すべては距離感である（23） なぜ距離感なのか｜石井朋彦

カメラを使っているのか、使われているのか写真を撮るときに、考えることは何でしょうか。 カメラを手に被写体を決め、ファインダーや液晶モニターを覗き、構図を決定する。 背景をどのくらいぼかすか、パンフォーカス（レンズを通過する光の量を少なくし、ピントの合う前後の範囲を広くする）で撮るのか……ミラーレスカメラであれば、明るさや色味等、撮影結果を撮影前に設定・確認することもできます。 液晶画面に表示される様々な数字やゲージ、設定を変える度に変化するインターフェース……。 ふと我にかえると、自分がカメラという道具を使っているのか、カメラに使われているのかわからなくなることはないでしょうか。 今回は、カメラという道具を使い、「人間」が写真を撮るという行為について考えることで、なぜ先人たちの多くが「距離感が大事」と仰るのかを、考えてみたいと思います。 人間は、一度にいくつものことができない。いくら技術が