まちから書店が消えてゆく 4月30日、弘前市土手町にある県内有数の大型書店「ジュンク堂」が12年の歴史に幕を閉じました。 弘前市では、これまで2000年に今泉本店が、2019年に全国展開する紀伊國屋書店が閉店。 八戸市でも去年、96年間地元に親しまれた木村書店が店を閉じました。 県内の書店は10年前の4分の3ほどに減っています。 本屋さんは必要? まちの人たちは書店についてどう思っているのか、青森市で話を聞いてみたところ、以下のようなさまざまな意見が聞かれました。
凝った装丁の美術品カタログや、洗練されたデザインの写真集。閉館した美術館のショップから処分されそうになっていたこれらの本を受け継ぎ、本屋を開業した店主が三島市にいます。「大切に作られた本を、大切にしてくれる人の手に渡したい」。まっすぐな思いが込められた店を訪ねました。 こだわりの美術書に出会える本屋の原点 JR三島駅から徒歩10分ほど。ひときわ目を引く水色のドアが印象的な「ジンジャーブックスカフェ」です。2023年12月にオープンしました。 小説や詩集、絵本も 一角には美術書が並ぶ さまざまな本が並ぶ棚の中で、ある一角を占める絵画や写真、彫刻などの作品集。もともとは閉館した美術館のショップに置かれていたものでした。それが今ここにあるのは、店の成り立ちと深い関わりがあります。 店主の岩村知子(いわむら・ともこ)さんです。雑誌のライターを経て、2015年から長泉町の複合文化施設「クレマチスの丘
川口市にいるクルド人の多くは、中東・トルコの出身です。分離独立を求めるクルド人組織とトルコ政府との対立が激しくなった1990年代から「母国では迫害される」などと訴えて、日本にも難民としての保護を求めて来る人が増えました。 およそ15年で、日本で難民申請したトルコ国籍の人は9700人以上(法務省資料から一橋大学 橋本直子准教授算出)。その多くがクルド人とみられていますが、認定されたのは1人です。 現行の法律では、難民申請が認められず、退去が確定した外国人は、原則として退去まで、施設に収容されることになっています。 しかし近年、新型コロナの感染対策として収容所の密をさけるためや、人道的な観点から、施設の外で生活する「仮放免」の人たちが増加しているのです。 支援団体によると、難民申請を行うクルド人の多くは観光ビザで日本に入国。川口市周辺で暮らす知人などのつてを頼って、集まってくるといいます。 国
ネット通販に押され、身近な本屋の閉店が相次いでいる今。 このままでは街から本屋がなくなってしまうのではないか―――。 ところが静岡県内ではここ数年、個性あふれる小さな本屋が続々と新規オープンしています。 逆風が吹く中でなぜ?その勝算は? 取材を進めると見えてきたのは、出版流通システムの変化がもらたす、新規開業の大きな波でした。 こう話すのは、去年9月に沼津市で本屋「リバーブックス」をオープンさせた江本典隆(えもと・のりたか)さん。平日は出版社の社員として働きながら、週末に店を開いています。 沼津駅から徒歩15分ほどの場所 JR沼津駅から商店街を抜けた先にある店の建物は、もともと洋裁店として使われていた築70年の空き家。江本さんみずからリフォームを手がけ、古い壁や柱をそのまま残しながら、レトロ感とシックな内装が同居する空間に仕上げました。 およそ600冊が並ぶ 奥のギャラリーにはアート作品や
昨年の夏,私が配属された用語班にはニュース,一般番組を問わず,放送現場からさまざまな問い合わせが日々寄せられる。その内容は用語の表記,読み,アクセントなど多岐にわたり,電話で問い合わせてくるのもそれぞれ異なる部署である。だから,それらが関連することはないはずなのだが,不思議なことに似たような質問が続くことがある。 例えば「まる天井」の“まる”の表記は「丸」「円」どちらが適切かという問い合わせのあと,ケーキの型の「まる型」の表記を尋ねる案件が続く1)。あるいは,えのきだけの袋の「1/4」の量を「4分のひと袋」と読むかという問い合わせのあと,「1/8」分のキャベツを「8分のひと玉」と読むかという,分数の読み方に関する同様の質問が続く2)。 こういうとき,誰というわけでもなく「弥七が聞いてる」と班員がつぶやく。弥七とは,時代劇『水戸黄門』に登場する架空の人物「風車かざぐるまの弥七」のことで,隠密
