野中モモ編著『日のZINEについて知っていることすべて〜同人誌、ミニコミ、リトルプレス 自主制作出版史1960-2010年代』(誠文堂新光社)で、もうひとつは南陀楼綾繁『編む人〜ちいさなから生まれたもの』(ビレッジプレス)だ。こちらは「彷書月刊」「雲遊天下」といった、それ自体が「小規模出版物」で

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  • 書誌情報の「脱アマゾン依存」を!

    去る8月25日、図書館蔵書検索サービス「カーリル」のブログに掲載された「サービスに関する重要なお知らせ」を読んで、驚いた人は多いと思う。この日のブログにこのような一節があったからだ。 カーリルでは、Amazon.com, Inc.が保有する豊富な書誌情報(のデータベース)をAmazonアソシエイト契約に基づき活用することにより、利便性の高い検索サービスを実現してきました。現在、Amazon.comよりカーリルとのAmazonアソシエイト契約が終了する可能性を示唆されているため対応を進めています。 Amazonアソシエイト契約の終了は現時点で決定事項ではございませんが、カーリルではこの機会に、Amazonのデータを主体としたサービスの提供を終了し、オープンな情報源に切り替える方針を決定しました。現在、新しい情報検索基盤の構築を進めておりますが、状況によっては一時的にサービスを中断する可能性

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  • 第3回 デジタル時代の「マンガ文法」とは

    電子コミックの未来を考えるとき、今のところ道は大きく二つに分かれているように見える。 ①紙のマンガと変わらないマンガ表現を電子でも再現する。 ②電子端末に適合した、これまでとは違う新たなマンガが生まれる。 スマホやタブレットに配信されている日のマンガはこれまで主に①の道を歩んできた。②は日のケータイコミックや韓国のウエブトゥーンが歩んできた道である。それぞれについて検証してみたい。 伝統的日マンガ文法「メクリ」「ヒキ」 日のマンガには独自のマンガ文法がある。それは「見開きをひとつの単位として、コマ割り表現と構図によって、動かない絵をあたかも動いているように読者に見せるためのテクニック」と言い換えてもいい。もちろん絵やセリフも重要だが、絵がどんなにうまくても、セリフがかっこよくても、コマ割り表現と構図がまずい、つまり文法におかしければ、読者は離れてしまう。 例えば、大きな塔が倒れるシ

    第3回 デジタル時代の「マンガ文法」とは
  • 日販の『出版物販売額の実態2016』に感じた時代の変化

    出版販売株式会社(以下、日販)は昨年9月30日、『出版物販売額の実態2016』を発行した。今回の同誌には、大きな変更点がいくつもある。私はこれに、時代の変化に対応しようと日販が努力している様子を感じ取ることができ、少し明るい気分になった。 まずプレスリリースを読んだら、今回から日販が運営するオンライン書店「Honya Club.com」での取り扱いが始まったという記述に気づいた。ついにネット通販で、誰でも入手可能になったのだ。 さっそく購入しようと思い「Honya Club.com」のページを開いたら、PDFデータ版の取り扱いも始まっていてさらに驚いた。私は紙の資料だとすぐどこかへ埋もれてしまうため、紙版と電子版が選べるなら迷わず電子版を選ぶようにしている。大量のファイルがあろうと、検索すればすぐに見つけられる。埋もれた資料を探して、時間を無駄にしたくないのだ。 ところが、このPDF

    日販の『出版物販売額の実態2016』に感じた時代の変化
  • 梅棹、マクルーハン、ケリーあるいは不思議の環

    ネットやITが日常化した現在、情報化や情報産業、情報社会などという言葉を聞いて(少々古びてきてはいるが)違和感を覚える人はいないだろう。これらに共通する「情報」は、いまではデジタルテクノロジーが表現するコンテンツを指し、現代社会に不可欠の要素として空気や水のような存在だ。ところがおかしなことに、40年ほど前にこれらの言葉が広く使われるようになったときには、世間はまるで違う反応をしていた。いまでは想像もできないだろうが、そこには何か得体の知れない、いかがわしさが付いて回っていたのだ。 「情報」という言葉は、19世紀にフランスの歩兵の演習マニュアルを訳した際に「敵情を報知する」という言葉から派生して使われるようになったと言われており、戦後の冷戦期においても、敵国の国家機密を探る情報局のような機関がこの言葉を冠していたことからもわかるように、常に軍事機密や陰謀の臭いがする何か影のある言葉だった。

    梅棹、マクルーハン、ケリーあるいは不思議の環
  • 第2回《長野》アルプスの図書館に「黒船」がやってきた

    これがあの県立長野図書館? 長野駅に降り立ち、にぎわう善光寺口ではなく、反対側の東口へと向かう。開発途上の通りをぶらぶらと歩くこと約10分。タクシーに乗るなら「図書館へ」と言うより「ホクト文化ホールへ」と言ったほうがわかってもらいやすい。若里公園の緑の中、ホクト文化ホールと並んで、県立長野図書館はある。現在の場所に移転したのは1979(昭和54)年。かつての県立図書館は建て替えられ、その場所には現在、長野市立図書館がある。 ホクト文化ホールとおそろいの赤煉瓦風の外壁は重厚さを感じさせるが、なにしろ移転してから40年という歳月が経とうとしている。2階にあるメインの閲覧室は、県立図書館にしてはあまりにも狭い。その割に3階の自習室に贅沢なスペースを割いていて、受験生には人気のようだ。夏休みともなれば開館を待つ長い行列ができる。 手狭な閲覧室に比例しているのか、資料購入に掛ける予算も控えめだ。同じ

