「ある日突然、親の介護」「ストレスが蓄積……」増え続ける高齢者虐待の闇 | 地域で暮らし続ける～日本とデンマークの現場から | 銭本隆行 | 毎日新聞「医療プレミア」

厚生労働省の調査によると、介護施設など介護従事者による高齢者への虐待件数は、2019年度に過去最多の644件に上り、調査を始めた06年度から毎年増加しています。高齢者への虐待はなぜ起きるのか、そして虐待に気付くためのサインはあるのでしょうか？ 住み慣れた地域で健康に暮らしていくために、地域包括ケアシステムに関する研究を進めている日本医療大学認知症研究所研究員の銭本隆行さんが、その背景を読み解きます。 虐待の五つの種類とは 高齢化社会が進む日本において、高齢者に対する虐待の話はしばしば聞かれます。高齢者が増加していく中で家族の負担も増すため、社会全体で介護を担っていく「介護の社会化」を目指し、00年に始まったのが介護保険制度です。 「介護の社会化」を実現するために、地域や医療・福祉機関などが連携する地域包括ケアシステムの構築など、さまざまな試みが進められています。しかしその陰で、十分な支援を