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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (146)

  • 事故る人と事故らない人のあいだ『交通事故学』

    人は一生のうち、一度は交通事故に遭遇して負傷するか死亡する可能性があるという。書は、その確率をより小さくするための一助となる。 著者は早稲田大学の教員で、行動特性の観点から交通事故におけるヒューマンエラー分析を行ってきた。その知見を元に、人間心理、車の構造、交通システム、運転環境の視点で、「どうしたら事故を減らせるか」に迫る。人は間違いをするものだが、車が衝突するかしないかは、ドライバー次第であるという主張に身が引き締まる。事故る人と事故らない人のあいだには、運以外のものが沢山あることが分かる。 「人は間違える」という前提で、「物陰から急に飛び出してきた」という証言や、「とっさのことで間に合わなかった」という説明が再検証される。突然、危険が発生したかのように聞こえるが、実はその前に判断材料があるにもかかわらず見落とし、判断せずに進行してしまったため事故に至ったケースがほとんどだという

    事故る人と事故らない人のあいだ『交通事故学』
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    fiblio 2015/01/23
    「日本人は一生のうち、一度は交通事故に遭遇して負傷するか死亡する可能性があるという。本書は、その確率をより小さくするための一助となる。」石田敏郎『交通事故学』(新潮社)
  • 文学の魔道書『偏愛蔵書室』

    いいを書く人は、いいを読んでいる。 いわばGIGO(garbage in garbage out)の対偶だね。開高健や池澤夏樹、ナボコフやモームから知った経験則でもあるのだが、これに諏訪哲史を入れるべき。 なぜなら、この『偏愛蔵書室』そのものが魅惑的な書評集であり、見知ったから察するに、惑溺を誘う文学ばかりだから。流行に背を向け、公序良俗クソ喰らえな態度が好きだ。傑作も怪作も分け隔てなく、ペダンチックに喜々として語る、挑戦的な口調も大好きだ。 厳選された100冊が凄まじく偏っていていい。東西、硬軟幅広く、文学の森の奥深くまで分け入って、戻ってこれなくなっている。正直、これらが並んでいる書棚は近寄りたくない。帰り途が分からなくなること請け合い。 硬質で強靭な梶井基次郎やリルケを経由して、どろり濃厚ゲルルンジュースの丸尾末広、バーカーの沼に浸る。ラヴクラフトやボルヘスの悪夢を徹夜で視て、

    文学の魔道書『偏愛蔵書室』
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    fiblio 2014/12/13
  • スゴ本オフ「2014ベスト」まとめ

    好きなを持ちよって、まったり熱く語り合う。それがスゴオフ。 飲んだりべたりゲームしたり、料理をしたり映画を観たりハイキングにも出かけたり。「」つながりでどんどん広がる友人の輪。そして、「そのが好きなら、このはきっと気に入るはず」というアドバイスがリアルで聞ける(←重要)。気になる方は、facebook[スゴオフ]をご覧あれ。 主催者のわたしが言うのも変だが、自分自身にとって、大変ありがたい場となっている。いかに狭い井戸に閉じこもっていたか、どんなに凄いが自分の圏外に沢山あるか、具体的な作品でもって思い知らせてくれるから。 「と犬」とか「怪物」、あるいは「嘘」といったテーマを設けて、それに沿った作品を持ってくるのだが、今回は「2014ベスト」と称し、今年読んだオススメを持ちよって。これがまた、バリエーションが広くて深くて面白い。まさしく、「わたしが知らないスゴは、きっとあ

    スゴ本オフ「2014ベスト」まとめ
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    fiblio 2014/12/09
  • この本がスゴい!2014

