垂涎の未発表スタジオ録音集と、それらを凌駕する白熱のライヴ音源 ’80年代マイルスの代表3作『Star People』、『Decoy』、『Your Under Arrest』レコーディング・セッションからの未発表テイク2枚分に、’83年カナダでのライヴ録音1枚を加えた3枚組ブートレグシリーズ第7弾が届いた。 マイルスのお気に入りだったオーバーハイムOB-Xaシンセブラスで始まるCD1のテイク1“Santana”は、僅差で本編収録を逃した感のある構成力のある作品。6分過ぎとエンディングで聞き覚えのある“Star People”m9コード平行移動シンセのフレーズが現れる。テオ・マセロの必殺編集技だが、使用箇所模索したんだろうな。テイク2、3“Minor Ninths”はJ.J.ジョンソンとマイルスのエレピという珍しいDUO。ギル・エヴァンスとスティーブ・レイシーの『Paris Blues』を思
2019年07月03日12:35 カテゴリ#JazzMiles Davis 「次回をお楽しみに」のはずだったのに。 - Miles Davis 『Amandla』 1989年リリース、帝王マイルス最後のオリジナル・アルバム。どの辺を最後とするか、人それぞれ解釈はあるだろうけど、完パケまで本人が関わったスタジオ音源という意味において、俺的にはこれが最後である。 この後にリリースされた『Doo -Bop』は、もともと完パケ・テイクは6曲のみ、ワーナーに制作を託されたイージー・モービーが、残されたアウトテイクや断片フレーズをかき集め、ヒップホップ解釈でつなぎ合わせた、いわば編集モノ。なので、マイルスの意図がきちんと反映されていたかといえば、それもちょっと微妙。微妙だけど、結果的にはクールに仕上がってるので、俺的には結果オーライ。 サウンド・プロデュースは、当時マイルスの右手というか、ほぼ両腕的存
2016年09月17日23:08 カテゴリ#JazzMiles Davis 「なんじゃワレこら」と胸ぐらつかまれて聴かされる音楽 - Miles Davis 『In Concert』 コンポーザー兼コーディネーターとしての力量は言わずもがななMilesだけど、一プレイヤーMiles Davisとしての評価はあまり声高なものではない。正直、ミュートを多用した音色自体がどうしても一本調子に聴こえてしまうし、ソロフレーズのバリエーションも多い方ではなく、そこだけ取り出して聴くと引き出しの少なさに気づいてしまう。しまうのだけど、バルブが3つしかないトランペットという楽器の構造上、サックスやクラリネットと比べて多彩な音色が出るわけではないし、第一、CBSに移籍して以降のMilesはソロイストとしてのエゴをほぼ封印してしまっている。 「そこで勝負してるわけじゃねぇし」と開き直られてしまえば、何もいうこ
2018年07月02日22:05 カテゴリ#JazzMiles Davis 「ゴチャゴチャ言わんと聴かんかい」という音楽 - Miles Davis 『Get Up With It』 1974年リリース、引退前最後のMilesバンド、1970年から74年にかけてレコーディングされた未発表曲のコンピレーション。後年になって評価が高まった電化マイルス期のスタジオ録音というのは、1972年の『On the Corner』までであり、それ以降の作品はすべてライブ録音である。そういえばそうだよな、改めて気づいた。 多分、この時期のMilesはアルコールとドラッグによる慢性的な体調不良を抱えていたため、支払いが遅く時間の取られるスタジオ作業より、チャチャっと短時間で日銭の入るライブに重点を置いていたんじゃないかと思われる。野放図な当時の生活を維持するため、コロンビアのバンスもバカにならない金額になって
2014年08月26日00:47 カテゴリ#JazzMiles Davis 首根っこ捕まえて奥歯ガタガタ言わせてまう音楽 - Miles Davis 『On The Corner』 Princeのルーツを辿ってゆくと、SantanaやSly Stone、そして最終的には今世紀最大のファンク・マスターJames Brownにたどり着く。ポピュラー音楽史上最大の影響力を持つリズムを産み出したJamesは、その後多くのフォロワーを生み出したのだけど、それは「ファンク」というジャンルそのものだけに留まらず、異ジャンルのジャズへも多くの影響をもたらした。 円環構造を持つファンクのミニマズムと、ジャズの感覚的なインプロビゼーションとを融合した、『ジャズ・ファンク』という、そのまんま、両方のイイとこ取り新ジャンルの誕生である。テレビとビデオをくっつけたら『テレビデオ』になったようなものだ(また例えが思い
