最高裁は18日、涌井(わくい)紀夫(のりお)判事が17日に東京都内の病院で、肺がんで死去したと発表した。67歳。 通夜・告別式の日時・場所は未定。現職の最高裁裁判官が亡くなったのは、1988年5月に死去した高島益郎判事以来、8人目。2012年2月の定年まで約2年2か月を残しているが、最近は体調を崩し、法廷を欠席していた。 1964年京大法卒。66年に判事補に任官、最高裁総務局長、司法研修所長や大阪高裁長官などを経て、06年10月に最高裁判事に就いた。 民事裁判官の経歴が長く、最高裁では韓国人の被爆者が国などに損害賠償を求めた訴訟で裁判長を務め、健康管理手当を受給できないとした国の通達を違法として賠償を認める判断を示した。警察官がノートに記した取り調べメモの開示を巡る裁判では、証拠開示を認める判断を示した。