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■要旨 日本では再三再四にわたり消費税率の引上げが延期されている。この背景には1997年及び2014年に実... ■要旨 日本では再三再四にわたり消費税率の引上げが延期されている。この背景には1997年及び2014年に実施された過去2回の消費税引き上げで日本経済が大きな影響を受けたことがあるとみられる。一般的に、消費税の変更は実質購買力を減少させる(所得効果)ほか、異時点間の代替効果(いわゆる駆け込み需要とその反動減)を発生させることが考えられる。異時点間の代替効果については、通じてみれば経済学的には影響はないとみなされているが、現実には、異時点間の代替効果は大規模に生じ認知ラグなどを通じて在庫調整を引き起こすなど、経済に大きな影響を与えてきた(小巻(2015))。 他方、欧州では、付加価値税(Value-added Tax、以下VAT)変更後には、異時点間の代替効果は発生していないと指摘されている(森信(2012)など)。異時点間の代替効果が経済活動に影響を与えるのは日本独自のものであろうか。本論で