とあるきっかけで読み始めた、ミハエル・チクセントミハイの「フロー体験」という本、あまりに衝撃的であり、日々のものごとに対する観点をガラっと変えてしまったため、その内容の一端を、特にインパクトある部分を中心に簡単に紹介したいと思います。 ■著者「ミハエル・チクセントミハイ」について ミハエル・チクセントミハイは、1934年ハンガリー生まれで、主にアメリカで研究生活を行った、20世紀を代表する心理学者の1人。 1990年に出版された本書は、「(欲求の5段階で有名な)アブラハム・マズローの自己実現の概念を超えるもの」(ニューヨーク・タイムズ紙)など様々な新聞・専門家から賞賛され、「日常生活の心理学に関して、今世紀最高の研究者」とも言われています。 その知識は非常に広汎であり、心理学のみならず、文学・社会学・人類学・比較行動学・情報論・進化論・宇宙論・芸術などにまで及んでいます。 ■フロー体験とは
リーダーは鬼であるべきか? 仏であるべきか? 人の上に立つ立場の人にとって、永遠のテーマと言っていい難題です。 鬼は、萎縮する部下を見て「オレが優しく扱わなきゃ、こいつらは実力を発揮できないのか?」などと悩みます。仏も同様で、「こいつら、オレが優しい顔をしているから怠けているのではないか?」と悩んでいたりします。 マキァヴェッリの結論は、「どちらでもかまわない」です。いや、正確にはマキァヴェッリにも結論は簡単に出せなかったと言うべきかもしれません。「君主論」と「ディスコルシ」でマキァヴェッリは違うことを言うのです。 「ローマ軍腐敗の元凶」と言われた「仏」の将軍 まず、「君主論」でマキァヴェッリは以下のように述べて、どちらかと言えば鬼を推奨しています。 <人間は恐れている人より、愛情をかけてくれる人を容赦なく傷つける。>(君主論) 第2次ポエニ戦争を戦ったカルタゴの名将ハンニバルとローマのス
前の記事 IT業界のエンジニア争奪戦、勝者と敗者を分析 肥満はなぜ「伝染」するのか:実験結果 2011年6月 9日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Jonah Lehrer 画像はWikimedia 数年前、研究者のニコラス・クリスタキスとジェームズ・ファウラーは、肥満に関する驚くべき発見(日本語版過去記事)を行った。肥満は、まるで伝染病のように、人から人へ伝播するというのだ。 彼らはこの伝播について、『フラミンガム心臓研究』(FHS)のデータセットによって実証した。FHSとは、マサチューセッツ州フラミンガムで行われた、心血管疾患の危険因子の多くを明らかにした長期の疫学研究だ。[12,000人以上を対象に、32年にわたって計測を行なった] FHSでは、各参加者の親しい友人、同僚、家族の情報が示されているため、研究者たちはそれを
前の記事 Mac用マルウェア『MAC Defender』 意見共有で「集団の知恵」が低下:研究結果 2011年5月18日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Brandon Keim アムステルダムの『Euronext』証券取引所 Image: Perpetualtourist2000/Flickr 「集合知」(Wisdom of the crowd)とは、多数の個人の推測から、驚くほど正確な平均回答が導き出される統計的現象を指す。個人的バイアスが互いを相殺する結果だ。 集合知は、数量で表わせるような問題の推測において最もよく発揮されるため、集団の知恵というより、「集団の精度」と表現するのが適切かもしれない。この現象は何十年も前から文献に記されてきた。古くは1907年、イギリスの人類学者フランシス・ゴルトンが、見本市の来場者たちは
子どもの遊び相手をする吉田祥平さん=21日、岩手県大槌町、原田写す 殴る、蹴る、暴言を吐く。被災地で、震災や長引く避難生活によって子どもたちが精神的に追い込まれている。子どものストレスのサインにはいろいろあるが、その一つが攻撃的な言動だ。周囲の大人は戸惑うことも多いが、どんなことに気をつければよいのか。 宮城県南三陸町の住民が暮らす避難所。小学校低学年の女児3人が、ボランティアで訪れた男子高校生(17)の足を蹴り始めた。 靴を履いたまま、すねを強く蹴り上げる。「痛いよ、やめて」。高校生が言っても止まらない。その後も、首を絞めたり、ズボンを引っ張ったり。高校生は「こんなことは初めて」と戸惑いを見せた。 被災地で子どもの遊び相手をしている支援団体は、こうした子どもの変化に気付きやすい。 「最初に会った時は、子どもたちはもう、全身ストレスの塊でしたよ」。3月中旬から岩手県大槌町で子ども
前の記事 家庭用殺虫剤が「胎児のIQ」に影響:研究結果 日本の震災が「引きこもり」に与える影響 2011年4月25日 社会 コメント: トラックバック (0) フィード社会 Paul Ballas Photo illustration: Jim Merithew/Wired.com 日本で増えつつある「引きこもり」として知られる現象が、今年3月に同国で起こった地震や津波の影響で、特に問題になる可能性がある。 何ヵ月も、時には何年も家にこもるという極度の孤立が、1990年代の初めに日本の若者の間で登場した。現象の広がりを確かめる試みが行なわれ、日本の「引きこもり」は100万人強と推定されたが、一部の研究者の間では、実際の数はもっと多いのではないかと考えられている。 引きこもりについて英語で書かれた新聞や雑誌の記事は、1990年代初めから数えて200本を超えるが、英語の科学論文は10本ほどしか
