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ブックマーク / www.anlyznews.com (14)

  • お気軽確率・統計ユーザーのための必須数学知識チェックリスト

    測度論などは使わないぐらいのお気軽な確率・統計の利用者でも、ある程度は数学的に確率・統計を説明できる方が望ましい。学部一般教養の微分積分と線形代数を学べば良いのだが、もう少し具体的な目標があっても良いかも知れない。 以下に20項目の必須数学知識チェックリストを用意してみた。チートペーパーを整備するなりしてでも説明できるようにしておこう。慣れてくると飲み過ぎのチェックにも使える*1。 1. ベイズの定理の証明 話の前段として大人気の定理だが、伝統的な統計学の教科書は頻度主義なので使い道が意外にない。条件付確率の定義が説明できれば、ほぼ自明。 2. 分散の加法性の証明 分散の加法性はよく使われる。例えば、不偏分散の導出や大数の法則の証明に使える。しかし、分散の加法性の証明は二重数列/積分になり横に長くなるせいか、割愛気味の事も多いようだ。 3. 不偏分散の導出 不偏分散の計算が理屈抜きの丸暗記

    お気軽確率・統計ユーザーのための必須数学知識チェックリスト
  • 人はなぜ協調するのか ─ くり返しゲーム理論入門 ─

    著名ゲーム理論家の神取道宏・東京大学大学教授の昨年出た薄い、『人はなぜ協調するのか ─ くり返しゲーム理論入門 ─』がネット界隈で評判だったので拝読してみた。装からしてそう書店には流通していないと思うが、ワンショットのナッシュ均衡ぐらいを知っていれば読めるので、長期の人間関係を描写する繰り返しゲームにちょっと興味がある人にはお勧めだ。81ページと簡潔な割りに平易なので、書の「はじめに」に書かれた狙い通り、経済理論を専門としない人に良い冊子になっていると思う。経済学徒でもバリバリとゲーム理論を研究していない人であれば、前半の考え方の部分も含めて勉強になると思う。 第1章で念入りに、くり返しゲームを理論的に分析する理由、均衡に至る調整過程ではなく均衡を中心に分析が行われている理由、今までの研究で分かっている基的な事を説明している。端的に言えば協調関係を説明するのが目的だが、進化ゲーム

    人はなぜ協調するのか ─ くり返しゲーム理論入門 ─
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    frasca 2016/04/06
  • あるマルクス経済学者のプロパガンダ(12)

    マルクス経済学者の松尾匡氏の連載『リスク・責任・決定、そして自由!』の新記事『旧リベラル派の「社会契約」という「ゴマカシ」』が出ていた。題は著作の宣伝な気もするが、社会保障を正当化する哲学的議論も紹介している。小うるさい哲学者と厚生経済学者が待ち構えている倫理の問題に踏み込んでいるのだが、幾つか大丈夫なのか疑問に思う所がある。ロールズの議論が理解されているのか疑問だし、規範的な議論を実証的に批判してしまっているし、「社会契約」と言う単語に固執しすぎているように思える*1。この辺の議論は平成24年版 厚生労働白書の第1部第2章に分かりやすい解説が書いてあるのだが、それを参考にしつつ問題点を説明したい。 1. なぜ社会保障制度に哲学的議論が必要なのか? 松尾氏に前段として書いて欲しかった事がある。社会保障でも全員が得になるパレート改善になるような制度は哲学的な議論なしで、だいたい正当化される

    あるマルクス経済学者のプロパガンダ(12)
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    frasca 2014/11/16
  • 歯を食いしばって勉強したい人のための伊藤清三『ルベーグ積分入門』

    確率論やフーリエ解析などの応用分野でよく見る数学の裏側には、ルベーグ積分と言うモノが潜んでいる*1。中高までが基とするリーマン積分では極限操作が扱いづらいなどが理由だが、これを真面目に勉強し出すとそれなり骨が折れるものだ。ただし定番と言われる教科書、伊藤(1963)『ルベーグ積分入門』がある。著者の伊藤清三氏は東大の教官だった人で、この教科書に関連して有名な駄洒落を残している*2。 前文を読むと物理や工学分野の独習教材として書かれたようだ。工学分野はおろか、数学科においてさえもルベーグ積分を十分な時間を割いて講義する時間は無いそうだ。ルベーグ積分を理解したい理工学系の大学生は、このような教材で自習することになる。自習教材らしく、行間を推測する必要はそうは無く、問題にも解答例がついている。P.67の定理11.2を読むのに、P.37定理7.5、P.256付録§1問2、P.257付録§1定理8

