リスク過敏社会のわな (桐原 涼=経営評論家) 強まる不況色 国内景気の停滞感が高まっている。最近の統計を見ても、「新車販売台数が20カ月連続の前年割れ」などと、不景気な指標が並んでいる。百貨店売上高は2カ月連続、スーパー売上高は22カ月連続の前年割れだ。金融・建設・小売など内需系業界を中心に、今年度の業績予想を下方修正する企業も増えている。 現在の日本経済は外需が堅調なため、マクロ的には「穏やかな成長」が続いていることになっている。だが、ミクロ経済の実態は必ずしも穏やかではない。国内経済全般が穏やかだったのは過去のことであり、現在は至る所で木枯らしが吹いている。 例えば金融商品取引法や貸金業法の規制強化により、金融業界が深刻な影響を受けている。野村アセットマネジメントなど大手4社が運営する投資信託への10月の資金流入額は、前月比で57%も減少した。また貸金業者数は今年度上期の半