「書いている時間は面白かったです。二人(主人公の徳永と先輩芸人の神谷)の関係性を描くということと冒頭の場面のイメージのみはあって、あとは書き進むうちに。最後も全く準備していない終わり方になりました。徳永にとっての神谷という意味では、僕の師匠はやっぱり太宰(治)ですけれど、太宰がこれを読んだら『感情に流されている』と言うでしょうね。ただ、小説はこうあるべきやという抑制で形を整えていくことが、寸止めのポイント制みたいに見えてしまうときがあって。それまでは丁寧にやっていたのに、急に叫びだして感情を爆発させるようなものって、音楽では多いけれど小説にはあまりない。お笑いでも音楽でもそういうものが個人的にも好きなので、実践してみました。 (文学の)ルールは忘れて、”かたまり”として捉えてもらえたら嬉しいです。純文学として褒めていただけるのももちろんありがたいですが、ルールを守ったうえで突き抜けているす
![又吉直樹が、新境地・小説『火花』で試してみたこと。](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/aab9178e348cfb654183a624fd77cd591c0223ce/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fmedia.vogue.co.jp%2Fphotos%2F5d308081937aa400089b6756%2F16%3A9%2Fw_1280%2Cc_limit%2Fmatayoshi_naoki-520-322.jpg)