20年前の中国には「絵本」という言葉も、市場もなかった。ライターの飯田一史氏は「中国で『絵本』文化を広めた立役者は日本のポプラ社だ。現地に絵本専門店を開くなど、ゼロから読者をつくる努力を重ねたことで、確固たるブランドを築き上げている」という――。 【写真】蒲蒲蘭絵本館 ■絵本の巨大市場を作った仕掛け人 20年前の中国には「絵本」という言葉も、市場もなかった。子どもたちが読んでいたのは図画書、連環画と呼ばれる「イラスト集」で、海外の優れた絵本は中国の対外政策や外資規制などによってほとんど入ってこなかった。 それに風穴を開けたのが、日本の出版社「ポプラ社」だった。2003年に外資企業の小売・卸が解禁されると、ポプラ社は2004年に現地法人「北京蒲蒲蘭文化発展有限公司」(蒲蒲蘭(ププラン))を設立。2005年には中国初の絵本専門書店を開き、絵本の普及を進めてきた。 中国唯一の図書データ資料「中国