    第2回《長野》アルプスの図書館に「黒船」がやってきた
  • テクノロジーの中年

    ケヴィン・ケリーの新刊『〈インターネット〉の次に来るもの――未来を決める12の法則』(NHK出版、2016)の原題はThe Inevitable、即ち『不可避なもの』である。なにが不可避なのか? テクノロジーの進歩に伴って条件的に課される、日々新しくなっていく情報/メディア環境での私たちの生活である。しかも、その更新は止むところを知らない。 無限のアップデート、避けられないのは常に新しい未来である。 その絶えまぬ更新的世界観は、各章の副題によく現れている。「BECOMING」(なっていく)、「COGNIFYING」(認知化していく)、「FLOWING」(流れていく)等々、すべて~INGという現在進行形で示される。つまり、全12章=「12の法則」は、私たちが放りこまれている新たな環境の生成変化の現場を、特徴的な動詞の観点から検討しているのだ。 永遠のビギナーたれ ケリーの基的な立場は最初の

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  • Kindle Unlimited上陸について思うこと

    Amazonの定額電子書籍読み放題サービス、Kindle Unlimitedが、8月2日より日でも始まり、楽天も雑誌の読み放題サービス「楽天マガジン」のサービスを開始しました。そこで、これらに先立つ既存の「読み放題サービス」についてちょっと思っているところを書いてみたいと思います。 音楽や動画では常識化してきているサブスクリプション型サービス 近年、動画や音楽の世界では、定額で見放題、聴き放題型のサービス――サブスクリプション契約型のコンテンツ提供サービスが一般化してきています。 動画配信では今は日における事業では日テレビの傘下となったHuluを皮切りに普及が進み、現在はアメリカ最大手のNetFlixに勢いがあります。今テレビを購入するとリモコンの目立つ場所にNetFlixのボタンが配置されているという話もあり、もうこれは完全に一般化したと見ていいでしょう※1。ちなみにこれは従来の放

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  • ニューヨークの書店地図も激変

    真由美さま お久しぶりです。私のフェイスブックでは桜の写真が真っ盛り。桜は嫌いではないんですが、その周りでいつもつるんでいる同僚や仲間とどんちゃん騒ぎをするだけのお花見という習慣が嫌いなので、他人様の写真を見ているのがちょうどいいです。ニューヨークやロンドンはまだもう少し肌寒い日々ですものね。 さて、ちょうど最近も、とある業界紙にアマゾン書店のことを書いたのですが、アメリカの書店の人たちより、日の出版業界の人たちがこぞって戦々恐々としてるのが不思議です。同じはどこで買おうとも同じ値段という再販制度に優しく守られているのに。 マンハッタンから、郊外のブルックリンやクイーンズへ ここマンハッタンでは、アマゾンと関係なく、どんどん屋が潰れています。なにしろ店賃がめちゃくちゃ高いので、みたいな薄利多売の商売じゃとうてい払えないのです。ニューヨークに仕事旅行でホテルを取ったり、アパート

  • 本のワンソースマルチユース制作〜その理論・実践・未来

    はじめに 電子版の売上が増えるにつれて、印刷・製した(紙版)とEPUBを主とする電子版を同時に発売するサイマル出版が重要になる。筆者は2010年からWeb上で紙ののためのPDFとEPUBなどを一つの原稿からワンステップで作成する(ワンソースマルチユース)制作システム(CAS-UBという)を開発してきた。そしてCAS-UBを使って『PDFインフラストラクチャ解説』を執筆し、プリントオンデマンド書店と電子書店(Kindle ダイレクト・パブリッシング)より発売した。 書はB5判、268頁、図版(ブロック画像110個)と表(35個)、参考文献一覧(156項目)、索引(648項目)、多言語(文中にデバナガリ文字の組版を含む)、表中・行中画像(44個)を含む。書のPOD用PDFはカバーを除き、プログラムで自動的に作ったものである。KDP版はカバーを含めワンクリックで生成した。ここでは専門

    本のワンソースマルチユース制作〜その理論・実践・未来
  • こんまりの「片づけ」本は海外でなぜ売れた?

    真由美さま 前回のお手紙をいただいてから少し時間が経ってしまいました。 日ではの印税率が下がってきていて、とうとう「印税率3%でを書いてくれ」と言われたというビジネス書の著者さんの話をFacebookで見かけて背筋が凍りました。事態はここまで来てるんですね。 これが英語圏の出版社だと、新人でもハードカバー(ようするに「新刊書」)の印税が10%、増刷がかかって10万部を超えたあたりから数%割増しになるのが普通です。超売れっ子先生だと初版から12%、がバカ売れして増刷になり、「お札を刷っているような状態」になれば15%までハネ上がります。 印税率より大きな違いは、英語圏での出版物には通常「アドバンス」と呼ばれる印税の前払い金があることです。しかもその一部は、原稿を一文字も書いてなくても、出版契約を結んだ時点で支払われる。ようするに出版社にとってアドバンスというのは、著者に対し、この

  • 出版の「初心」を思い出すための3冊

    「マガジン航」は昨年4月より、発行元をスタイル株式会社に移しました。これにともない、誌は同社が運営する「WirelessWire News」「小さな組織の未来学」「IntelligenceDesigner」「考えるあかり」などと姉妹誌の関係になりました。それぞれ専門領域は異なりますが、今後はこれらのメディアとの連携企画を少しずつ始めていくつもりです(すでに大原ケイさんと谷真由美さんとの往復書簡「クール・ジャパンを超えて」が、WirelessWire Newsとのコラボ企画としてスタートしています)。 新しい年を迎えるにあたり、ささやな共同企画として、これら各メディアの編集者が「いま読むべき」3冊を挙げて紹介するというリレーコラムを始めました。すでにトップバッターとして「WirelessWire News」の板垣朝子さんが3冊を挙げてくれています(「資主義社会の次」に日が進むために

    出版の「初心」を思い出すための3冊