柴村仁、見下ろす、落語 - 過ぎ去ろうとしない過去

柴村仁が嫌いである。 いやまあ、本人は「会えばいい人」なのかもしれないが、彼女の書いたものはことごとく嫌いなものが多い。 ぼくが読んだ限りにおいて、彼女の小説のスタイルについては次のような印象を持っている。つまり誰かが死んだこと、または何かが失われたことがまず強烈なインパクトとして存在していて、その事実を中心に物語が回っていく*1。『プシュケの涙』がまさに典型的だが、『我が家のお稲荷様』もそうで、あの話の構造は要するに死んだ母親の縁で胡散臭い奴らがわらわらやってきて、死んだ母親の話をして帰っていくというものだろう。死んだ母親が物語の中心にあって、ことあるごとに母親が死んでいるということが思い出さされるのだ。 それで、なぜそういった喪失を中心とした物語（くーきょなちゅうしん、とか言いたければ言えばいい）が嫌いかというと、そうした物語はたいてい「見下ろす視線」というものを構造として保有している

[hokusyu]

むしろ言いたいことはこっちに近いかもだ。http://d.hatena.ne.jp/hokusyu/20081226/p1

[ishikawa-kz]

「経験上、少なくとも落語が好きな人には人間の不完全さ、胡散臭さ、おろかさ、のようなものを積極的に[見下ろして」いこうとする態度をとる人が多いと思っている。」←う～ん色んな意味で思い切った発言。びっくり

[SIVAPROD]

談志が小室直樹や渡部昇一をヨイショしててさもあらんと思った。/江戸落語と上方落語においての与太郎ときいやんの描かれ方の違いはすごく大きいと思う。

[nessko]

芸人は一般人にはバカにされやすいし、その上での立川談志の発言なんだが、談志がまた落語家の中では特異な存在だからな。談志やビートたけしをいたずらに持ち上げる文化人こそが醜い。芸人を見下したまま利用する。

[Apeman]

「立川談志というひとはまさに「不完全な、悪としての人間こそほんとうに人間らしいし、そのような人間を描くのが芸である」というようなロジックで自分の差別心を正当化しているようにしか見えない」　げに。

[noiehoie]

今頃気づいた。家元のスタンスへの理解が皮相すぎるのはさておき、あの程度で「見下ろす」というのなら、これはまさに「「見下ろす奴らが嫌い」という上から目線」になってしまうんでないの？

[yamazakura]

どのへんが「見下ろす」視線なのかが具体的に分かりやすく呈示されてないから、同意するわけにはいかんのだな。ただ海燕さんのツッコミトラバには同意なのだけど、本題とはちとズレてるような気もしないでもない。

[workingmanisdead]

まじめな人だな/不完全な自分を肯定してくれてるように読むのは不真面目？/文学というものは文体だけを吟味せよと言われたが・・・今はその次を考え中

[toriatori]

だから談志はいて、枝雀はいないのかと思った。

[laislanopira]

"「世界は美しくなんかない」が深イイ話としてもてはやされるのは、マーケティング的にいえば中学校までだったはずではないか"

[nisemono_san]

自分の問題領域と関係があるので、メモ。多分、この問題は"アナーキズム"と括られる一連の運動とも関連がある。ポイントは、地面から空を見上げるか、空から地面を見下げるか。

[makamaka_at_donzoko]

"不完全","悪としての人間こそ","人間らしい","そのような人間を描くのが芸","で","差別心を正当化","そのようなものが芸","なら、芸が禁じられる世の中と、芸の名の下に差別が行われる世の中","どちらが息苦しいか" 興味深い

[goldhead]

まるで見下ろされる側は言葉を発することはありえないとでもいうような分断。

[godfrey]

最後の文章だけなんか納得。あとはピンとこない。/個人的に「不完全性」という言葉と完全性への信仰のイメージが好きじゃないからだと思う。/見下ろす眼差しは身下ろす眼差しでもあって、人は空と地面の間を漂う。

[kangiren]

笑福亭一門は、自ら汚れ役に徹してるように見える。最近のさんま師匠のいじりは、上から目線だなあと思うけど

[mujige]

「偽善を非難する人がいるが、偽悪より偽善の方がまし」と、たしか梶村秀樹が言ってたな。

[str017]

「死んだ母親が出てくる」話ってのは、透がまた一歩大人に近づく為の、通過儀礼的な意味合いなんじゃないかな／『プシュケの涙』は未読なのでノーコメもアリや

[Yagokoro]

ナイーブに過ぎるが、視点としては面白い。と見下ろしてみた。

[Miki-Tea]

「落語には狸や狐が出るから良い」と言った志ん朝。芸の評価軸は立川系だけでない。今日的だとは思うけれど。/「不完全性を愛でる(＝業の肯定)」には自己憐憫もあって、確かに鼻につくが、そういうもんな気もする。

[Domino-R]

知ろうとすることと知りえないということは両立するが、知りえないと「知る」ことで知りえないということを超克したかのように振舞う者はいる。彼はもう知ろうとしない。知ろうとしないことと知りえないことは別。

[tikani_nemuru_M]

自分の差別感の正当化なんてものは芸の名に値しないのだよ。談志なんてただのへたくそじゃんか。

[dambiyori]

「あるものは不完全である（だがそれがいい）というとき、必要になってくるのは、その不完全性なるものを上から見下ろす視線である。」

[soylent_green]

読んだことはないが、落語のくだりでなんとなく理解した。

[REV]

内容はともかく、自分が好きなもの、関心のあるもの、について語ることは素晴らしいと思う。

[zaikabou]

あーあ

[crow_henmi]

そういう残酷を受容し内面化することが「適応」や「去勢」であり、つまりは大人になる機序の基幹であるがゆえに、大人にとって普遍的な想像力といえる。その普遍的な残酷とどう向き合うべきか深く掘り下げてほしい。

[flurry]

>id:crow_henmiさん。確認ですが、この文章で問題にされてるのは「自らの不完全性」云々ではなく「他人を不完全なもの、欠けてるものとして見る自らの視線」だと思います。それを指して内面化と書かれてるのでしょうか？