ダメ作家の作品は擁護されるべきか - 日比嘉高研究室

KaoRiさんの告白、告発の文章を読んだ。つらかっただろうと思う。 note.mu これを読んだあと、アラーキーの写真をこれまでと同じように見ることはできない。 アラーキーの写真は好きだった。 文学研究をしている人間として、私は作品の創作過程がはらんでいた倫理的・道徳的な問題を、そのままナイーブに作品自体の価値に結びつけて、断罪するようなことはしたくないと考えている。だから脊髄反射的に弾劾したりはしない。（現時点では一方的な申し立てだ、ということもある） しかし、自分も研究者であると同時に、この時代を呼吸する一人の人間で、こうした創作、公開、事後対応のプロセスを経ていることが強く疑われる（断定はしないでおく）作家の作品に対して、かなりの嫌悪感を感じてしまう。そしてその感情が、作品の評価に対して跳ね返ってしまうことを止めることはできない。残念だ。 私は「モデル小説」についての歴史的な研究とい

[NOV1975]

このタイトルなんか変な気がする。作品は作家の人間性のダメさ加減によって批判されるべきか、ではないか。個人的には作品のために人を殺したとしても作品はその背景も含め受容されるべきだし、罪は償え、と思う。

[eirun]

島崎藤村が生き残ったっていうのはアラーキーより芸術家として優れていたからというわけではなく、時間単位あたりの社会の作品出力数が少ない、消費が活発ではない時代のそれだったからじゃないのかなあ。

[kaionji]

殺人犯の手記は許されるのだろうか

[Indigo_blue]

KaoRi氏が荒木経惟の芸術性を完全に否定しているかといえば、そうでは無いと思う。芸術を生み出すために一人の人間を犠牲にしていいのかという問いかけではないのか。

[yoko-hirom]

まずは，価値ある作品を生み出したことを以って作家を高く評価することを止めないと。作品の価値と作家の価値を切り離したいのであれば。

[uunfo]

児童ポルノと何が違うのか。誰かの人権を蹂躙して作られたものを消費するのはありなのか。突き詰めると牛丼も食べられなくなりそうだが。

[by-king]

妻を自殺に追い込んでおいて不倫旅行したときの楽しい体験を元に作られたドビュッシー作曲のピアノ曲「喜びの島」が未だにコンクールやコンサートで毎回定番である、みたいな？

[cider_kondo]

ハックルさんが言ってる事重みある。実際、作品が商業出版されるようになった時代については間違いなくそうだし、それ以前はパトロン(定義は「作家に金を渡す人」であって「作品を買う人」ではない)がいた時代である

[mikanyama-c]

“ただし、そのことは被害者を不幸にしなかったことは意味しない。たんに、被害者の悲劇がほとんど一顧だにされなかったというだけである。”

[htenakh]

駄目なそのキャラクターも一部にファンを獲得されれば、残るっていう感じがする。イングウェイにしろ、啄木にしろ。

[metroq]

“芸術家の作品の価値が、作品外の要素を排除して、それ単独で決まるというのは、ロマンチックな幻想に過ぎない。”

[t-tanaka]

作品は評価されているダメ作家として思いつくのは森鴎外。ほかの作家は身の回りの人間に迷惑をかけたくらいだが，森は軍医として数万人もの陸軍軍人を無為に死なせた。

[seven_cz]

この写真家の名を見る度、90年代に被写体女優から起こされた出版差し止め訴訟を想起してしまう。納得ずくで撮影されたくせにと撮られた側を嘲笑する声が多かったと記憶するが、今なら違うのだろうか。

[mujisoshina]

芸術家の作品は創作過程における問題によって価値が変わるのかと同時に、同じ創作過程に対してモデルがそれを受容しているか否かで作品の価値が変わるのかは悩ましい。"同じように見ることはできない" が正直な所か

[chuunenh]

元エントリーにコメントする気はしなかったが、ひどい搾取であると同時にプロモデル失格な話だと感じた。

[pigumii]

アラーキーは写神を自称し自負していて、私はそれが出来るのはアラーキーしかいないと考えている。後にも先にもいない、唯一写真を体現した人。他の誰がどう撮っても、横から撮っても出来ない。

[gabill]

「この小説は100%空想で、作者の人生経験は乗っかってません」と言い切っても評価される作品は、作者の人格と切り離して考えてもいいと思う。『走れメロス』はそれが言える。『人間失格』はそれが言えない。

[Galaxy42]

イリナ・イオネスコが先頭じゃなかった。

[uporeke]

倫理観が時代と共に変わってきて、芸術の受容も同様に変わっていくべきなのだと思う。それがおもしろい未来かどうかは別だし、残念だけど芸術が大きく世界の価値観を変えることは今後減少していくと思う

[YOW]

Kaoriさんの告発に寄せての記事「私は「モデル小説」についての歴史的な研究というのをやっていて、これとよく似たトラブルの史的変遷について知識がある」

[mahal]

トップぶこめに、最近はてな名士界ではルリー氏に押されがちなあの人という、適材適所ぶり

[cj3029412]

沢木耕太郎「檀」はその辺り（火宅）を救いに行った作品のひとつです。許す（許される）かどうかは原理的に当事者以外には語り得ないものと思います。ほかに谷川俊太郎「母の恋文」も。

[totoronoki]

「すべき」論として受け手側が統一見解を見出す必要はないと思う。

[b-zou3]

フリッパーズ・ギターの小山田圭吾は小中高と障害者をいじめたおして、反省もせずに雑誌のインタビューで語る最低のクズだが、「恋とマシンガン」は名曲として後世まで残るでしょう。現実はそんなもんかと。

[movesinthefield]

現実と虚構の境目はそんなに簡単に引けるものではない。だからこそそこに真摯に対峙しない表現者は「無頼気取り」じゃないのかな。ナチュラルボーン芸術家ってのも神話でしょう。自己洗脳はいくらでも可能よ。

[REV]

文化盗用に似た問題か

[laislanopira]

“柳美里「石に泳ぐ魚」裁判とそれ以後”

[hinbass]

作家の人間性と作品の質は分けて考えるべきやで。良くも悪くも。

[taguch1]

頭の悪い方から食い物にされる。芸術、やりがい、脅迫、義理人情、等々理由は後から適当につければいいけど昔から変わらないわけで。

[kaos2009]

“「モデル小説」トラブルの史的変遷。近代の小説家は、明治からずっと、まわりにしばしば迷惑をかけて創作を行ってきた。代表的なのが島崎藤村である。”

[maicou]

音楽家もしばしば拙い歌手やサブカル女子などを「素材として」使用しケアを考えないようなところがある。むしろそれが文化になっていたと言ってもよく。しかし今後はどうか。ちな当時の人もう全員アラフィフ。