    人生は短く、読むは尽きない。 せめて「わたし」が知らない凄いと出合うべく、それを読んでる「あなた」を探す。それがこのブログに込めた意味であり、このブログを通じて数え切れないほど「あなた」に教わった。「自分の興味=世界のすべて」という独善に陥りそうなわたしの蒙を何度も開いてくれた。そんな「あなた」に感謝を込めて、今年読んだ中から選んだ。 ここで紹介するのは今年読んだスゴの一角かつ100%わたしの趣味だ。もっと多様でさらに熱いのを求めるなら、facebook「スゴオフ」をご覧あれ。面白いをリアルに相互に紹介しあう、宝の山脈になっているから。 フィクション きんいろモザイク 原悠衣 芳文社 かわいいは正義だ。 大事なことだからもう一度、かわいいは正義だ。痛勤電車で揉まれ、仕事でシバかれ、暗い欲望に惑いまくりの中年には、可愛い女子高生のゆるふわな日常が、ものすごく効く。ギスギス息苦しい空

    この本がスゴい!2014
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    fiblio 2014/12/01
  • 『読書狂の冒険は終わらない!』本好きあるある

    読書狂」と書いてビブリオマニアと読む。 『R.O.D』の倉田英之と、『ビブリア古書堂の事件手帖』三上延の対談。ベストセラー作家であり、書痴である二人が、これまで読んできたについてトコトン語りつくしている。語りがそのまま良いブックガイドに仕上がっており、好きをこじらせた人にうってつけ。 序盤はモダンホラー。キング、マキャモン、クーンツと、モダンホラーの洗礼を受けた二人が、選りすぐりを紹介してくれる。新潮文庫からハマり、扶桑社ミステリーで短編を漁り、リチャード・バックマンという宝を見つけて歓喜するというお約束のルートを踏破しているところが楽しい。お薦めが『デッド・ゾーン』なんて(キングにしては)短めなので、良い選択だね。「クーンツは何読んでも同じ」や「“キング絶賛”はアテにならない」など、あるあるネタをぶちまける。 そして、「“キング絶賛”はアテにならない」例外として、クライヴ・バーカー

    『読書狂の冒険は終わらない!』本好きあるある
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    fiblio 2014/11/19
  • すべての小説好きにお薦め『荒涼館』

    小説を読むことは 沢山の人生を生きることだ。そこに描かれた人々と、それを読む自分を掛け合わせ、好悪の反応から"私"が何者であるかを知る。デフォルメされた人物や、神視点の作者を通じ、人生劇場の一員として、自分をそこに放つ。『荒涼館』には、小説のあらゆる面白い要素、醜い感情、愛すべき人情、哀切そのものが、人生の形で詰まっている。小説はフィクションだが、湧きあがる喜怒哀楽の涙は、ぜんぶ物だ。 同時に小説は、読むこと通じてのみ肉薄できる芸術である。絵のように一望したり、音楽料理のように「入ってくる」ものではない。こちらから読むという行為を通じ、その世界にもぐりこむことで「世界になる」経験だ。そして『荒涼館』は、読むことでしか堪能できない傑作である。重厚・巧妙に張り巡らされた伏線が引き絞られ、からめとられるとき、これまで通り過ぎてきた舞台や人物や事件やテーマでさえ(!)、実はそのシーンのために周

    すべての小説好きにお薦め『荒涼館』
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    fiblio 2014/11/13
  • 涙もろい犬好きのためのミステリ『ウォッチャーズ』

    わんこ愛に満ちたSFミステリなのだが、クーンツが描くとドラマティックになる。ン十年と積読してたのを、次回のオフ会のテーマ「と犬」に合わせて読み干す。 孤独な男が森で出会ったラブラドール・レトリヴァーは、ひとなつっこい一方で「犬」らしくない知性を持っていた―――これが入り口。ふつうの犬より表情が豊かで、知的で、もののわかった感じがする。注意の持続時間が犬らしくなく、相手を長くじっと見つめ返してくる。『遊星からの物体X』で"乗っ取られた犬"を知っている人にはホラーな一瞬だが、大丈夫。もっと"ありうる未来"の犬だから。 この犬を軸に、トラウマを持つ男と女の快復と愛の物語と、生物兵器をめぐる陰謀と殺戮の報復譚と、邪悪で醜悪な知性との対決が絡み合う。さすがページ・ターナーの魔術師、読書の快楽のツボを押さえ込んでいる。謎が謎を呼ぶ伏線、逃亡と追跡のカットバック構成、得体の知れない「なにか」が迫ってく

