手術件数を増やして借金返済 癌研は窮余の一策を講じた。手術の件数を増やすことで、増収分を返済にあてるというものだ。年間五千件の手術を七千件まで増やすという。今でさえフル回転で働く医師たちは、さらなる過労を強いられる。患者の命がかかる手術が、借金返済、つまり銀行の都合で大幅に増やされるのだ。 「今は年間六千八百件まで手術を増やして、総収入は二百八十億円です。支出のうち、人件費は三九%。その辺の病院なら八〇%のところもザラにある。我々は、滅私奉公ですよ」(癌研医師) 癌研は二〇一一年から、年間十七億円余りの元本返済と、六億円余りの利払いを銀行団にせねばならない。新たながん研究や設備投資は、絶望的だという。 「日本屈指の技術を誇る放射線治療も、今は三カ月待ちですよ。三十億円で三台の機器を買えば、倍の患者に対応できる。癌研の能力は日本の財産なのに、それが借金返済で腐っていくのです」 幹部