    歯を食いしばって勉強したい人のための伊藤清三『ルベーグ積分入門』
  • 統計モデルに観測値と観測値の割り算値を入れても問題ない

    『「データ解析のための統計モデリング入門」6.6章 割算値はなぜダメなのか?』と言うエントリーが出ていて、タイトルにある署名のの6.6章「割算値の統計モデリングはやめよう」に、タイトルの通りの疑問が呈されていた。 問題のは生物系研究室の常識が詰まっているようなのだが、一般の統計利用ではやや窮屈な側面もあるようで、以前も離散データだから最小二乗法が使えないと言うような誤解を招いていた。今回の御題は統計モデルに観測データ同士の割り算値を持ち込めるかと言う事だが、大半のケースでは問題ないから気にするのはよそう。 「比率にすることで元のスカラー値の情報が失われる」と言うのは、計量モデルで何を見たいかと言う問題で、例えば男女比が学級崩壊を引き起こすかのような仮説を立てたら、観測データ同士の割り算値を持ち込まざるを得ない。経済系はもちろん、実験データの処理などでも見かける操作である。みんなガシガシ

    統計モデルに観測値と観測値の割り算値を入れても問題ない
  • 単なる統計使いを少しだけ誠実にしてくれる「科学と証拠─統計の哲学入門」

    戦後、W・エドワーズ・デミングが生産現場に品質管理の概念を持ち込み、最近はデータサイエンティストが名乗る人が大量に蓄積されたデータを分析する事が流行っているので、日にも学術分野に限らず統計ユーザーは少なく無い。最尤法、階層ベイズ、仮説検定と言った手法が駆使されている。しかし、それらの手法は必ずしも一貫した哲学によって裏打ちされているものではない事を知らない人は多いかも知れない。 道具として統計学を用いている人々の多くは、データへの適合度など実務的な機能や性能に関心が集中し、その背景にある統計哲学には注意は払っていないように思える。しかし、日々の業務としてはそれでいいのかも知れないが、自らが用いている科学的方法論に関心が無いと言うのも不誠実であろう。そこには規範的な問題があるからだ。「科学と証拠─統計の哲学入門」は、統計と言うツールの背景にある哲学を詳しく解説したで、統計ユーザーを少しだ

    単なる統計使いを少しだけ誠実にしてくれる「科学と証拠─統計の哲学入門」
  • 万人が知るべき10のよくある間違った論証方法

    "Ten Common Fallacies Everyone Should Know"と言うページで、万人が知るべき10の良くある間違った論証の方法を解説していた。インターネット界隈での議論でも良く見かけるものばかりで、議論に負けないために議論をしている非建設的な人々の論証方法のまとめになっている。馬鹿発見器として有用なので、説明の一部を元ページから拝借しつつ、項目を一つ一つ見て行きたい。 1. 人格攻撃(Ad Hominem) 議論の内容ではなくて相手の人格に基づいた批判を行うのは誤りだ。主張を批判されると侮辱されたと感じて、我を失う人も少なくなく、ネット界隈では良く見かける。間違いを指摘されると、ツイッターなどで指摘した人の性格や能力を根拠不明な中傷する経済評論家がいるが、それもこの部類に入ると思われる。後述する(7)と(8)の会わせ技のひとつだが、よくあるので独立した項目になっている

    万人が知るべき10のよくある間違った論証方法
    frasca
    frasca 2014/07/15
  • 文系が「ガロア理論入門」を読むとどうなるの?

    線形代数と群論の復習をかねて、名著と名高い大数学者アルティンの「ガロア理論入門」を読み始めてみたのだが、動悸と息切れが止まらないので紹介したい。数学科の3年か4年の学部生が履修すると言う体論のなのだが、純粋な文系の人でも5次以上の一般方程式は累乗根で解けないというアーベルの定理まで到達する事ができる*1し、演習問題もついているのでお買い得感がある。 原著よりも邦訳版の方が優れた数学書になっていると思う。アルティンの講義ノートが文になるのだが、訳者の寺田文行氏が各節に概要と設問を追加し、巻末に模範解答を用意している。講義ノートだけに理解や記憶があやふやなままでも前に行ってしまう危うさがあるのだが、訳者が追加した部分がそれを防止している。もはや違うコンテンツになっている気もするが、数学者が数学学習書を訳す場合には、これぐらいの事をしても良いと思った。 難易度的にはそれなり高い。線形代数を駆

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    frasca 2014/06/14
  • ミクロ計量分析の常識が身につく『実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法』

    各章のサブタイトルがアニメや時事ネタのパロディーになっていると話題の『実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法』だが、法学セミナー連載「法律家のための実証分析入門」をまとめたもので、連載時の原稿が著者の森田果氏のページに微妙な形(dvi形式)で公開されていたので幾つかの章を拝読してみた。面白いし、ミクロ計量分析の常識が身につきそうで、分野外の人や学部生が読むと丁度よさそうな感じになっている。 常識と言うのは、専門用語と分析上の注意点のことだ。ミクロ計量分析をする人々は専門用語をそうではないように気軽に使うし、分析上の注意点も大雑把には共有している。この共有レベルが高いので、計量分析者の中には「クロスセクションではなくパネルでやってみたら・・・」「弱相関テストの結果・・・」「同時性が考えられるため・・・」のような事を、一般人にも容赦なく言うコミュニケーション障害者がよく稀に存在する