100年前の関東大震災で被災した横浜市内の様子を撮影した、写真のネガにあたるガラスの板=ガラス乾板、あわせて39枚が新たに見つかりました。 同じ場所の被災前の風景を写した写真もあわせて見つかり、研究者は被害の詳細が分かる貴重な資料だとしています。 100年前の横浜写すガラス乾板 被災直後の横浜駅ホーム 新たに発見されたのは、関東大震災で大きな被害を受けた横浜市内の写真の「ガラス乾板」あわせて39枚と、被災前の横浜市内を写した写真を含むアルバム1点です。 当時、横浜市電気局の職員だった中野春之助さんの子孫から6月、横浜都市発展記念館に寄贈されました。 このうち震災直後の当時の横浜駅のホームを撮影したガラス乾板からは、涙をためている駅員の表情までが詳細に分かります。 震災前後の様子が明らかに 同じ場所を写した、震災前後の写真やガラス乾板も見つかりました。 ▼横浜駅前 震災前の横浜駅前 上の写真
近年、活字離れや人口減少による経営難、電子書籍の普及などにより、街なかにある本屋が次々と姿を消しています。静岡県もその例外ではありません。 一方で厳しい状況の中でも、本と人との出会いを大切にする「書店文化」を残したいと、居心地の良い空間や棚づくりにこだわる小さな本屋が、県内にいくつもあります。 そんな場所を訪ねて歩く、新シリーズ「#まちほんTRIP」。 個性あふれる本棚を探しに、街の本屋へ一緒に旅に出てみませんか? 街に本屋を残していくために 静岡市葵区「ひばりブックス」 駿府城公園の近く、通りの風景に溶け込む 一軒の小さな本屋。その歴史も2年半あまりと小さな、新刊書店 「ひばりブックス」です。 静岡市葵区鷹匠にある「ひばりブックス」 18坪のコンパクトなスペースにおよそ1万2千冊が並べられ、奥にはギャラリーとカフェも併設されています。 店内の様子 店の奥にあるギャラリー 品揃えはまさに「
作家 今村 翔吾 今村翔吾です。歴史小説、時代小説を中心に書いている作家ですが、2021年の11月に廃業寸前の書店を事業承継したため、書店のオーナーという顔も持っています。 だからこそ本日は、作家と書店の両面から、現在の出版界、本について語らせて頂きます。 2000年には2万1654件あった書店は、2020年には1万1024件と約半数にまで数を減らしました。このような事態に陥っている要因は一つではないでしょう。 まず取り沙汰されるのは、読書人口そのものが減っているということです。国の人口そのものが減っているのは間違いないことですが、読書人口に関してはそれを遥かに上回る速度で減少しています。 中でも特に若者の読書離れが叫ばれております。しかし、実際にデータを見ると、10代の読書人口はこの数年間はあまり減っていません。小中高などで行われる朝読書などの取り組みが、一定の功を奏しているのだと思われ
名画の魅力を、料理やアニメーションを使って伝える美術館。博物館などの所蔵されていた動物の骨や土器などを3Dデータ化してネットで公開し、自由に動かしながら見られるようにするイベント。 博物館や美術館がいま大きく変わろうとしています。法律が約70年ぶりに大改正され、博物館が行う事業に、これまで行ってきた展示などだけでなく、「資料のデジタル化」も追加。さらに地域の活力向上のため、文化についての理解を深める「文化観光」に取り組むところもでてくることになります。 一方で、予算と人手が不足する中、新たな事業に取り組むことで、これまで行ってきた事業ができなくなるのではという懸念の声も。大型連休前に、博物館の最新事情を取材しました。 (首都圏局/ディレクター 梅本肇・竹前麻里子) 動物園とのコラボで博物館の魅力を発信 博物館をもっとおもしろく、身近に感じてもらおうという取り組みが、和歌山県白浜町のテーマパ
記録的な円安や長年上昇しない賃金の問題を背景に、日本を出て海外で働いてお金を稼ぐ「海外出稼ぎ」をする若者が増えています。 一体、彼らはどういう気持ちで日本を飛び出したのか。実際に彼らの声を聞いてみると、その理由はお金だけではありませんでした。年功序列や、性別による格差、長時間労働など、日本の労働環境そのものに対するあきらめや不満も見えてきました。 (クローズアップ現代「安いニッポンから海外出稼ぎへ」取材チーム) 海外出稼ぎ日本人が増加 その多くは若者たち 記録的な円安を背景に注目される「海外出稼ぎ」。海外へ向かう若者の背中をさらに後押ししているのが日本の賃金の問題です。世界各国が経済成長にともなって賃金が上がっていく中、日本は過去30年間で実質賃金の伸び率が0.1%とほとんど増えていません。OECD加盟国の中でも下から5番目とかなり低い水準です。 G7各国の実質賃金の推移 こうした中、主に
