私がいつも使っている、できる限り単純化して日本の金融構造を表したバランスシート図を用いて、いずれも10月31日に発表されたGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用見直しと日本銀行の追加金融緩和が実施されるとどのような効果が生じることになるかを確認しておこう。この目的のために、いつもは国債は日銀と民間銀行によって保有されているとしているのを、国債は日銀、民間銀行とGPIFの三者で保有されている(それぞれの保有分を国債Ⅰ、国債Ⅱ、国債Ⅲとする)と変更し、他の保有(例えば、個人による直接保有)は無視する。 なお、このバランスシート図について解説が必要な場合には、拙著『連続講義・デフレと経済政策』(Kindle版も発売中)の第3講「ゼロ金利制約と金融政策」を参照されたい。 まず、第1図をご覧いただきたい。GPIFの運用見直しに伴って、GPIFと民間銀行の間で取引が生じることになる。すなわち
厚生労働省は、加入を義務づけている国民年金について、今後60歳を超えても仕事を続ける人の増加が見込まれるとして、現在原則として20歳から60歳までとなっている保険料の支払い期間を、5年間延長して65歳まで引き上げる方向で検討しています。 国民年金などの公的年金を巡っては、少子高齢化の進展などに伴って給付水準が徐々に下がると試算されており、老後の所得をどのように保障していくかが課題となっています。 こうしたなか、厚生労働省は希望する人全員を段階的に65歳まで雇用することが企業に義務づけられたことから、今後、60歳を超えても仕事を続ける人の増加が見込まれるとして、老後の所得保障を手厚くするため、加入を義務づけている国民年金の保険料の支払い期間を延ばすことを検討しています。 具体的には、国民年金を受け取り始める年齢が原則65歳となっていることも踏まえ、現在、原則として20歳から60歳までの40年
若い世代にも「老後心配性」は多い。しかし、実態がわからないものに不安になるのはナンセンスである。その正体を見据えながら今できることを考えてみよう。 現役世代の年金不信が広がっている。10年度の国民年金保険料の納付率は59.3%(免除者も含めて計算する実質納付率は42.1%)となり、3年連続で過去最低を更新。若年層ほど納付率は低くなる傾向が強く、最低は25~29歳の46.6%だった。 「国が年金制度を維持する限り年金がもらえなくなることはない」と経営コンサルタントの岩崎日出俊氏はいう。しかし給付金額が大幅にカットされるのではないか、年金支給年齢が大幅に引き上げられるのではないかという不安がつきまとう。 社会保障論が専門の学習院大学・鈴木亘教授が「現実的な条件」で試算したところ、厚生年金の積立金が33年、国民年金の積立金が37年に枯渇するという結果に(図5、6)。それなのに厚生労働省は04年の
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