2020年01月20日00:40 カテゴリ#JazzMiles Davis 「ゴチャゴチャ騒ぐと、いてまうぞコラ」という音楽 - Miles Davis 『Rubberband』 マイルスの発掘音源といえば、ジャズ・アーティストとして精力的に活動していた50〜60年代のモノに集中している。自身のグループでのレコーディングやライブに加え、他流セッションやサントラ制作など、素材が膨大に残されていたことも、ひとつの要因である。 正規発表のテイク違いや未整理のセッション・テープなど、もうだいぶ整理され尽くしたと思われるけど、それでもまだ、放送用のスタジオ・ライブや欧米以外のライブ音源なんかは未確認のものも多く、地道な発掘作業は続いている。正統モダン・ジャズの系譜に属するこの時代の作品は、一般的なジャズ・ユーザーからのニーズも強いため、メーカーの力の入れようもハンパない。 ただ、とっくの昔に絞り切っ
マイルス・デイヴィス、1981年撮影(Photo by Chuck Fishman/Getty Images) マイルス・デイビス(Miles Davis)が残した膨大な未発表音源を、時代ごとにテーマを設けて発掘してきた“ブートレグ・シリーズ”も、早いもので第7集。2011年から11年続いてきたこのシリーズは、50/60/70年代を経て、最新作『ブートレグ・シリーズVol.7 ザッツ・ホワット・ハプンド1982-1985』で、いよいよ80年代へと突入した。同作の発売を記念した試聴会&トークショーが、10月4日(火)に御茶ノ水のCafe,Dining & Bar 104.5にて開催。ジャズ評論家・柳樂光隆が登壇して、興味深いレア音源を高音質のアナログ盤で再生しながら会はスタートした。 ロック、ファンクの影響下で大胆に進化を続けた“エレクトリック・マイルス”期の絶頂にありながら、体調の悪化が進
最初に断っておくが、上のカバー写真はネットで拾った合成写真だ。残念ながらマイルスとエルメートが一緒に写っている写真は見つけられなかった。YouTubeにエルメートが語るマイルスの有名な動画がある。エルメートが初めてマイルスに会った時、マイルスはエルメートにボクシングのスパークリングの相手をしろ、と命令したそうだ。エルメートはボクシングの経験がないだけでなく、スポーツはまるでダメと自称する。ところが、エルメートは極度の寄り目でマイルスはエルメートがどちらの方角を見ているのか判断できず、見ていないだろうと思われる方向からエルメートがマイルスに顔面パンチを食らわせてしまった。エルメートは自分の出したパンチが当たってしまって、自分の手が痛くてたまらなかったと回想する。 Hermeto Pascoal (photo credit: O GLOBO) さて、つい最近エルメート・パスコアールが来日したと
www.terrax.site 以下の解説は、ある程度モードを理解をされている人向けになります。 Miles Davis - Flamenco Sketches - YouTube 102,Flamenco Sketches Kind of blueはso whatを「初級編」としてまるでモードジャズの教科書のように、展開していきます。 この曲の進行は、 CM7 |% |% |% | Ab7sus4 |% |% |% | BbM7 |% |% |% | D7(b9,b13) |% |% |% | D7(b9,b13) |% |% |% | Gm7 |% |% |% | と進行します(曲の頭にCM7が4barあります)。 (テイクによって違う可能性があるので、だいたいでご理解を) 不定調性進行といえますが、まずはコードだけを弾いてみてください。 最後のD7→Gm7という「Gmへの解決感がもた
キャピトル・レコードから1957年に発売されたマイルス・デイヴィスのアルバム『Birth Of The Cool(クールの誕生)』に収録された楽曲は魅力的で複雑で、その混乱したクリエイティヴィティは時に議題となることもあるが、このアルバムの素晴らしさと重要性は紛れもないものであることは確かだ。 <関連記事> ・アストラル・ジャズの探究:コルトレーンを起点として ・マイルス・デイヴィスが残した20の訓示 1945年に脱退したディジー・ガレスピーの後任となったマイルス・デイヴィスは1947年にチャーリー・パーカー・クインテットの一員として活躍していた。当時のマイルス・デイヴィスはサヴォイやダイアルといったレーベルでチャーリー・パーカーとレコーディングを行っていた。自分の名前でリリースした初のアルバムは1947年にレコーディングされ、チャーリー・パーカーとのレコーディングに比べてよりアレンジにこ
Miles Davis 『the complete on the corner sessions』 バンドのリハーサルを再開しているが、ギターがいない。メンバー募集でもしようと思い、15年ぶりくらいに雑誌「jazz life」を買ったが、その内容のあまりの低落ぶりにびっくりした。表紙の「誰でも弾けるワルツ・フォー・デビイ」というベタなコピーに嫌な予感はしたのだが、その内容たるや、楽器情報やスタンダード曲の譜面で埋め尽くされた‘プレイヤー雑誌’と成りはて、全く批評がない。あるのは新発売の楽器や機材の情報と楽譜、中道的な新譜評とヒネリのないインタビューだけ。つまらない。いつからこんなのになったのか。昔はもうちょっと批評があった。楽器を演奏しない音楽マニアや評論を求めるコアなリスナーに訴える批評性こそが同誌の持ち味で、それはとうの昔から批評性ゼロだった‘ジャズを装ったオーディオ雑誌’「swing
