東京都世田谷区の京王電鉄・明大前駅。京王本線と京王井の頭線の乗換駅となっているため、通勤・通学の要として利用されている駅だ。そんな明大前駅構内に以前、“湖”があったことをご存じだろうか。その名は「無事湖(むじこ)」。京王電鉄の「無事故」を祈願して命名されたものとみられ、実際は湖と呼ぶにはほど遠い二畳程度の大きさの人工池だった。それが平成18年の駅ビル開発に伴い、取り壊されてしまった。以来、「事故が増えた」と不吉なうわさが流れているというのだが…。(宮原啓彰) 知る人ぞ知る“都会のオアシス” 複数の京王線利用者によると、伝説の「無事湖」は、明大前駅の井の頭線3番線ホームのやや吉祥寺方面よりにあったという。人工湖でありながら茂みに囲まれ、乗り換え客らの雑踏の中にひっそりとたたずむ姿に心癒される乗客も少なくなかった。 「子供のころから駅を利用していた。電車の待ち時間に池に住む金魚やアメンボなどの