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余録:「嘉納治五郎の精神に反する」… | 毎日新聞
「嘉納治五郎(かのう・じごろう)の精神に反する」。こう非難したのは国際柔道連盟(IJF)、非難さ... 「嘉納治五郎(かのう・じごろう)の精神に反する」。こう非難したのは国際柔道連盟(IJF)、非難されたのは全日本柔道連盟だ。8年前、柔道女子日本代表らの告発により監督・コーチのパワハラが明るみに出た際である▲この時、選手たちは連盟の自浄能力に不信をぶつけ、内閣府が抜本改革を勧告するはめになった。国際団体に「嘉納治五郎の精神」を説教され、政府に隠蔽(いんぺい)体質の一掃を促される――日本の柔道界は深刻に恥じ入らねばならなかった▲「精力善用」「自他共栄」は、講道館柔道の創始者で五輪運動を主導した治五郎の2大精神である。力は人を威圧するためでなく世のために用い、自他相互に尊重し合えば共栄できる――まあ、パワハラや不祥事隠しとは対極をなす▲幹部職員によるパワハラが疑われる行為の調査報告を受けながら公表せず、当人の自主退職を認めていた今回の全柔連トップの対応だった。山下泰裕(やました・やすひろ)会長は