マイルス・デイヴィスのファッションをテーマにした初めての本『MilesStyle: The Fashion of Miles Davis』発売 マイルス・デイヴィス(Miles Davis)のファッションをテーマにした初めての本『MilesStyle: The Fashion of Miles Davis』が海外で5月12日発売。マイルスのSNSでも紹介されています。 この本では、レニー・クラヴィッツ(Lenny Kravitz)、ブライアン・フェリー(Bryan Ferry)、ロイド・ボストンなどの有名なファッションアイコンから、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)、ロン・カーター(Ron Carter)、クラーク・テリーなどの友人やバンド仲間まで、さまざまな人物がマイルスのファッションについて自身の所見を述べています。マイルスのスタイルが音楽や彼自身について何を語っていた
マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の新たなオフィシャル・ドキュメンタリー映画『Miles Davis: Birth Of The Cool』が『マイルス・デイビス: クールの誕生』の邦題でNetflixにて配信スタートしています。 映画の監督は、過去3度のエミー賞受賞歴を誇るスタンリー・ネルソン。 マイルス・デイヴィス財団のかつてないほどの協力のもと制作されたこの映画は、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)、ロン・カーター(Ron Carter)、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)、、カルロス・サンタナ(Carlos Santana)などマイルスの影響を受けたアーティストたちのインタビューや家族の証言も挟みながら、ビバップ時代からエレクトリックに至るまでの音楽的変遷とともにマイルス・デイビスという人間にせまったドキュメンタリーです。 映画は、20
ライヴ・イヴル〜SA-CDマルチ・ハイブリッド・エディション〜/マイルス・デイヴィス ぼくがマイルス・デイヴィスのコンサートを初めて見たのは1975年。1970年代、2度目の来日のときだ。もちろん、いわゆるエレクトリック・マイルス期で。いろいろあってその後しばらく活動休止期に入る直前のこと。 むちゃくちゃかっこよかったなぁ。 この来日ツアーは、大阪で、例の『アガルタ』と『パンゲア』というライヴ・アルバムが録音されたことでもおなじみだけれど。ぼくが見たのは今はなき新宿の厚生年金会館でのパフォーマンス。ソニー・フォーチュン(サックス)、マイケル・ヘンダーソン(ベース)、アル・フォスター(ドラム)、ピート・コージー(ギター)、レジー・ルーカス(ギター)、エムトゥーメ(パーカッション)らが繰り出す濃密なファンク・グルーヴを、マイルスは身振り手振りで完璧に操りながら、トランペットとオルガンで、時にグ
マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の未発表/未完成音源をもとに完成させた『RUBBERBAND EP』がSpotify、Apple Musicで配信開始。全曲リスニング可。この作品は、今年のレコードストアデイに12インチ・アナログレコードで発売されたもの。今回のデジタル/ストリーミング版には1曲追加され、計5曲が収められています 4月21日のレコードストアデイに限定発売されたのは、マイルス・デイヴィスが「TUTU』の直前にあたる『Rubberband』セッションで録音した音源をもとに、当時のオリジナル・プロデューサーやマイルスの甥によるチームが完成させた新たな楽曲「Rubberband Of Life」。 コロンビアからワーナー・ミュージックへと移籍したマイルスは、1985年10月から翌86年1月にかけてロサンゼルスのAmeraycan Studiosで未発表アルバム『Rubb
「マイルス・デイヴィス(Miles Davis)のベスト・ソング 10選」を、米スラッシュメタル・バンド、テスタメント(Testament)等での活躍でも知られるギタリストのアレックス・スコルニック(Alex Skolnick)が発表。英国の音楽サイトLouder企画
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