☆ 学校現場に戻って六箇月が経つ。三年担任の業務は、十五年の教員人生のうち、通産四回目を数える。慣れているようで、まだ要領を得ないところもある。如何せん、担任業務は波瀾の中に楽しさもある。楽しいと言えば授業である。十年以上も勤めていれば、それなりに、知らず知らずの間に、ある程度の教材研究の累積がある。初めて『舞姫』を扱ったときの授業などは、今から考えると目も当てられない惨憺たる授業だ。今現在、現任のK高校の三年生は、『舞姫』と『平家物語』を学んでいる。 授業の只中にあるとき、「噫、余も程よく成長せし哉」と感慨深い境地になったりする。それは、ついこの前こんなことがあったことに由る。『平家物語』に「忠度の都落ち」という教材がある。あるクラスにおいて、忠度が残した歌について説明をしていた。「さざ浪やしがのみやこはあれにしをむかしながらの山桜かな」という歌の中の「ながら」が「長等山」の掛詞であるこ
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