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西澤保彦『黒の貴婦人』(1) - IG@d.hatena
「あのね、警察がどうするか、なんてことに興味はないの、わたしは」タカチってば、妙に凄むような声で... 「あのね、警察がどうするか、なんてことに興味はないの、わたしは」タカチってば、妙に凄むような声でタックを睨む。「あなたはどう考えるのか、と訊いているの」 「え……いや、だから」トイレに行きたいのを我慢しているみたいな、そんな、なさけない顔で身をよじるタックだけれど、先輩からもあたしからも助け舟を期待できないと見てとったのか、観念したみたいに、「……無責任な想像でよければ」 「わたしたちが、いま何をしていると思ってたの? 無責任な想像のぶつけ合いでしょ」 《匠千暁》シリーズ8作目。短編五本。タカチ・ボアン先輩は就職し、ウサコは院生になり、タックはフリーター。時の流れが何だかもったいないシリーズ。『スコッチ・ゲーム』以降親密になってゆくタックとタカチについては、あまり書かれず。各話何らかの形で登場するタカチの女神的な扱われ方。たまにタックが猫丸先輩に見えて仕方がない。
2006/02/21 リンク