土記：結婚のかたち＝伊藤智永 | 毎日新聞

＜do－ki＞ テレビ脚本家の向田邦子さん（1929～81）は生前「ホームドラマの旗手」と呼ばれたというが、「阿修羅のごとく」（79年）、「あ・うん」（80年）など代表作の多くは不倫モノである。 といっても主要テーマではなく、中心人物にそういう異性関係を抱える役が必ず登場する。家庭は不穏にきしむが、それで家族が壊れる展開にはならない。旗手というより、予定調和のホームドラマに終わりを告げた人だった。 どんな健康な家庭にも陰はある。夫婦は誰しも元は他人同士。肉親も一皮めくれば個の集まり。子どもは独立した大人になる。家族は互いを気遣う危うい均衡の上に成り立っている。庶民なら生活実感として知っている。だから向田ドラマは評判となり、40年たった今も関心を引くのだろう。 没後、遺族が明かした手紙や知人の証言によると、生涯独身だった向田さんには若い頃、家族にも秘めた悲恋があったらしい。…

[taketake89]

“実はこれは日本人になじみのある生き方でもある。明治に戸籍制度が始まり、旧民法が制定されるまで、江戸時代の夫婦は共働きが当たり前、離婚率は今より高かった。元の日本の姿に戻ると思えばいい”