「見るのも嫌だ」 同性婚をめぐる前総理大臣秘書官の差別的なことばへの批判がやまない。 そんな中、国会で焦点に浮上しているのが、性的マイノリティー、LGBTの人たちへの理解を増進するための法案の扱いだ。その行方は。 (唐木駿太 高洲康平 米津絵美) 【リンク】「差別は許されない」はダメ? LGBT法案に揺れた自民党 一気に広がる批判 「えっ?今なんて言った?」 2月3日。金曜日の深夜。 ふだんなら静かなはずの総理大臣官邸が、いつになく騒がしくなっていた。 その直前、官邸では、総理大臣秘書官(当時)の荒井を10人ほどの記者団が囲んでの、“オフレコ取材”が行われていた。情報の発信元を明らかにせず、匿名を前提とした取材のことだ。 荒井は、その場で同性婚への見解を問われ、次のように口にした。 「見るのも嫌だ。隣に住んでいたら嫌だ。国を捨てる人が出てくる」 耳を疑うことばだった。 そして、一部報道機関
伊集院静がつづる愛犬との日々。 日本の移民難民問題を10年追ったノンフィクション。 実存する感染症に立ち向かう研究員と地元の人たちの物語。 山﨑努、自身の演技論・俳優論が育まれた半生。 新年に、信念がある生きかたを!素敵な人たちに出会える4冊をご紹介。 ●『君のいた時間 大人の流儀Special』 著者:伊集院 静 出版社:講談社 ★Yuri’s Point 愛していたペットを亡くした著者が「君」がいた日々をつづったエッセイ集。愛犬「ノボ」を語るとき、ほんの少しそっけなく毒もあるのに、深い愛が感じられる。父の教えや母の優しさ、妻とともに看取った犬たち…飼い主は犬にとって絶対的存在である一方、飼い主である著者にとってノボは子ども時代へ導いていく存在、そんな風に感じた。遠く離れているときほど自宅のノボの様子が気になってしまう。人間の6倍の速さで生きて亡くなる犬。「別れることも生きた証」。ペット
10万人を超える外国人が暮らす横浜市。なかでも緑区ではインドの人々がこの5年間で倍増しています。多くの人々が暮らす霧が丘の団地では、交流を深めようと「多文化・多世代」をコンセプトにした取り組みが始まりました。 あーすフェスタで披露されたダンス 2022年12月に横浜で開催された「あーすフェスタかながわ2022」。県内で多文化共生に取り組む人々によって、様々な国の文化を体験するブースの出展やステージショーが披露されました。 フィナーレで披露されたのは、日本・インド双方のルーツを持つ大人や子ども約20人のインドのダンス。会場は大いに盛り上がりました。 そのダンスが始まる前、みなさんの自己紹介で発せられたあいさつに会場がざわつきました・・・ ーわたしたちが住んでいる霧が丘にはインドの人が800人、住んでいます。 どうして、霧が丘にたくさんのインドの人が住んでいるの?? さっそく、霧が丘を訪ねてみ
“読書の秋” みなさん、最近、何か本を読みましたか? なかなか読む時間がないという人もいるかもしれません。街で聞きました。 「以前は書店で買っていたけど、いまは電子書籍みたいな感じで読めるようになったので書店に行かなくなった」 「本は買わなくなった。SNSで何でも情報が手に入るので、わざわざ雑誌とかを読まなくてもインフルエンサーが発信してくれる」 「本屋がなくなっていると感じる。駅前に来ないと本は買えない」 街の人からは本を読む機会が減ったという声が聞かれましたが、少しでも本との出会いの機会を作ろうと模索する書店や図書館の取り組みを取材しました。 (仙台放送局記者 内山太介) 【街の本屋を絶やさない】 大崎市古川の駅前にある書店の店長、大友崇さんです。 この書店はかつて宮城県内に8つの店舗がありましたが、いまはJR古川駅前の1店舗のみです。 書店で本を購入する客が減少するなか、店の売り上げ
