先日、知人からもらったコピーを発見した。森鴎外の朗読批評論である。文語体で読みにくいので現代語に訳してみた。ここに紹介をする。副題も小見出しも、わたしがつけたものである。内容については「論文の紹介」を参照のこと。 ◎朗読法についての争い ――朗読という概念のいろいろ 森鴎外(渡辺知明訳) ※論文の紹介 明治二十四年(1891)三月二十五日発行の雑誌『棚草紙』第十八号に「朗読法につきての争ひ」と題して、「森林太郎」の署名で掲載されて、のち『月草』に収められた。朗読に関する重要な発言を取り出して、渡辺が読みやすく書き直した。小見出しも渡辺がつけた。原文は『鴎外全集』第二十二巻(1973第一刷、1988第二刷。岩波書店)に収録されている。 ●二人の論争者 関根、饗庭の二氏が、東京専門学校で和文朗読法の科目を設けようというと、とたんに読売新聞の紙上で一場の筆戦が始まった。科目を設けることを可とする