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あまりに酷な「がん治療」の現実 私が医師としてのキャリアをスタートさせたのは、大阪府立成人病センタ... あまりに酷な「がん治療」の現実 私が医師としてのキャリアをスタートさせたのは、大阪府立成人病センター(現・大阪国際がんセンター)です。 既存の考えに対して「ほんまかいな?」と投げかける好奇心と、突拍子もない発想や発言を「おもろいやないか」と受け止める度量がある、一風変わった病院でした。自由闊達な空気に満ちた病院で呼吸器内科医としてたくさんの肺がん患者さんを診ることになるのですが、かなり厳しい状態の患者さんが多かったのを鮮明に覚えています。 今は肺がんによく効く抗がん剤も出てきましたが、当時はそんなものはありませんでした。進行した肺がんの患者さんに対して効果的な治療は皆無に等しかったのです。 その頃、アメリカのがん専門医にインタビューした調査報告書が発表され、そこでも「自分が進行した肺がんと診断された場合、抗がん剤治療はしない。痛みを取り除くことに専念する」と回答した医師が大多数と記されてい