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消えた遊郭の面影求め 私小説「忍ぶ川」舞台の東京・深川を歩く | 毎日新聞
さまざまな文学作品に登場する「現場」の今を記者が訪ねる「現場百変」。今回は芥川賞受賞作品である三... さまざまな文学作品に登場する「現場」の今を記者が訪ねる「現場百変」。今回は芥川賞受賞作品である三浦哲郎の短編小説「忍ぶ川」(1960年)を取り上げる。 「志乃をつれて、深川へいった」。「忍ぶ川」の冒頭である。物語は、やがて結ばれる「私」と志乃が知り合ったばかりの頃、ともにゆかりのある東京・深川かいわいを訪ねる場面から始まる。志乃の母校が「焼けただれたコンクリートの肌を陽にさらしている」とあるから、戦後間もない時期だろう。 「ぼくは、木場」 「あたしは、洲崎」 こう確認し合って歩き出した2人の足跡をたどってみた。 志乃が生まれ育った洲崎(すさき)は「娼婦(しょうふ)の街」だった。現在の東京都江東区東陽1あたり。東京メトロ東西線の上を走る永代通りの南にはかつて、並行して洲崎川という運河が流れており、そのさらに南に遊郭が広がっていた。57年の「江東区史」には、34年の数字として妓楼(ぎろう)が3
2023/08/14 リンク