言葉の力

数年前、日経プラスの特集で、＜落ち込んだとき元気になる＞の部門で１位になった言葉がある。「人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている」（伊集院静）という言葉だ。年を重ねるにつれ、この言葉の持つ深い意味を感じ始めている。同じような意味合いの言葉であるが、’７０年代に作家・三島由紀夫がエッセイの中で、「仮にどんな親しい相手であっても、自ら弱音を吐いたり、気落ちした姿雄見せるべきではない。相手に対して失礼だ！」というようなことを言っていた。 かなり前のことだが、当時、位人臣を極め、私から見て非の打ちどころのないある先輩に向かって、生意気にも「･･･さんは、公私ともに順調で、素晴らしい人生を送られておりますね。」と言ったことがある。「そう見えるかい・・・・」その先輩、ボソリとそう言って、笑顔を作った。 後々、人づてにその先輩が様々な問題を抱えていることを知り、「なんて馬鹿な質問をしたんだろう・・・

[eijiowl]

「人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている」（伊集院静）