道路の拡幅や街の再開発といった理由もあるだろうが、病気や害虫にやられて枯れた、強風で倒れてしまった、街路樹が大木になり枝葉が繁りすぎた、根が道路に盛り上がり通行を邪魔する……といったやむを得ぬ場合も少なくない。一方で、伐採に反対する市民の声も上がる。緑を残してくれと訴える。どちらの事情や気持ちもわかるのだが、その裏に住民の高齢化や自治体の財政力の低下など数多くの問題が関わっている。 そこで改めて街路樹とは何か、そのメリット・デメリット、そして自然環境や植物から見た街路樹のあり方を考えてみたい。 数は横ばいから減少傾向 まず街路樹は、全国に何本ぐらいあるのだろうか。国土交通省の調べでは、2023年時点で全国に高木は約720万本、中低木は約1億4100万本となっている。2000年前後までは増え続けたが、その後横ばいから減少傾向にあるようだ。 植えられる樹種は、イチョウとサクラ、ケヤキが上位3種
