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金はないが、人望はあった無年金者の話
ちょうど3カ月ほど前、私のスマホに知らない番号から着信があった。 いつもなら、詐欺や勧誘の類いを警... ちょうど3カ月ほど前、私のスマホに知らない番号から着信があった。 いつもなら、詐欺や勧誘の類いを警戒してスルーするのだが、その時は電話に出た。何か感じるものがあったのだろう。 「●●さんの携帯でしょうか。私、●●と申します。先日、兄の●●が亡くなりました。生前は兄が大変お世話になったそうで、ありがとうございました」。 虫の知らせというヤツだった。 亡くなった兄とは、仲間内からの誰からも愛された、愉快な天然キャラの兄貴分で、後輩から「オヤジ」と呼ばれていた。 酒とギャンブル、そして鉄道を愛してやまない男で、失礼を承知で言えば、自堕落なオヤジの身内とは思えない、妹さんのていねいな語り口に少々驚いた。 古希(70歳)を目前にした突然の死。オヤジは生涯独身で、妹が一人いることは聞いていたが、面識はなく、話すのは初めてだった。 妹さんは多くを語らなかったが、死因は脳血管系の病気で、賃貸アパートで亡く