    涙もろい犬好きのためのミステリ『ウォッチャーズ』
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    fiblio 2014/08/25
  • 読書の夏で20冊、夏をテーマに選んでみた

    爽やかな田舎の風景だとか、ひと夏の恋や冒険、心胆凍る恐怖夜話など、夏を感じる、夏を味わう作品を選んだ。読むとアツくなるやつも混ざっているのでご注意を。 まず、夏といえば夏休み。だから「よつばと!」(あずまきよひこ)。学生じゃない身分になって幾年月。子どもが、「もうすぐ夏休みだー」などと指折り数えていると、「チッ」と舌打ちのひとつもしたくなるもの。あれだけ沢山の入道雲を眺め、あれだけ沢山のセミとりをしたにもかかわらず、キラキラとした思い出は欠片ぐらいしか残っていない。それを1000倍ぐらい拡大したのがこれ。天真爛漫の「よつば」が、周りを巻き込む無茶ぶりに、文字どおりハラ抱えて笑う。と同時に、帯のキャッチコピー「いつでも今日が、いちばん楽しい日」が胸をアツくする。夏休みを生きなおすような気分になる傑作。 次に、夏といえば観鈴ちん(異論却下)。だから「Air」(桂遊生丸)。ゲームのみならず、TV

    読書の夏で20冊、夏をテーマに選んでみた
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    fiblio 2014/08/04
    読書感想文に困ったら、この中から読めば良いと思います。「夏」をキーワードにした鉄板の本たちと素晴らしき書評。あぁ夏は素敵だ。
  • 読んで読んで読まれて読んで読んで読みつぶれて眠るまで読んで『狂喜の読み屋』

    積読必至のブックガイド。 筒井、円城、町田康、ピンチョン、ソンタグ、サリンジャー、片っ端から徹底的に、ひたすらに誠実に面白いを紹介しつづける。読みの微熱がじんわり伝わってきて嬉しい。 実は、わたしもお世話になっている。どちらも最大限の賛辞「文学の持つ恐ろしいまでの力を再認させてくれた」で紹介されたため、読んで呑まれた傑作なり。文学は「可能性」などというあやふやなオブラートではなく、読者を緊張させる圧力であり、皮を裂いて進入してくる刃物であることが、よく分かる(二つ目は劇薬なので扱い注意)。 現実をスウィングしろ『宇宙飛行士 オモン・ラー』 ホロコースト劇薬小説『ペインテッド・バード』(成年向け姉妹サイト) 「読み屋」とは、忙しい編集者に代わって、新刊の洋書を読みレポートにする仕事。売れそうであれば権利をとってプロの翻訳家に任せることになる。一冊一万から二万で、一冊に一ヶ月はザラだったと

    読んで読んで読まれて読んで読んで読みつぶれて眠るまで読んで『狂喜の読み屋』
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    fiblio 2014/07/31
    「積読必至のブックガイド。筒井、円城、町田康、ピンチョン、ソンタグ、サリンジャー、片っ端から徹底的に、ひたすらに誠実に面白い本を紹介しつづける。」
  • 子に伝えたい写真の力『TEN YEARS OF PICTURE POWER』

    写真、しかも物理的な一枚のもつ力は、「ほら、ここに写っている」だ。 新聞を止め、TVの報道番組を止め、「ニュース」は複数のネットソースから当たるようになっているにもかかわらず、紙のNewsweek日版を購読している理由は、ここにある。指で、「ここに写っている」と、子に示せるから。物理的に、誰かに、「これ」と渡すところが重要なのだ。 もちろん、写っていることが真実の全てだと無邪気に信じることはない。だが、その一枚で伝えたいことは、まず無批判に受け止める。そして、そのための写真的文法や演出やメタファーをいったん了承した上で、あらためて吟味する。他のチャンネルに当たるし、考えを話し合って妥当性を確かめもする。嘘も糞も流れ去ってしまうTVや、記者の偏見垂れ流しのままの新聞では、こうはゆかぬ。この目の前の一枚を指差し、メッセージを掴み、その妥当性を判断し、その根拠を伝える。このフルセットこそが、子

