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四月の気層のひかりの底を – 転轍される世界
心象のはひいろはがねから あけびのつるはくもにからまり のばらのやぶや腐植の湿地 いちめんのいちめん... 心象のはひいろはがねから あけびのつるはくもにからまり のばらのやぶや腐植の湿地 いちめんのいちめんの諂曲〔てんごく〕模様 (正午の管楽よりもしげく 琥珀のかけらがそそぐとき) いかりのにがさまた青さ 四月の気層のひかりの底を 唾し はぎしりゆききする おれはひとりの修羅なのだ (風景はなみだにゆすれ) 碎ける雲の眼路をかぎり れいろうの天の海には 聖玻璃の風が行き交ひ ZYPRESSEN 春のいちれつ くろぐろと光素〔エーテル〕を吸ひ その暗い脚並からは 天山の雪の稜さへひかるのに (かげろふの波と白い偏光) まことのことばはうしなはれ 雲はちぎれてそらをとぶ ああかがやきの四月の底を はぎしり燃えてゆききする おれはひとりの修羅なのだ 宮沢賢治の「春と修羅」の冒頭である。 賢治が身を置いていたであろう岩手の四月の清冽で透明な空気は、私がいる京都の四月には望むべくもないが、それでもこの季