(英エコノミスト誌 2009年11月14日号) 中央銀行と金相場 200トンの金は一辺が2メートル余りの立方体になる。小さなベッドルームに収まる程度の大きさだ。だが、インドが先月、それだけの金を国際通貨基金(IMF)から購入した時は、市場にとてつもなく大きな影響を及ぼし、金価格を1トロイオンス=1100ドルを大きく超える水準にまで押し上げた。 金の強気筋にとって、それが意味するところは明白だ。各国中央銀行はもはや他国政府の信用力を信じていない、ということだ。そして中央銀行が信頼しなくなったのだとしたら、民間の投資家も同じように信頼をおかなくなるはずである。 中国が追随すれば、1トロイオンス=1400ドルも視野 この論理の鎖の次の段階は、ほかの中央銀行が金の保有に殺到する(あるいは少なくとも小走りで駆け寄る)事態を想定することだ。カナダの資産運用会社グラスキン・シェフは、中国がインドに追随す
インドの農民は、天気の話ばかりしている。5月になると、大地はかまどのように焼けつき、畑はどこも黄色く干からびる。井戸は涸(か)れ、それをあざ笑うように灼熱の太陽が照りつける。そんな時、農民たちが話題にするのが、いつ、どのようにして夏のモンスーンが到来するかということだ。ただ、ことあるごとに話にのぼるわりには、確実性に欠ける話題だ。 モンスーンは例年6月初めにやってきて、それから4カ月弱の間に、この国の年間降水量の4分の3以上に当たる雨を降らせる。農民たちの表現を借りれば、モンスーンは“最初はシカのようにやさしく始まり、やがて怒りくるったゾウになる”という。ただし、ゾウで始まってシカになることもあるし、“ニワトリのように”先の読めない困った降り方をすることもある。要するに、誰にも予測できないのだ。それでも誰もがモンスーンを話題にせずにいられない。 2008年5月中旬、インド西部の大都市、ムン
街中のあちらこちらで「タタ・ドコモ」の広告が目立つ=インド東部コルカタの空港で、高野写す 【ニューデリー=高野弦】NTTドコモが26%出資するインドの携帯電話会社「タタ・テレサービシズ」の9月の新規加入が約400万件に達し、単月として過去最高を記録した。増加数は2カ月連続で業界トップ。6月に「タタ・ドコモ」ブランドの携帯サービスを開始してから、新料金体系で加入者を急速に増やしている。 9月の同社の新規加入数は400万6823件で、業界全体の26.74%を占めた。広告に力を入れ、ブランド名の浸透をはかったほか、1秒ごとに日本円で約0.02円を課金する料金体系を導入。インドでは1分ごとの課金が主流で、1分半の通話でも2分ぶんが課金されるため、新しい料金体系が人気を集めた。タタ・テレサービシズの9月末時点の総加入数は約4679万件で業界6位。
(2009年11月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 各国の中央銀行は過去20年間、金(ゴールド)の保有を好ましく思わない感情にとらわれてきた。欧州の中央銀行が地金を大量に売却する一方、アジアの中央銀行は主たる準備資産として金ではなく米国債を積み上げてきた。 その結果、中央銀行の準備資産の世界合計に占める金の割合は、昨年までに10.3%という記録的な低水準に落ち込んだ。1989年の32.7%から、実に3分の1以下に縮小したことになる。 67億ドルで金を200トン買ったインド中央銀行 ところが今、状況が様変わりしたように見える。欧州の当局による売却ペースがかなり鈍った一方で、アジアの中央銀行がドルを売って金を買い始めたからだ。 この新しい傾向を如実に示したのが、インド準備銀行(中央銀行)による大量取得である。発表によれば、同行は国際通貨基金(IMF)から金200トンを67億ドルで買い取っ
鳩山政権の地球外的外交センスは米国を困惑させ、そして恐らく激怒させているようだが、必ずしも米国同盟のパワー構成上の対抗にある中国を利しているわけではない。恐らく中国もチンプンカンプンで困惑しているだろう。というのは中国が危険視する、「中国に一番憎まれている女性」にして「ウイグルの母」ことラビア・カーディルさんと、中国を分裂させるとして敬称の「ラマ」を付けずにダライとのみ呼び捨てされるダライ・ラマ14世が、やすやすと来日し、先週、東京の外国特派員協会で相次いで記者会見もした(期待された二人の会見はなかったようだ)が、これまでの自民党政権時代と比べると、中国はそれほど圧力をかけてこなかった。中国としても、真意も掴めず空気も読まない鳩山さんに明確なメッセージを出しても、いろいろとやっかいなことになるかもしれないと、想定せざるを得なかったのだろう。 いや、ダライ・ラマはこれまでも何度も来日している
アジア地域で毎年開催される首脳会議が、出席者の血を沸き立たせるために用意されることはめったにない。 だが今年は、いまひとつ冴えないコミュニケに覆い隠されているものの、中国と米国が自らの影響力拡大を目指した争いを繰り広げている。その展開次第では、アジア地域の大部分で、人権や民主主義の面での進歩が妨げられる恐れがある。 問題は、米国とアジアの友好国が、この地域の多国間の枠組みにどの程度直接的に参加できるか、である。アジアにはそうした枠組みがいくつもあるが、本当に重要なのは2つだけだ。 1つは、10カ国が参加する東南アジア諸国連合(ASEAN)である。ASEANは中国、日本、韓国を加えたサミット(いわゆるASEAN+3)や、そこにインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた計16カ国の東アジアサミットを毎年開催している。 もう1つは、アジア太平洋経済協力会議(APEC)だ。こちらは20の国と
