◇…仙台市宮城野区の仙台うみの杜水族館で、透き通った「殻」を身にまとうヤドカリ２匹が展示されている。殻は、アーティストのＡＫＩ　ＩＮＯＭＡＴＡ（アキ・イノマタ）さんが３Ｄプリンターで作った。 　◇…プラスチック製で、表面には、観光地として有名なサントリーニ島（ギリシャ）や、世界遺産になっている天壇公園（中国・北京）の景観をかたどった。 　◇…世界を背負うヤドカリ。最新技術を駆使した透明な殻を通して、めったに見られない内部が観察できる。展示は３０日まで。

漁師の高齢化と減少に歯止めがかからない。昨年度の漁業就業者数は約十七万人で、過去二十五年間で半減。十七万人のうち六十五歳以上が３５％を占める。水産庁は三年前から若手の担い手育成事業を行っているが、漁師として独り立ちするまでには高いハードルがある。　（諏訪慧） 十一月上旬、愛知県蒲郡市の知柄（ちがら）漁港。まだ暗い午前五時半、浦田圭太さん（３２）が、この道五十年近い牧原勝さん（６３）の小型漁船に乗り込んだ。将来漁師になるため、水産庁の研修生に手を挙げ、昨年十月から底引き網漁を学んでいる。 三河湾を南下し約三十分。東の空が明るくなってきたころ、この日初めて網を投下した。深さ十メートルほどの海底まで下ろした網を、二十分間ほど漁船で引き、巻き上げ機のレバーを操作して網を引き上げる。浦田さんは、網に入った貝や海藻などの中から、ワタリガニやクルマエビ、シャコなどを手早くより分ける。「最初は手間取ったけ

三陸鉄道は２２日、南リアス線盛（大船渡市）―釜石間で企画列車「牡蠣（かき）とワインの夕べ」を運行した。乗客はくずまきワインと三陸各地産のカキづくしの料理で、ぜいたくな時間を過ごした。 ４０人が参加し、白ワインで乾杯。レトロ列車でマリネや蒸し、焼きなど多彩なカキ料理に合わせたワインを堪能した。北上市からの参加者は「三鉄で三陸、岩手のいいものを味わう最高のぜいたく。他の乗客との出会いもうれしい」とご満悦の様子だった。 カキ料理は、首都圏でオイスターバーを経営し、２０１７年春に大槌町に加工場とレストラン「大槌牡蠣の星」の整備を目指すヒューマンウェブ（東京都中央区）が提供した。 【写真＝くずまきワインで乾杯し、カキづくしの料理を堪能する参加者】

日本は歴史的に独島（ドクト、日本名・竹島）は自国の領土だったと主張するが、日本人が制作した過去の地図は「独島は韓国の領土」と叫んでいる。独島を朝鮮の領土と表記した１８－２０世紀の地図を集めた『日本古地図選集』１巻（写真）が発刊された。社団法人ウリムンファカックギ会（会長ソ・ヨンフン）は２０日午前、ソウル仁寺洞（インサドン）寛勲（クァンフン）クラブ信永研究基金会館で記者懇談会を開き、日本古地図選集の古地図の意味と今後の計画を明らかにした。 古地図選集の中にはウリムンファカックギ会が入手して一般に初めて公開する地図が多数含まれている。江戸時代の有名な地理学者・林子平（１７３８－１７９３）が制作した１８０２年版「大三国之図」、１９３７年に日本陸軍省陸地測量部が発行した「地図区域一覧図」、５６年に日本建設省地理調査所が発行した「地図一覧図」など。このほかにも長久保赤水の「改正日本輿地路程全図」１７

佐良浜漁港では１１月に入り、大物キハダマグロが次々と水揚げされ活気づいている。これから本番の時期を迎える。 伊良部漁協所属の黄金丸（８㌧、浜川敬二船長ほか乗組員２人）は２０日午前、重さが６５㌔の大物を水揚げした。 浜川船長は「２０分余の格闘の末、釣り上げた」と声を弾ませる。 乗組員の久高正廣さん（６５）と長間宗誉志さん（３９）はマグロの腸などを取り除いた後、笑顔で仲買人に引き渡していた。 大物マグロは北方沖に設置されているパヤオ（浮き魚礁）を含む漁場から釣った。 一般の消費者が大物マグロを手に入れる場合は、数人でお金を出し合って買い求めている。

漁獲量が激減しているの日本の漁業。水産庁はサンマやスケトウダラなど7種目に漁獲可能量の上限を設定しているが、実質的な意味はないも同然。水産資源を守るために必要なこととは？ ◆日本の乱獲が原因で減ってしまった魚たち 太平洋クロマグロやマイワシ、サバ、アジ、ホッケなどといった魚は日本近海に産卵場を持っており、環境変動で一時的に減少することもあるが、国内で適切な漁獲規制をすれば持続的に利用できる資源である。 「’04年以降、最新鋭の魚群探知機を使い、産卵期のクロマグロを一網打尽にする巻き網漁が日本海で行われるようになりました。その結果、マグロの資源量が大幅に減ったことは乱獲が原因となる顕著な事例です」（水産資源問題に詳しい、勝川俊雄・東京海洋大学准教授） 同様に日本近海で産卵をし、成長する前に獲りすぎてしまったマイワシ、サバやアジ、ホッケなども大きく漁獲量を減少させた。これらを扱う漁師からは、