    子に伝えたい写真の力『TEN YEARS OF PICTURE POWER』
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    fiblio 2014/07/23
  • 名著『思考する機械 コンピュータ』

    コンピュータの原理から、思考するコンピュータへの可能性まで、わずか250頁に圧縮されている。古いのに古びない名著。 コンピュータの技術はあっという間に陳腐化するが、書は無縁だ。なぜなら、これはコンピュータサイエンスの原理や概念を取り上げ、なぜそのような概念が必要なのかを解き明かすから。著者は、コンピュータの質を、誰でも分かる言葉で書きたかったのだ。コンピュータを構成する物質―――トランジスタやシリコンチップといったテクノロジーが時代遅れになり、他の物質に置き代わったとしても、そのまま正しい考察として通用する原則を書きたかったのだ。 書は、コンピュータの基礎から始め、チューリングマシンや状態遷移、論理演算やアルゴリズム、並列処理、量子コンピュータから人工知能まで、一気通貫に駆け抜ける。子どもの頃に棒と糸でコンピュータを作った話や、講演会で「ドアにコンピュータが付く時代になるんだって!?

    名著『思考する機械 コンピュータ』
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    fiblio 2014/07/15
  • 同じ本を二度読むことはできない『読書礼讃』

    読書の師匠アルベルト・マングェルからの贈り物、「を読む喜び」が詰まった一冊。紹介される作品はどれも読みたくなる(再読したくなる)誘惑に満ちた書評集でもある。 「同じを二度読むことはできない」は、ヘラクレイトスの「万物は流転する」を読書に言い換えたものだという。なぜなら、読むは同じでも、読む人が変わるから。同じを再び手にするまでに、記憶、趣味、経験、先入観は変化するから。 しかし、不変なものもあるという。読む楽しみのことだ。そしてマングェルは、を手にしているとき、不意にとらわれる奇妙な感覚―――不思議な驚き、ぞくぞくするデジャヴや温かさを感じるジャメヴを、無邪気に顔をほころばせながら語りかけてくれる。未経験で名前のない感情を、『リア王』のページにみつけたり、物語が物語を(読者ごと)呑み込むうねりを『ドン・キホーテ』を解きながら見せてくれる。 マングェル一流の"読み"は、人種問題、ジ

    同じ本を二度読むことはできない『読書礼讃』
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    fiblio 2014/07/02
    「これは、『なぜ読むのか?』にもつながる。読む悦びを噛みしめる一冊。」
  • 大学教師が新入生に薦める100冊

    ドカ読み上等!若さに任せて読みふけろ、読むべきを読み干すべし。 このリストは、以下の4500冊超の中から、読むべき100冊を選んだもの。だから、「大学新入生に薦める」というより、若かったわたしに読ませたいリストであり、もう若くないわたしが読むべきリストなのだ。しょうもない新刊ばかり追いかけて踊らされているわたしの目を覚まし、叱咤激励するリストなのだ。 書籍『東大教師が新入生にすすめる』文藝春秋編 書籍『東大教師が新入生にすすめる<2>』文藝春秋編 書籍『教養のためのブックガイド』小林康夫ほか 書籍『大学新入生に薦める101冊の』広島大学101冊のプロジェクト編 書籍『大学新入生に薦める101冊の 新版』広島大学101冊の委員会編 書籍『必読書150』柄谷行人ほか サイト[東京大学 学科別 分類による推薦図書] サイト[は脳を育てる 北大教員による新入生への推薦図書] TV番

    大学教師が新入生に薦める100冊
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    fiblio 2014/06/18
    「『理科系の作文技術』文系理系関係なし最初に読むべき一冊。『知的複眼思考法』凡百のロジシン本を蹴散らすスゴ本。『アイデアのつくり方』一時間で読めて一生役立つアイディアのつくり方が書いてある。」
  • 『ヒストリエ』を10倍楽しく読む方法