9・11のあと飛行機に乗る人が激減し、人々は自動車など他の交通手段を利用した。その結果、死者は減っただろうか? 残念ながら2001年の9月以降の1年間に、アメリカで飛行機の代わりに自動車を使った人は1595人死亡した。同じ距離を移動する交通手段としては、飛行機がもっとも安全であり、自動車がもっとも危険だが、人は一挙に多くの人が死ぬ事故でリスクを評価する。 このようなバイアスが、もっとも愚かな政策を生んだのが、本書のテーマである「テロのとの戦い」である。イラク・アフガン戦争では軍民あわせて10万人近い死者が出たが、テロの犠牲者は全世界で年間300人前後で変わらない。これは1年間にプールで溺死するアメリカ人の数より少ない。平均的なアメリカ人がテロで死ぬ確率は1/10000以下だが、これは落雷で死ぬのと同じぐらいの確率である。 この「テロ」を「原発」と置き換えてみよう。日本で原子力施設の放射能で
前の記事 『iPad 2』でメガネなし・リアルタイムの3D表示を実現 「金のために人を傷つけられるか」:実験結果 2011年4月13日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Laura Sanders Image: elycefeliz/Flickr。米国の紙幣や硬貨には、「In God We Trust」(われわれは神を信じる)という米国政府のモットーが書かれている。 4月4日(米国時間)に認知神経学会で発表された新しい研究報告によると、人がモラル上のジレンマに直面したとき、「言葉で言うこと」と「実際に行動すること」はかなり違うようだ。 論文の共著者である英国ケンブリッジ大学のOriel FeldmanHall氏によると、実験室で行なわれているモラルに関する研究はほとんど常に、被験者に対して、仮定の話として質問を尋ねるものだが、こ
ツイッターの「東北関東大震災に関するデマまとめ」(jishin_dema)」さんが中心となって、主にツイッター上を流れるデマ情報とそれに対する分析の収集・告知が精力的に行なわれており、多くの人が情報提供や検証に加わっている。震災発生直後から1週間程度がデマのピークではあったが、現在も新たなデマは生まれつつあり、また過去に否定されたデマが生き続けているものもある。 そのツイートをもとに@omiya_fctokyoさんがTogetter - 「「東北関東大震災に関するデマまとめ」のまとめ」を作成され、わたしも気がついたら編集に参加している。 今回、この「デマまとめのまとめ」をもとに、震災発生後約1カ月間のデマ80件をピックアップ、パターン別にまとめてみた。 ※この記事は震災後1か月足らずの時点でのまとめです。同年6月に発行した冊子『東日本大震災でわたしも考えた』では震災後のデマ100件の分類整
by .DesertMonsterBell 多くのユーザーを集めているmixiやモバゲータウン、そして近年日本でも広まってきたFacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)には性別・年齢などさまざまな違いを持つユーザーが混在していますが、自分の写った写真をたくさん投稿している女性ユーザーを見かけたことのある人もいるかもしれません。そんな女性ユーザーたちにはある共通の傾向が見られることが、研究によって明らかになりました。 自分で自分を撮ったいわゆる「自画撮り」写真や、友人たちと撮ったスナップショットをたくさん載せることで、端的に言ってしまえば自分の価値を確認しているのだということです。 SNSに自分の写った写真を大量投稿する女性の心理については以下から。Women who post lots of photos of themselves on Facebook va
日本人は、アメリカ人と比較すること、より個人主義的で、他人を信頼しないことが、山岸らの研究で明らかだ。このような自分勝手な民族が、和を重んじる社会を作り上げたのは、相互監視、相互規制によるものと言われる。つまり一度の過ちを厳しく罰する仕組み(いわゆる村八分)により、強い社会強制力によるものである。いわゆるムラ社会というやつだ。日本人が必死に空気を読む理由もここにある。 「日本人はすばらしい」と言われる所以となった日本人の大震災時の高い規範的行動は、相互監視、相互規制がうまく働いた例といえる。多くの人の目の前で、個人主義的な行動をとることにより、多くの人に批判されることを日本人は無意識に強く恐れる。また、ちょっとしたユーモアに「不謹慎」という言葉で総攻撃するのは、過ち(?)を厳しく罰する社会的な仕組み(村八分)が強くでていると見てよさそうだ。どんな理由、どんな心理にせよ、今回の惨事で日本人が
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