料理を作るのが大好きな「野本さん」、食べるのが大好きな「春日さん」、二人の女性の物語、夜ドラ『作りたい女と食べたい女』が11月29日から始まりました。 漫画が原作のこの作品は社会に埋もれがちな女性たちの生きづらさや、これまでドラマや映画で描かれることが極端に少なかったレズビアンの日常を描いています。 ジェンダーやセクシュアリティ(性のあり方)の視点でドラマの考証を担当した合田 文 (ごうだ あや) さんにドラマへの思いを聞きました。 (国際放送局 ディレクター 柳下明莉) ドラマ『つくたべ』の考証に携わったきっかけ 夜ドラ『作りたい女と食べたい女』の考証を担当した合田さん 合田文さんは、社会がつくり出した性別をめぐる固定観念(ジェンダー)や多様な性のあり方(セクシュアリティ)についてさまざまな情報をイラストや漫画にしてSNSで発信する事業を経営し、ジェンダーに関する企業研修の講師なども務め
全国の高校の校則をデータベース化 “全国校則一覧”とは ( 神谷さんたちが制作したホームページ「全国校則一覧」 ) 神谷さんが代表を務める学生団体Change of Perspectiveが運営するホームページ「全国校則一覧」。2022年9月現在、1200校あまりの高校の校則を公開しています。 学校名などで検索すると、その学校の校則を誰でも自由に閲覧可能です。 「ツーブロック」などのキーワードで検索すれば、何校が校則として掲載しているのかも調べられます。 (「ツーブロック」で検索すると1215校中132校が表示された) 神谷さんは現在も各教育委員会へ情報公開請求を続けており、今年度中に約3500ある全国すべての公立高校の校則を集め、ホームページ上で公開することを目指しています。 現役高校生がなぜ校則のデータベース化に取り組む? (プロジェクトを立ち上げた群馬県の高校2年生 神谷航平さん)
物語も終盤になってきましたが、これまでの執筆の中でどのようなことを感じていますか。 今回この「鎌倉殿の13人」を書くにあたっては、今まであまり経験してこなかった不思議な偶然がたくさんあるんですよ。すごく大げさな言い方になりますが、神様が「書け」と言っているような。例を挙げると、まずは上総介広常の死について。彼が字を一生懸命練習していたという設定は、演じた佐藤浩市さんから「キャラクターに深みを与えられる設定が欲しい」とリクエストを貰もらい、「じゃあ、字が書けないというのはどうだろう」とアイデアを出したんです。一方で、上総介が死ぬのと北条泰時が生まれるのがほぼ同時期だったことが分かった。「これは泰時が上総介の生まれ変わりだという設定もあるな」と思い、ハッキリと明言はしなかったけど、泰時が赤ん坊のときの泣き声を「ブエイ」にした。これは上総介が頼朝を呼ぶときの決め台詞ぜりふ。実は僕はそれほど歴史に
教育のICT活用が本格化する中、放送局に保存される膨大な数の放送アーカイブを、授業等で利用するニーズが高まりつつある。本稿の主眼は、放送局等から教育機関に放送アーカイブを提供するうえで課題となる権利処理の問題に注目し、著作権法の新たな権利制限規定の私案を提示ながら、その妥当性を検討することにある。私案は、放送アーカイブのうち権利処理が難しく、一般の市場で入手困難なものを、「絶版」として再定義し、それらを授業等の目的と限定的な範囲での配信であれば権利制限とするものだ。国際的な手法「スリー・ステップ・テスト」にもあてはめ検討し、私案の妥当性を確認した。併せて検討した拡大集中許諾制度の効果と課題も示す。また、仮に私案が実現しても、学校のネットワーク環境や認証システムなど、ほかにも課題はある。しかし、それらの課題を克服すれば、放送アーカイブが多くの社会的ニーズに貢献する可能性を指摘する。
教育のICT活用が本格化する中、放送局に保存される膨大な数の放送アーカイブを、授業等で利用するニーズが高まりつつある。本稿の主眼は、放送局等から教育機関に放送アーカイブを提供するうえで課題となる権利処理の問題に注目し、著作権法の新たな権利制限規定の私案を提示ながら、その妥当性を検討することにある。私案は、放送アーカイブのうち権利処理が難しく、一般の市場で入手困難なものを、「絶版」として再定義し、それらを授業等の目的と限定的な範囲での配信であれば権利制限とするものだ。国際的な手法「スリー・ステップ・テスト」にもあてはめ検討し、私案の妥当性を確認した。併せて検討した拡大集中許諾制度の効果と課題も示す。また、仮に私案が実現しても、学校のネットワーク環境や認証システムなど、ほかにも課題はある。しかし、それらの課題を克服すれば、放送アーカイブが多くの社会的ニーズに貢献する可能性を指摘する。
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