印刷技術がなかった中世ヨーロッパにおいて、書物といえば人の手で書き写された「写本」でした。羊や子牛などの動物の皮を薄く加工して作った紙に、聖書や詩編集、時祷書、聖歌集などの重要なテキストを筆写した「写本」は、人々の信仰を支え、知の伝達を担いました。 中世に広く普及した「写本」に焦点を当てた展覧会「内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙」が、国立西洋美術館で8月25日(日)まで開催されています。筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授の内藤裕史氏より寄贈された写本零葉(零葉:本から切り離された一枚一枚の紙葉)のコレクションを中心に、約150点を紹介。聖書や詩編集、時祷書、聖歌集などのジャンルごとに多様な作例が展示室に並びます。 バリエーション豊かなテキストの装飾 本展の醍醐味のひとつは、小さな写本零葉の中にちりばめられた装飾を堪能することでしょう。特に写本の中核となるテキスト部分の
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