低線量放射線被曝リスクをめぐる最近の動向──BEIR VII報告を中心として - 市民研アーカイブス

市民にとってよりよい科学技術とは― 市民の問題意識を高めるための講座や勉強会を運営し、 市民が主体となった調査研究や政策提言や支援事業をすすめています 低線量放射線被曝リスクをめぐる最近の動向──BEIR VII報告を中心として 柿原 泰（市民科学研究室「低線量被曝プロジェクト」） ● 放射線は低線量なら安全なのか？ 昨年（2005年）6月末に米国科学アカデミーが低線量放射線被曝による発がんなどのリスクについて、「放射線被曝には、これ以下なら安全」と言える量はないと発表し（注1）、日本のいくつかの新聞紙上などでも報道された。それは、後述するように、BEIR委員会の報告書（BEIR VII）（注2）がまとめられたことによる発表であり、国際がん研究機関のE・カーディス（BEIR委員でもある）らによる15カ国の原子力施設労働者を対象とした調査の研究結果も同時期にBMJ（イギリス医学雑誌）に発

[hotsuma]

"100ミリシーベルト（職業上の被曝の5年間での線量限度とされている値）の被曝でも(略)他の原因でがんになる人（100人中42人と推定）に加えて、さらに100人に1人が放射線被曝が原因でがんになる"

[tilfin]

“結論として、放射線被曝のリスクは、低線量でもしきい値なしの線形を示し、どんなに小さい線量でもリスクを少しは増やす、とLNTリスクモデルを支持した。”

[mainyaa]

BEIR VII報告は、細胞レベルの実験や動物実験による生物学的基礎研究と人間集団の疫学データをあわせて考慮したうえで、LNT仮説は低線量域でも科学的に正しいと結論づけた