「ナイアガラ」と稲庭うどん 光のシャワーを成功させた魔術師の技：朝日新聞デジタル

連載ＨＡＮＡＢＩ 第1部 大曲の花火師たち（4） 好天となった8月26日。秋田県大仙市の「大曲の花火」の幕が開いた。秋田出身のシンガー・ソングライター津雲優の曲「夢の空」が流れると、会場は幻想的な空間に包まれた。アナウンスが響く。 ようこそ、花火のまち・大曲へ。長い歴史に培われた音と光の描写をお楽しみください――。 和火屋の久米川和行（49）が無線機をつかんだ。 「点火！」 白い光の滝が横一線に延びる。仕掛け花火「ナイアガラ」だ。 続いて舞い上がる光が、赤、黄、緑と七色に変化しながら、花となって八方に咲いた。 会場の興奮が一気に高まる。 久米川は観覧席を見渡し、ひと息ついた。 和火屋は江戸末期に大名に仕えた「お抱え花火師」が源流で、1901（明治34）年に創業した。4代目社長の久米川は物心がついた頃から色鉛筆にあこがれ、いまや「色彩の魔術師」と呼ばれる屈指の人気花火師となった。