いまも過去最高の純利益を更新し続ける世界最大の自動車メーカー・トヨタ。なぜ同社はピンチに陥っても復活できるのか。トップの優れたリーダーシップの秘密は何か。トヨタを最もよく知る米ミシガン大学ジェフリー・ライカー教授が“快走”の理由を語り尽くす。 メディアの標的になった理由 トヨタは2009~10年の大規模リコール問題で危機に陥りましたが、今ではすっかりカムバックを果たしたと言えます。 あの危機でトヨタが学んだことの一つは「世界最大の自動車メーカーになるとメディアにターゲットとして狙われる」という現実です。背中に特大の標的を背負うようなものです。その標的を撃ち抜こうとして、メディアが銃を一斉に構えている――という現実に気づいたと言っていいでしょう。 以前のトヨタは、比較的小さな会社でした。態度もおとなしく、できるだけ目立たないように振る舞っていました。 1980年代から90年代の初めまで、日本
小林幸子さんが、インターネットとともに紅白に戻ってきた。 昨年の第66回NHK紅白歌合戦、ニコニコで“ラスボス”と慕われる小林幸子さんの紅白特別企画出演。黒うさPのボカロ曲「千本桜」を歌いはじめてしばらくすると、巨大なステージ衣装にニコニコのコメントが流れはじめた。 ツイッターのタイムラインにも、「弾幕」「コメント」といった字面が躍った。歌が終わりに近づいたとき、テレビ画面全体がコメントで覆われると「おおおおおおおお」「すげえ」「まじかよ」とツイッターは一層の盛りあがりを見せた。 じつに4年ぶりの紅白出場だ。ネットにも活躍の場を広げ、若者たちとともに歩んできた小林幸子さんにとって、その結実ともいえる舞台となった。 失敗の許されない生放送、ラスボスを支えたのはドワンゴの技術部隊だ。 ニコニコ生放送のコメントをリアルタイムで紅白歌合戦に流す。一世一代のプロジェクトに挑んだマルチデバイス開発部
負けたソフト開発者は質問に答える時も、頑なにカメラから顔を背けていた。勝ったプロ棋士も「嬉しいという感じはない」と硬い表情を崩さない。対局場を覆う、凍てついた空気が伝わってくるようだった。 4月11日、プロ棋士とコンピューター将棋ソフトが5番勝負を戦う「将棋電王戦FINAL」が幕を閉じた。結果は、大方の予想に反して3勝2敗でプロ棋士側が勝利した。失礼を承知でこう書いたのは、「電王戦」では団体戦形式となってから昨年まで2回連続でソフト側が勝ちを収めていたのに加えて、今回は更にソフトが強くなったと聞いていたからだ。 互いに2勝2敗となり、全体の勝敗を決める大一番として開催された第5局。昼近くになり、そろそろ対局場所の将棋会館に行こうかと思っていた矢先に「対局終了」との速報が流れて目を疑った。対局開始からまだ1時間も経っていない。ソフト「AWAKE(アウェイク)」の開発者である巨瀬亮一氏が、先手
フィンランドの国民が、ノキアの前CEO(最高経営責任者)のスティーブン・エロップ氏に怒っている。 ノキアは9月3日、かつて世界最大規模を誇った携帯電話事業を米マイクロソフトに54億4000万ユーロ(約7190億円)で売却することを発表した。それに伴い、エロップ氏は携帯電話事業の部門長に“降格”したのだが、売却後はマイクロソフトに幹部として招き入れられ、しかも、退任予定のスティーブ・バルマーCEOの後継者になると目されている。 さらに、マイクロソフトへの事業売却が完了した際には、1880万ユーロ(約25億円)もの“退職金”を受け取る契約になっており、その70%をマイクロソフトが負担するという。ノキアの携帯電話事業を再建できなかったにもかかわらず、古巣のマイクロソフトからこれほどの厚遇を受けることを聞けば、「エロップ氏はノキアCEOとして、本当にノキアのために経営してきたのか」との疑いの目を向
イノベーションを起こすためのICTにおける“武器”にはどんなものがあるのか。最近登場した技術やサービスの多くは、「第3のプラットフォーム」と呼ばれる、クラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャルの4領域に関連する。しかも、それぞれは組み合わさることで威力が何倍にもなっている。技術の詳細はさておき、「何ができるのか」を押さえれば、他社との差異化を生む新しい組み合わせが見えてくる。 「従来は思いもしなかった、または、やりたくても何らかの壁があって実現できなかった手法によって、企業価値を向上させること」―。pp.16-17で示した、本冊子におけるイノベーションの定義だ。この手法には様々なものがあり得るが、最有力候補は間違いなく情報通信技術、すなわちICTである。安倍晋三政権においても、成長戦略の“武器”としてICTを位置付けている。 ただ、ひと口にICTと言っても幅広い。様々な技術やサービスが日
さとう・いちろう/国立情報学研究所・情報社会相関研究系教授。1991年慶応義塾大学理工学部電気工学科卒業。1996年同大学大学院理工学研究科計算機科学専攻後期博士課程修了。博士(工学)。1996年お茶の水女子大学理学部情報学科助手、1998年同大助教授、2001年国立情報学研究所助教授を経て、2006年から現職。また、総合研究大学院大学・複合科学研究科情報学専攻教授を兼任。 専門はミドルウェアやOSなどのシステムソフトウェア。 佐藤一郎のパースペクティブ 分散システムの研究を核としつつ、ユビキタス、ID、クラウド、ビッグデータといった進行形のテーマに対しても、国内外で精力的に発言を行っている気鋭のコンピュータ・サイエンス研究者が、社会、経済、テクノロジーの気になる動向について、日々の思索を綴る。 バックナンバー一覧 ITの面白いところであり、怖いところは新しい技術により、これまで培われてき
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く