日産自動車が新興国での低価格車戦略を本格化させる。ロシア、インドに加え、ブラジルでも来年以降に100万円を下回る価格の“超”低価格車を市場投入する。現地メーカーと提携するなどしてコストを削減。新興国で一気にシェア拡大を目指す。 日産は2010年以降、小型車「マーチ」の後継車種を世界戦略車として150カ国へ導入する方針を打ち出している。価格は100万円程度を見込むが、新興国のエントリー(入門)車としては価格が高く、普及を狙うにはさらなる低価格車開発の必要に迫られていた。 ロシアでは、仏ルノーを大株主とする大手の自動車メーカー「アフトワズ」の車体や部品を共有化することで開発コストを抑制し、日産ブランドとして発売する予定だ。経営悪化に悩むアフトワズへの経営支援との指摘もあるが、価格競争力のあるエントリー車を投入することで、販売増を狙う。 日産は今年6月、ロシア・サンクトペテルブルクに工場を
鉄鋼世界最大手アルセロール・ミタルCEOは、来年の市況予想に慎重姿勢を崩さない。今年大幅に市場が縮小する先進国では、回復は限定的と見る。中国、ブラジルなどの需要は旺盛で、世界全体では来年10%成長を見込む。 来年の鉄鋼業界について楽観的か、悲観的か尋ねると、鉄鋼世界最大手アルセロール・ミタルのラクシュミ・ミタルCEO(最高経営責任者)は明言を避けた。そして代わりに、世界有数の実業家である同氏はより微妙な言い回しで答えた。「(需要に関して)新興国については楽観している。だが先進国には慎重だ」。 全体としては、同氏によれば今年10%減少する見込みの世界の鉄鋼需要が、来年には10%増加するという従来の予測を変えなかった。 これは業界関係者の多くが描くシナリオほど悲観的ではない。同業他社の幹部の多くは、今年の世界の鉄鋼生産は15%落ち込む可能性が高く、来年の回復幅については5〜8%と見る。 とはい
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン Mehul Srivastava (BusinessWeek誌記者、ニューデリー) 米国時間2009年10月16日更新 「Big Retailers Still Struggle in India」 10月17日から5日間続くヒンズー教、シーク教、ジャイナ教の祭典「ディワリ(光の祭り)」を数日後に控え、インドの首都デリー近郊のボーガルに住むラージラクシュミ・パンディットさん(主婦、34歳)は、家族や友人へのプレゼントを買いに出かけた。地下鉄に乗ること45分、最寄りの大規模小売店「ビッグ・バザール」に到着。そこでは、サリーやネクタイ、コーンフレークや冷凍チャパティに至るまで何でも揃う。パンディットさんは1時間ほどかけて、子供用衣料や腕時計、携帯
Financial Times サーモンピンクの紙面で知られる英国の高級紙。1888 年の創刊以来、金融関連の報道に強く、経済、国際、政治問題についても報道の正確さに定評がある。世界発行部数は約44万部。読者総数は推定150万人に上る。 世界の金融市場が混迷を極め、経済の先行きに不透明感が増している。このコラムでは、金融、経済報道で突出した信頼性を誇る英フィナンシャル・タイムズ紙の記事をタイムリーに翻訳し、毎日1本お届けする。 >>「Financial Times」の記事一覧 (2009年10月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) インドのガンジス川沿いに、マヘシクントという村がある。インド北部の平原をゆったりと蛇行する大河ガンジスの恵みを受ける数千の集落の中の、何の変哲もない1つの村だ。 「インドには2つの国が同居している」 インドの大都市のきらびやかで奇跡的な経済発展から遠く
象が争えば地の草が傷む。アフリカのことわざだが、数年前のインド象、いやインド市場がまさにそんな状況だった。 あの頃、巨大財閥リライアンス・グループは創業家のお家騒動で揺れ、系列企業の争いにまで発展していた。しばらく前なら、インドの株式市場全体が傷ついたところだ。それほどまでに財閥の存在感は大きかった。しかし振り返ってみると、意外なほど市場の草は傷んでいない。 なぜか。1つには、市場のパイが大きくなったという事情がある。10年前のインドには時価総額が50億ドルを超える企業が5社しかなかったが、今は40社だ。市場全体の規模も1兆ドルを超え、リライアンス・グループのシェアは10%に満たない。 中産階級の台頭という大きな潮流もある。今まではピラミッドの頂点に立つ超富裕層が消費の主役だったが、これからは数で勝る中産階級が主役だ。 高度成長の真っ盛りだった06~07年に輝いていたのは、ひと握りのスーパ
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