【九州の礎を築いた群像 ＪＲ九州編（５）】新幹線編（１）「３大バカ査定」四面楚歌の九州新幹線＋（1/5ページ） - MSN産経ニュース

国鉄分割民営化によりＪＲ各社が誕生して１年余りを経た昭和６３年夏。自民党交通部会長の小里貞利（８３）＝後に労働相、自民党総務会長など歴任、平成１７年に政界引退＝は、東京都国分寺市の鉄道総合技術研究所本部を訪れた。何のセレモニーだったかは覚えていない。 小里がトイレで用を足して、ふと振り向くと顔見知りの男が立っていた。上越新幹線建設などに携わった日本鉄道建設公団（鉄建公団、現鉄道建設・運輸施設整備支援機構）の技術畑のエースだった。 「小里先生、上越新幹線はトンネル掘削工事が長引き、完成予定が５年も伸びてしまったんです。九州新幹線も大がかりなトンネル工事がありますよね。万一着工が遅れそうなときは『難工事区間』として先行着手を要求するという奥の手があります」 男はこう耳打ちすると、足早に消え去った。「なるほどその手があったか…」。小里は膝を打った。 この会話は一体何を意味するのか。 民営化したＪ