東京工業大学は、藻類で"オイル生産"と"細胞増殖"を両立させることにより、オイル生産性を野生株(親株)と比べ56倍に向上させた藻類株の育種に成功したと発表した。 同成果は、同大科学技術創成研究院化学生命科学研究所の福田智 大学院生(研究当時)、平澤英里 大学院生(研究当時)、今村壮輔准教授らの研究グループによるもの。詳細は、英科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された。 国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)には、クリーンで持続可能なエネルギーの利用の拡大、地球温暖化への具体的なアクションなどが盛り込まれている。そうした中、微細藻類によるオイル生産は、SDGsを達成するための重要な技術と考えられているが、微細藻類がオイルを生産する条件には、栄養の欠乏といった、細胞の増殖には適さないものが含まれることが問題視されてきた。そのため"オイル生産"と"細胞増殖"を同時に実現す
米オークリッジ国立研究所(ORNL)の研究チームは、レドックスフロー電池向けに、低コストで高性能なナトリウムイオン交換膜を開発したと発表した。非水系電解液と組み合わせて用いることによって、高エネルギー密度のレドックスフロー電池を実現できるとしている。研究論文は「ACS Energy Letters」に掲載された。 今回開発されたレドックスフロー電池向けナトリウムイオン交換膜 (出所:ORNL) レドックスフロー電池の基本的仕組みは、正極側と負極側で種類の異なる電解液をポンプ循環させるというもので、電池の充放電は電解液の酸化還元反応時のイオンの出し入れを利用して行なう。正極側と負極側の電解液はセパレータで分離される。このセパレータは特定のイオンを透過させるイオン交換膜の機能をもっており、電解液間でのイオンの移動を利用して液中での電気的バランスを保つ。 レドックスフロー電池は、丈夫で長期間運転
ベルギーimecと同国フランダース地方の太陽電池研究コンソーシアムEnergyVilleは共同で、ペロブスカイトとシリコンを積層した4端子の改良型タンデム型太陽電池にて変換効率27.1%を達成したと7月24日(欧州時間)に発表した。これにより、現時点で知られている最も効率の良いシリコン太陽電池よりも高い変換効率を実現したことになる。 変換効率27.1%を実現したペロブスカイト/シリコンのタンデム構造太陽電池 (出所:imec/EnergyVille) ペロブスカイトの微細な結晶は、製造コストが安いながらも、高い変換効率を実現できることから、高性能な薄膜太陽電池を製造する有望な材料として知られている。半透明な薄膜で構成されるため、シリコン上に積層することも可能で、設計次第では、ペロブスカイトの光吸収によりシリコンセルで生じる熱損失を最小にすることができるので、ペロブスカイト/シリコンのタンデ
スタンフォード大学の研究チームは、液体金属の状態のナトリウム-カリウム(Na-K)合金を用いる新型のフロー電池を開発したと発表した。動作時に電解液を高温でポンプ循環させる必要がある従来のフロー電池と比べると、低コストな材料が使えて動作温度も常温にできるといった長所があるという。研究論文は「Joule」に掲載された。 Na-K液体合金を用いたフロー電池のデバイス構造 (出所:スタンフォード大学) フロー電池は、2種類の電解液をポンプで循環させ、イオン交換膜によるイオンの移動で電池として機能するもの。大型のタンクを使って大量の電解液を循環させることで大容量の蓄電が可能であるため、太陽光発電や風力発電などの出力調整用電力貯蔵設備として期待されている。 従来のフロー電池の課題としては、動作温度が高温になること、毒性の強い化学物質が使われることなどがあった。今回の研究では、こうした問題を解消するため
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)とスイス・エレクトロニクス&マイクロテクノロジーセンター(CSEM)の研究チームは、シリコンとペロブスカイトを積層したタンデム型太陽電池で記録更新となる変換効率25.2% を達成したと発表した。 また製造方法が単純であり、既存の太陽電池の量産ラインに組み込むことも可能であるという。変換効率については、最終的に30% 超まで高めることができると考えられている。研究論文は「Nature Materials」に掲載された。 シリコン-ペロブスカイト積層型太陽電池の表面。シリコンのピラミッド構造がペロブスカイト層で完全に覆われている (出所:EPFL) ペロブスカイト太陽電池の研究開発は近年活発に進められており、その変換効率は9年前と比べて6倍にまで上がっている。また、塗布印刷技術が使えるため、製造コストを抑えることもできると期待されている。 シリコン-ペ
