庄野潤三さん 「静物」「夕べの雲」など家族小説を息長く書き続けた芥川賞作家で「第三の新人」の一人、庄野潤三(しょうの・じゅんぞう)さんが21日、老衰のため死去した。88歳だった。葬儀は28日午後1時から川崎市多摩区南生田8の1の1の春秋苑で。喪主は妻千寿子(ちずこ)さん。 大阪市(当時は大阪府東成郡住吉村)生まれ。父・貞一は帝塚山学院を創設した教育者。児童文学者の故・庄野英二は実兄。中学時代に詩人の伊藤静雄に国語を教わり、以来、師事した。九大法文学部卒。卒業前から海軍に入り、伊豆半島の基地で終戦を迎えた。 教職を経て朝日放送に勤めるかたわら小説を発表し、「愛撫」で注目される。55年、会社を辞めさせられたサラリーマンの夫婦の心理を描いた「プールサイド小景」で芥川賞を受賞。吉行淳之介、安岡章太郎氏らとともに「第三の新人」と呼ばれた。 平穏な日常生活に潜む危うさをとらえる作風に定評があり