八戸市と階上町の4漁協のはえ縄船6隻の船主でつくる「八戸たらはえ縄漁業協議会」（横澤光幸会長）が近く、漁獲直後に船上で活（い）け締め処理した「船上活〆（じめ）真ダラ」を新たに売り出す。24日に同市水産会館で刺し身や鍋物などの試食会を開き、飲食店関係者らにPRする。横澤会長は「ブランドとして確立したい」と意気込んでいる。

志賀町福浦港で十二月一日に岩ノリ漁が解禁されるのを前に、地元の県漁協福浦港支所で二十一日、ノリを採る区画「のりじま」の競りがあった。地元組合員ら約七十人が、お目当ての区画をめぐって激しい火花を散らした。今年は一区画の落札額としては過去最高となる十九万円の記録が飛び出した。 この日は百五十七区画が競りにかけられ、合計は二百十五万二千円（前年比二十六万二千円増）で落札された。このうちの一区画を十九万円で競り落としたのは、竹谷一保さん（７３）。値がどんどんつり上がっていく中、最後まで譲らなかった。竹谷さんは「こうなりゃ意地や、という思いだった。記録を残しちゃった」と笑っていた。

秋サケ漁が振るわない。岩手県が今月１０日にまとめた漁獲速報では、昨シーズンと比べ、沿岸漁獲の水揚げ量は約４割減少している。来春の稚魚の放流に必要な採卵数を確保するため、山田町のサケのつかみ取りイベントも中止に追い込まれた。震災の影響はどこまで及ぶのか、回復は見込めるのか。関係者は、今後ピークを迎えるサケの回帰に期待している。 １９日未明、宮古市臨港通の宮古港。三陸沖の１２カ所の定置網漁場から船が次々に戻り、秋サケを水揚げした。慌ただしく作業していた男性は「以前なら朝夕２回の水揚げだったが、今年は朝だけだ」。 同市魚市場によると、水揚げ量は今のところ昨年同期に比べ１７万匹以上少ないという。潮の流れが悪く、秋サケの通り道ができる潮目が漁場と離れていることが主な原因と見る。 大沢春輝参事は「今月下旬から回帰のピークが始まる。海況がよくなって漁獲が回復してほしい」と今後の漁に期待する。 震災で沿岸

ハタハタ漁業者、漁獲枠拡大を要望　沖合は早期に枠超えも ※写真クリックで拡大表示します 漁業者から漁獲枠の拡大を求める意見が相次いだハタハタ資源対策協の第２回会合 ハタハタ資源対策協議会の第２回会合が２１日、秋田市で開かれ、漁業者から漁獲枠の拡大を求める意見が相次いだ。漁獲枠が昨季の半分以下であることから「経営が成り立たない」、今季は沖合の底引き網漁が好調なため「早期に漁獲枠に達しかねない」などと主張。協議会の遠藤実座長は「今後の沿岸漁の状況を見て、漁協と県で協議し対応を決めたい」とし、結論を見送った。 会合には漁協や県関係者ら約２０人が出席。沖合部会の船越守座長＝八峰町＝は「底引き網漁の漁獲量は昨年同期の倍程度となっており、早い段階で漁獲枠を超える可能性がある」と話し、自身はあと数回の漁で枠を超えるとした。 今季の漁獲枠は、先月の第１回会合で昨季の半分以下となる８００トンに決まった。

「庄内おばこサワラ」熟成すると増すうま味　山形で料理教室 2015年11月22日　10:27 調理を通し、庄内おばこサワラの魅力に触れた＝山形市・鈴川コミュニティセンター 庄内浜を代表するブランド魚で、今が旬の「庄内おばこサワラ」の認知度アップと消費拡大を目指そうと、料理教室が21日、山形市の鈴川コミュニティセンターで開かれた。 庄内産の魚の料理教室に取り組んでいる「うめぜ！庄内のごっつぉ教室」実行委員会と「旬の魚2期の会」が開き、市民16人が参加。2期の会の世話人や、庄内浜文化伝道師の資格を持つ同会会員らの指導であぶり刺し、しゃぶしゃぶ、塩焼き、スープ、ディップにして味わった。 庄内おばこサワラブランド推進協議会の漁師2人も講師を務め、船上での生け締め・神経抜きによって鮮度が長く保たれることや、熟成させるとうま味が増す特徴を紹介。2人が4日前に捕って熟成させた物を食材に使った。参加し