東北大学は5月8日、仙台市内に既設の防災対応型太陽光発電システムをベースとして開発した「次世代型防災対応エネルギーマジメント」の試験運用を開始すると発表した。 現在仙台市内には、全小中学校を含む指定避難所など194か所に防災対応型太陽光発電システムが導入、運用されている。同システムは、昼は太陽光発電から電力供給を行い、災害時には避難所での電気を確保できるというものだ。 防災対応型太陽光発電システムのイメージ図 (出所:東北大Webサイト) しかし、このシステムには2つ課題がある。まず1点目は、CO2フリー電力の未利用問題だ。避難所となっている小中学校では、土日祝日や長期休暇時には太陽光で発電した電気が余っている。これの未利用電力を活用できれば、二酸化炭素排出量の削減と電力料金の削減も期待できる。 2点目は、蓄電池の寿命問題だ。システムで使用する蓄電池は、災害による停電に備えるため常に満充電
九電では、昼間低負荷期に太陽光からの出力が伸びる場合の下げ代対策として、2015年から本格的に揚水発電所の昼運転(くみ上げ)を行っている。その回数は、2015年の584回から、2017年には1264回に急増している。今年4月8日には、全台数の揚水を運転しても、さらなる太陽光出力への対応余地は100万kWしかなかったという。 4月8日の需要は約800万kWだった。大型連休中さらに需要が減って700万kW程度に留まったり、大雨で揚水発電のダムが満水となり、くみ上げ運転できない場合など、火力発電の抑制量が限界となり、太陽光への出力抑制が必要になる。 九電による太陽光・風力発電設備に対する出力制御指令は、出力を抑制する日の前日に出される。指令を受けた再エネ事業者は、翌日の午前9時から午後4時までパワーコンディショナー(PCS)を停止し、電力系統への送電を停める必要がある。 公平性の観点から、対象と
スイス連邦材料試験研究所(Empa)とチューリッヒ工科大学の研究チームは、低コストな次世代二次電池として期待されるアルミニウムイオン電池向けの新規電池材料を開発したと発表した。正極側集電体としての窒化チタン、正極材料としてのポリピレンの2つの材料が報告されている。研究論文は「Advanced Materials」および「Advanced Science」に掲載された。 試作されたコイン型のアルミニウムイオン電池 (出所:Empa) アルミニウムイオン電池は、正極-負極間でのアルミニウムイオンの移動を利用して充放電を行う二次電池である。地球上でのアルミニウムの存在量は鉄を上回り、金属元素の中では最も多いとされる。このため、アルミニウムを用いた二次電池が実用化できれば、現行のリチウムイオン電池よりも低コストなエネルギー貯蔵が可能になると考えられる。 アルミニウムイオン電池の課題のひとつとして、
山から緑がはぎ取られたのは2015年のことです。メガソーラーの建設計画を市が許可した直後、説明会が開かれないまま、工事が始まりました。この地域は都市内の自然を維持保存する風致地区に指定され、一部が山腹崩壊危険地区に当たります。地元の自治会が3,372筆の署名とともに、兵庫県に反対の意向を伝えましたが、工事が強行されました。 業者が地元住民を工事妨害で刑事告発するなど、大きなトラブルにも発展しました。その後、別の業者が事業を引き継ぎ、工事がいったんストップしましたが、現地は大雨が降ると、水路が濁流であふれ、道路がまるで川のようになる場所です。過去にもたびたび、浸水被害や土砂崩れを起こしていることもあり、住民が不安を募らせているのです。 法整備追いつかず、赤穂市は対応に苦慮 本来なら自治体が間に入り、こうしたトラブルを解決すべきですが、国内では法整備が追いついていません。このため、自治体が違法
日立製作所は5月10日、発電用エンジンのシリンダー内の圧力に関するデータ(筒内圧データ)を利用し、燃料の状態に即した点火タイミングや空気量などの指令値(燃焼制御値)の調整方法(燃焼制御方法)の学習と、学習用の筒内圧などのデータ収集を自ら繰り返す自己学習により、燃料の種別や混合状態に応じたエンジン制御を行うというAI(人工知能)技術を開発したと発表した。 新技術の利用により、発電用エンジンの燃料として、バイオ燃料(エタノール、メタンなど)や水素などを組み合わせた効率的な発電が可能になるという。 今回、同技術を搭載したエンジンシステムを試作し、トルエンやエタノール、メタン、水素を燃料として混合燃焼させた結果、エンジン出力15kWの条件で熱効率は34~41%となり、かつ安定的な燃焼の基準とされる燃焼変動率3%以下での制御が可能なことを確認した。 燃料混合量の変動下でのAIの学習イメージ 同技術の
高まり続ける電力需要に対応するために、電力のピークシフトとともに一時的に電力を蓄えるバッテリーの重要性が注目を集めています。そんな中、太陽光発電や風力発電を最大限に活用するためのマンガン水素電池をスタンフォード大学の研究者が開発しています。 A manganese–hydrogen battery with potential for grid-scale energy storage | Nature Energy https://www.nature.com/articles/s41560-018-0147-7 New water-based battery offers large-scale energy storage | Stanford News https://news.stanford.edu/2018/04/30/new-water-based-battery-offe
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