    過去は確定してるから、あらゆる歴史はネタバレである。だが、「なぜそうなったのか」は時代によって違う。あるいは為政者の都合で改変される。 史家も人の子、自分が生きている時代の風潮というか要請に従い、歴史を書き直す。ネタは割れているのだが、その解釈が変わる。そういう意味では、あらゆる歴史はネタ割れである。ある事実が、それぞれの時代でどのように解釈されてきたかを辿ることにより、その時代が浮き彫りになる。 岩明均『ヒストリエ』は、アレクサンドロス大王を描いた傑作漫画(彼に仕えたエウメネスを主役にしているのがミソ)。未読なら強くオススメする「四の五の言わず、黙って読め」と。ただし、連載ペースがゆっくりしているため、「続きが読みたい病」に罹ること必至。ここでは、そんな患者の方々に、『ヒストリエ』を10倍楽しむための一冊『興亡の世界史 アレクサンドロスの征服と神話』をご紹介。 神か魔物か伝説か、毀誉褒貶

    『ヒストリエ』を10倍楽しく読む方法
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    fiblio 2014/06/15
  • スタンダードな読書会でスッキリ(第六回 東東京読書会)

    たとえば凄く面白いミステリを読んだとき。 「あぁ、これはオススメしたい、語りたい」と強烈に、切実に、それこそ尿意のように感じる。でもね、それが面白ければ面白かったほど、言えない。展開どころか「○○みたい」すらご法度。せいぜい、どう感じたかを遠まわしにもどかしげに伝えるだけ。だから、「それぞれ愛読書をもちよる」形式のブックトークだと、伝えたいけど言っちゃダメという縛りにのたうちまわることになる(最近だと『パインズ 美しい地獄』、夢中としか言えない)。 しかし、「全員がこのを読んでいる」なら話は別だ。いわゆるスタンダードな読書会。真犯人が誰なのか知ってるし、ファイナルストライクも経験済み、だから安心して語れる。「スゴオフ」や「ビブリオバトル」、「ブクブク交換」などの紹介型ブックトークでは絶対に語れないネタが、ここではメインテーマになる。今回は、[東東京読書会]で、キャロル・オコンネル『ク

    スタンダードな読書会でスッキリ(第六回 東東京読書会)
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    fiblio 2014/05/28
  • まどマギガン=カタからゲーデルまで「嘘と虚構」のスゴ本オフ

    オススメを持ち寄って、まったり熱く語り合うスゴオフ。 今回は(というより今回も!)大漁豊作の会だった。「嘘と虚構」のテーマにて、映画ゲームなど、オススメ作品が紹介されるのだが、直球、変化球、魔球、その発想はなかった…!! と絶句する多数。しかも「嘘と虚構」どんぴしゃで今のいま熱すぎるお話をうかがった。ここに書けないsensitiveなネタだけど、結論だけは強調しておく。「世の中には、息を吸うように嘘を吐く人がいる」ってね。 ご参加いただいた皆様、サポートいただいた方々、ありがとうございます。次回6/21(土)のテーマは「闇」、ダークネスでダークサイドな作品を募集いたしますぞ。[facebookスゴオフ]をどうぞ。当日のtweetまとめは、[スタニワフ・レムからまどマギ、マトリックス、そしてあの事件の真相まで。「嘘と虚構」のスゴオフ]をどうぞ。カーリルの全リストはこれ→[スゴ

    まどマギガン=カタからゲーデルまで「嘘と虚構」のスゴ本オフ
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    fiblio 2014/05/27
  • 『100分で名著 旧約聖書』一言でいうなら、「神が動くのを待つ」

