ロングラン上映が続き、上半期のヒット作となった『愛がなんだ』。今泉力哉監督が本作で描いたテーマは、多くの人々から支持を得た。一方で、解釈が難しかったという感想を抱いた人もいる。今泉監督が伝えたかったメッセージは何か。愛すること、誰かに寄り添うことの意味とは。今泉作品に数多く出演し、その制作過程をよく知る女優の新井郁さんを聞き手に、今泉監督が考える「愛のかたち」を語ってもらった。 正解を明示しない『愛がなんだ』は、どう受け止められた? 新井郁(以下、新井):『愛がなんだ』はもともと原作を読んでいたので、映画化されて、今泉さんの世界観ではどうなるんだろうってワクワクしていたんです。実際に見てみると、すべてがハマっているなと。原作の凹凸がすべて映画としてきれいに昇華されていて、今泉作品で一番、スッと入ってきました。同時に、これまでの作品で描かれていた恋愛とは、少し違うなという印象も受けたんです。