自分で握ったすしを食べる体験型のすし店「新湊すし塾」が２２日、富山県射水市善光寺にオープンする。 地元企業の経営者らでつくる運営会社のメンバーは、「外国人や県外からの観光客らに、富山の食文化を体感してもらいたい」と話している。収益は、すし職人を育成する学校の設立に充てる方針だ。 １９日に開かれた体験会では、観光業者約２０社の担当者らがすし作りに挑戦した。食事客役の担当者らは、店が用意したそろいの法被をまとい、カウンター越しのすし職人から身ぶり手ぶりで直接指導を受けながら、自分ですしを握った。すし作りから食事を終えるまでの所要時間は約１時間。値段はネタの種類で異なるが、最も安いコースは８貫で２８００円（税別）から。利用客は事前の予約が必要だ。 店舗は、廃業した新湊地区のすし店を改装した。取締役の倉谷勝さん（５２）は「新湊漁港があり、魚が有名なのに、地元のすし店数は２０年前から半減してしまった

等々力陸上競技場周辺で東日本大震災からの復興を支援するイベント「陸前高田ランド」が開かれた。フロンターレと岩手県陸前高田市が友好協定を締結したことで企画され、多くの家族連れでにぎわった。 ご当地物産の屋台はどれも人気だったが、中でも大粒なカキやホタテを販売する屋台には客が殺到し、１００人超の長蛇の列ができていた。広田湾漁協組合の戸羽新二さん（４４）は「川崎を始め、関東圏に復興や復活をアピールすることができた」と話した。

旬を迎えたサロマ湖産のカキ約１トンを、格安の食べ放題で提供する「牡蠣（かき）祭」が２２日、佐呂間町の道の駅「サロマ湖」で行われた。町内外から家族連れや観光客などが訪れ、湯気が立つカキを何度も皿に山盛りでお代わりし、味わっていた。 地元産のカキをＰＲしようと、佐呂間漁業協同組合と道の駅が開催した。１年もののカキを１０００キロ以上用意。会場で半斗缶に入れて蒸し上げ、午前１０時と同１１時３０分の２回、大人１０００円、子ども５００円で提供した。各回定員１００人で、朝から整理券を求める長い列ができた。友人と訪れたという旭川市の会社員崎出和則さん（２７）は、午前８時過ぎに到着し整理券を手に入れた。「甘みがあり、とてもおいしかった。７、８皿分は食べました。大満足です」と話していた。

◇中海漁協　２９日から出荷、市長に報告 中海漁業協同組合（松江市東出雲町）の渡部巧組合長（６４）らが、松江市役所に松浦正敬市長を訪ね、中海で養殖したサルボウガイを、今年は２９日から出荷すると報告した。 サルボウガイは、山陰地方では「赤貝」として人気が高い。県水産課によると、中海では１９５７年に約８０５トンの天然物が採れていたが、周辺での堤防建設などで生育環境が悪化。年々漁獲量が減少し、７７年を最後に漁獲は途絶えた。同組合では２０１２年度に養殖に着手。１４年度は２・７トンを生産した。今年度は養殖技術を高め、来年２月までに５トンの生産を目指している。 ２０日の報告会で、甘辛く炊いたサルボウガイを食べた松浦市長は「身が詰まっていておいしい」と顔をほころばせた。渡部組合長は「養殖施設を拡充するなどして生産量をもっと増やしていきたい」と話していた。 サルボウガイは今月２９日から、同市野原町の道の駅「

代表的な大衆魚のひとつであるサバは、日本市場に出回る多くが実はノルウェー産だという。そうなった理由はなぜか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。 ＊　＊　＊ 「秋サバは嫁に食わすな」と言われる（※編注：「秋なす」の誤植ではありません）。それほど秋～冬にとれるサバは脂がのって美味である……はずだが、最近では一年中、店頭でサバの姿を見ることができる。そして通年で出回るサバは、実はその多くがノルウェー産のタイセイヨウサバだという。 「現在、日本で消費されるサバの50％以上がノルウェー産のタイセイヨウサバです。スーパーで売っている塩サバや〆サバ、味噌煮や缶詰など、加工品の多くがノルウェー産で、なかには中国での加工を経由して入ってくるものもある。しかも、一般の消費者には、『真サバ』のイメージがいいようですが、水産加工の現場ではノルウェー産のほうが安定した品質だということは、水産関係者

イオンスタイル板橋前野町の「フィッシュバトン」コーナーイオンの総合スーパー事業を担うイオンリテールは、11月21日に開店した都内の新店舗に、認証魚のみを陳列する常設コーナーを初めて設置した。コーナー名は、「FishBaton（フィッシュバトン）」。親の手と子の手の間に魚を描いたロゴマークで、「豊かな水産物を次の世代につなげよう」と消費者に呼び掛けていく。（オルタナ編集委員＝瀬戸内千代） 世界の水産資源の減少と需要増が問題となる中、イオンは、2014年２月に制定した自社の調達原則に基づき、水産物について、「持続可能な商品の販売」「違法な取引の排除」「トレーサビリティの確立」「定期的なリスク評価」を進めてきた。 イオンは、国際NGOによる認証制度を日本で初めて活用した大手スーパーでもあり、天然魚などMSC認証品は2006年から、養殖魚などASC認証品は2014年から販売している。しかし、陳列棚