    『インディペンデンス・デイ』を覚えているだろうか。宇宙人が攻めてきて、人類とガチバトルする映画だ。主要都市を一斉攻撃することで、人類にケンカ売りつける。都市機能を破壊する目的もあるが、てっとり早く世界を怒らせるなら、エルサレムを焼き払うだけで済む。映画でそんなシーンはなかった(はずだ)が、あまりにタブーすぎるからだろうか。 『100分de名著 旧約聖書』の最初のページは、このエルサレム旧市街。嘆きの壁、聖墳墓協会、岩のドームと、人類にとって最も柔らかい部分がひしめき合う。いがみ合ってきた人々が、一致団結することがあるならば、ここを攻撃する存在に対してだろう。そして、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の要となっているのがエルサレムなら、『旧約聖書』は三宗教のルーツになる。 NHKテレビ「100分de名著」シリーズは、25分×4回に分けて名著を読み解こうという試み。漱石『こころ』とかフロム『愛す

    『100分で名著 旧約聖書』一言でいうなら、「神が動くのを待つ」
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    fiblio 2014/05/14
  • 『ゲーデル、エッシャー、バッハ』はスゴ本

    一生モノの一冊。 「スゴ=すごい」の何が凄いのかというと、読んだ目が変わってしまうところ。つまり、読前と読後で世界が変わってしまうほどのこそが、スゴになる。もちろん世界は変わっちゃいない、それを眺めるわたしが、まるで異なる自分になっていることに気づかされるのだ。 『GEB(Godel, Escher, Bach)』は、天才が知を徹底的に遊んだスゴ。不完全性定理のゲーデル、騙し絵のエッシャー、音楽の父バッハの業績を"自己言及"のキーワードとメタファーで縫い合わせ、数学、アート、音楽、禅、人工知能、認知科学、言語学、分子生物学を横断しつつ、科学と哲学と芸術のエンターテイメントに昇華させている。 ざっくりまとめてしまうと、書のエッセンスは、エッシャーの『描く手』に現れる。右手が左手を、左手が右手を描いている絵だ。「手」の次元で見たとき、どちらが描く方で、どちらが描かれている方なのか、

    『ゲーデル、エッシャー、バッハ』はスゴ本
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    fiblio 2014/05/13
  • コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』

    「嘘つきは経済学者の始まり」という諺があるが、コンサルタントも入れるべき。 中の人として働いたことがあるので、その手法は分かってる(まとめ:[そろそろコンサルタントについて一言いっておくか])。だから書は、徹頭徹尾、黒い笑いが止まらない。騙される幹部が悪いのだが、振り回される社員はたまったものではない。ファームであれジコケーハツであれ、理論武装を「外」に求める人は、予習しておこう。あるいは、コンサルティングを「説得の技術」と捉え、逆にそこから学ぼう。 書は、マジシャンが種明かしするようなもの。コンサルタントの方法論である「適応戦略」や「最適化プロセス」「業績管理システム」は、役に立たないどころか、悪影響にもなると暴きたてる。著者は経営コンサル業界で30年も働いて、いいかげんこの「お芝居」にウンザリして、懺悔の名を借りた曝露を出したという。その具体例が生々しい&おぞましい&あるある。

    コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』
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    fiblio 2014/04/23
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 「読んでいない本について堂々と語る方法」はスゴ本

    スゴいのは、書が巧妙な罠だということ。 タイトルはを開かせるための釣りで、書そのものに仕掛けがしてある。もちろん「未読について語る方法」はあることはあるが、そいつを探しながら進めると、ホントの目的を読み流してしまう可能性が大。 ■1 書の、「表面」 疑似餌となっている「読んでいないについて堂々と語る方法」は、書のあちこちに散っている。なかでもズバリなやつは、p.169-170 だろう。すなわち、第一に、冒頭で作品を褒めることで、読み手の信頼感を抱かせろという。あとはひたすら一般的考察に逃げ、最後に次の記事でに言及することを予告する。しかし、次の記事なるものがあらわれることがなく、そのを葬り去ることができるというのだ。 そして、誰もがを「読んだ」と思っているだけで、「ちゃんと」読むなんてことは、ほとんどありえないことを明らかにする。ほとんどの場合、ナナメ読みか飛ばし読みし

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 「読んでいない本について堂々と語る方法」はスゴ本
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    fiblio 2014/02/18