2010年に開局したストリーミングスタジオ〈DOMMUNE〉に、国内外のアーティストを迎え、世界中にトークショーやライブ演奏を生配信し続ける宇川直宏は、香川県という〝文化的鎖国状態〟(宇川)の地に生まれ育った。 「僕が14歳だった1982年はインターネットもなく、瀬戸大橋もなかった。もちろん四国には輸入レコード屋もない。だから情報に飢えていた僕たちは、雑誌で手に入れた希少な情報を頼りにフェリーで本州に渡ってレコードを買ってました。香川に持ち帰ったそれを、遣唐使時代の空海のように、同じく音楽に飢えていた仲間にカセットでコピーして拡散していました。そのとき、僕は既に気づいていたのです。こうすれば自分自身が簡単にメディアになれるんだ、ということに」 インディーズという言葉が生まれ、ポストパンクとしてダブやインダストリアルやハードコアが次々に現れた時代、宇川やその先人たるトレンドセッター達が本州か