結婚の経済学と言えば、Becker(1973, 1974)が名高い。ベッカーはノーベル経済学賞を取り、その研究は社会学者にも影響を強く与えたため、結婚や子育ての話になるとよく参照されている。 しかし近年の日本の晩婚化・少子化の説明でも良く引用されているのだが、現在の日本の状況を表すのには、実は適切ではないかも知れない。原論文を簡素化して解釈しつつ、少し異なった見方を提案してみたい。 1. 家庭内生産物の交換モデル ベッカーのモデルは、言わばフルタイム労働者の女性が結婚を機にパートタイマーで働くようになるモデルだ。夫は家事負担から解放されるので心置きなく残業に励む事ができ、妻はパートタイマーになって時間を確保し、家事労働を行う。 家事労働は、家庭内生産物の生産として表現する事ができる。家財を共有する事などによる消費の効率化の効果もあるが、単純化して賃金と家庭内生産物の交換経済と捉えても良いで
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