    ミクロ計量分析の常識が身につく『実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法』
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    frasca 2014/06/06
  • 大日本帝国陸軍のへたれっぷりが分かる『日本軍と日本兵』

    終戦後、だいぶ時間が経ったせいか、太平洋戦争で日軍がどれぐらい弱かったのか良く認識できない人が増えてきたそうだ。脆弱で知られた大日帝国陸軍を賛美しだす人々までいるらしい。埼玉大学の一ノ瀬俊也氏の『日軍と日兵』は、そういう根拠不明な思い込みを、米陸軍省軍事情報部の兵員向け情報誌Intelligence Bulletinを中心に、大日帝国陸軍の実像を描くことで間接的に否定しようとするだ。数量として細かい戦果や被害は示されていないものの、陸軍の作戦行動の変遷やその妥当性についての知識を得ることができる。 描かれる大日帝国陸軍は実際のそれと近いと十分に信頼できるように思える。著者が「はじめに」で議論しているが、米軍のIntelligence Bulletinを参照しているのは正しい方向に思える。一方の当事者の刊行物であり偏った見方になる可能性が高いわけだが、米軍は兵員の生還率に配慮し

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    frasca 2014/05/29
  • 英国でTOEICの組織的不正が疑われ、TOEICとTOEFLでVISAが取れなくなる

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    frasca 2014/04/23
  • 悪意があれば懲戒解雇、悪意が無ければ普通解雇

    捏造、改竄、剽窃が認定された理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子氏が開発したとされる刺激惹起性多能性獲得(STAP)幹細胞のNature誌に掲載された論文だが、理研の管理責任を問う声があがる一方で、早稲田大学の教育体制やその学風まで中傷し、さらに彼女の中学生の頃の読書感想文まで持ち出して人格攻撃を開始している人々もいる一方で、日の科学研究の信頼が揺らいでいると危惧する人も出てきた。そんな中、調査委員会の最終報告書が公表され、その後、小保方氏の記者会見が行われた。世間で小保方氏に同情の声が上がっているらしい*1が、その主張を汲み取っても、実質的な処分は変わらないであろう。 1. 小保方氏は他の研究者や世間を騙す意図は無いと主張 小保方Nature論文にある問題については、調査委員会と小保方氏の間で意見に違いは無いようだ。小保方氏は言い回しが気に入らないようだが、(1)博士

    悪意があれば懲戒解雇、悪意が無ければ普通解雇
  • 経済学を知ったかぶりするための独学方法

    すらたろう氏が独習者のためのおすすめ経済学入門テキストを紹介しているのを見て、ask.fmを始めたところ、経済学研究科に行かないで経済学を学ぶ方法を質問されたのを思い出した。 用途が分からないのだが、SNSで聞かれたのでSNSで使うための知識なのであろう。主に文系学問を学んできた人が、インターネットの交流サイトで経済学を知ったかぶりするための独学方法を考えてみたい。 1. 基礎的な数学を学ぶ 経済学は言葉として数学を利用しているため、ある程度の数学の知識が必要だ。記号の意味ぐらい分からないと、読み飛ばしもできない。しかし経済学の教科書の数学の説明は極端に省略されているので、やさしめの数学書を読んだ方が理解が深まる。線形代数、集合、位相、解析のイロハを学ぼう。 一般教養数学を履修していなかった人は、『微分・積分30講』と『線形代数30講』を読んでおく方が良いと思う。だらだら読んでいても一ヶ

    経済学を知ったかぶりするための独学方法
  • 統計学を勉強するときに知っておきたい7つのポイント

    マイクロソフト社が技術分野でもっと熱い専攻の一つとして分析/統計をあげている(Microsoft JobsBlog)。同社以外でも統計学は、今後最も有益なスキルの一つだと考えているようだ(NYT - For Today’s Graduate, Just One Word: Statistics)。しかし、データマイニングの話も一般化しつつあって学習ノウハウなども公開されているが、経験にあわない部分が多い。統計学を初めて勉強するときに知っておいた方が良い7つのポイントをあげてみた。 1. 学習機会やテキストは山のようにあるので利用する 確率・統計の日語テキストは山のようにあり、大学のコースワークを振り返っても、理文問わずにほとんどの学部で確率・統計はあったはずだ。大学院のコースワークでは英語の文献を好む傾向があるが、上級テキストでも日語のものも少なくない。また「マンガでわかる統計学」のよ

    統計学を勉強するときに知っておきたい7つのポイント
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    frasca 2012/01/11
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