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ブックマーク / petronius.hatenablog.com (23)

  • 『宇宙よりも遠い場所』(2018) いしづかあつこ監督  僕らは世界のどこにでも行けるし、そしてどこへ行っても大事なものは変わらない! - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    客観評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ) キマリこと玉木マリの主人公の視点から物語は始まる。南極を目指す少女・小淵沢報瀬(こぶちざわしらせ)と出会うことにより、何となく退屈な日常の、どこかへ行きたいという気持ちに、具体性がが生まれ、そして、「ここではないどこか」という否定形ではなくて、「そこ=南極」というはっきりとした具体的な場所に、キマリたちは突き進んでいく。 とてもコンパクトでまとまっている傑作なので、ぜひとも「いま(2018年)」に見たい作品なので、頑張れる人は、ぜひとも見ることをお勧めします。あとで対比で説明する『ゆるキャン△』と比べてとても見やすいと思います。同じ日常系・無菌系の特徴である少女がたいてい4人いて、その関係性のみで話が展開するという作品は、通常の意味ではドラマトゥルギーが弱いので、ある種の文脈や、関係性のみにフレームアップすることに安らぎを覚えるという

    『宇宙よりも遠い場所』(2018) いしづかあつこ監督  僕らは世界のどこにでも行けるし、そしてどこへ行っても大事なものは変わらない! - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
  • 『フルメタルパニック ずっと、スタンド・バイ・ミー』 賀東招二著 なんて幸せな物語だろう  - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    先日、twitterでも書きましたが、読了しました。友人に、楽園の物語(=日常)から、楽園にはずっといることができない(=非日常)というのを真摯に受け止めた物語なので、ぜひ読んでみてほしいと言われて読みました。まさに、その通りでした。1998−2010年の12年間でシリーズ長編が完結して、物語としては終止符が打たれています。そして、たぶん、楽園の日常、終わらない日常への過剰なコミットが始まったこの10年間を、ずっと真摯に、しかもたぶん人気を保ちながら、悩みぬいて描かれた物語です。素晴らしい物語でした。この物語を書き上げた、著者の賀東さんと、それを愛したファンの人々に、感謝を。これはとても幸せな物語ですね。その両方が、誠実に長く、ゆっくりとした時間が酒を熟成させるように、積み重ねて至るものだからです。この作品は、12年間、当に要所要所で、誠実に、誠実に積み重ねてその最後にいたっている。素晴

    『フルメタルパニック ずっと、スタンド・バイ・ミー』 賀東招二著 なんて幸せな物語だろう  - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2013/03/01
    曰く,「(1)「起きてしまった出来事を巻き戻して元に戻す」ことの倫理性を個人の内面に問うミクロの問題や(2)「既に起きてしまったという事実性を消し去ることをどう扱うか?」というマクロの問題です。
  • 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 計算通り子=絡新婦・田村麻奈美という存在が指し示すもの(笑) - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    先日、海燕さんのニコ生ラジオ『海燕のゆるオタ残念教養講座』で、いつものごとく、LDさんと対談させていただいた。最初の30分ぐらいはあまり意味のないことをグダグダしゃべってしまったが、最後の30分ぐらいは、これは!というような面白い概念が出たので、メモに残しておく。ここの記事だけでは文脈がわかりづらいかもしれないが、海燕さんが録音してくれているそうなので、どこかで聞けると思うので、詳細は下記をチェックしていてくれれば。いつものごとく誤字脱字無視、文章を整えない口語なので日語になっていないですが、まーっメモなので、なんとか読みとってください。まぁ、いつもの読者には、いつものごとくの物語三昧クオリティです。 http://ch.nicovideo.jp/cayenne3030/blomaga さて、新しい見方とは、 麻奈美さん絡新婦説 である。 ・・・・・いやちがった計算通り子が指し示すメタ的

    『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 計算通り子=絡新婦・田村麻奈美という存在が指し示すもの(笑) - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2013/02/10
    曰く,「ヒロインの逆襲時代は、凄まじい数の様々な主人公(=男)との関係性を持っているヒロインが、所狭しと攻略を繰り広げる戦国恋愛絵巻であり、そのすべての構造を読み切って、単純なヒロインとしての「うれ
  • 『GUNSLINGER GIRL』 相田裕著 静謐なる残酷から希望への物語(2)〜非日常から日常へ・次世代の物語である『バーサスアンダースロー』へ - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    『GUNSLINGER GIRL』 相田裕著 静謐なる残酷から希望への物語 1 http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20130103/p1 ↑ 上記の続きです。 さて、前回の1で設定した命題は、袋小路の物語類型であるスタート地点を考えると、『ガンスリンガーガール』というのは道具となりきる追い詰められた人間の逃げ道のなさの残酷さを愛でる?悲しむ?話になってしまい、物語が広がってオチに収束しない構造をしている、ということでした。それはつまり、ではどうやってこの物語を終わらせることができるのか?という出口を探すという「文脈読み」になると思います。作者の相田裕さんは、10年をかけてこの構造をどう料理したのでしょうか?。それを見てみたいと思います。 ■イタリアの南北問題とメガリージョンに起きる社会不安を〜欧州の地域主義と極右の台頭は人類の未来のモデルケース イ

    『GUNSLINGER GIRL』 相田裕著 静謐なる残酷から希望への物語(2)〜非日常から日常へ・次世代の物語である『バーサスアンダースロー』へ - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2013/01/04
    曰く,「対幻想の引き篭もり系のイメージが好きな人は、その幻想がぶち壊される国家やマクロを描くのを凄く嫌い拒否する傾向があり、それを克服するのは、まさにナルシシズムの克服であり、本当の意味での成長」
  • 『とある飛空士の夜想曲』 犬村小六著  アメリカとの戦争で、もし、日本が戦術的に奇跡があって勝つことができたら?というお話 - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    評価:★★★★4つ (僕的主観:★★★★4つ) 非常に面白かった。基的にほどの理由がない限りは、そのの面白いところを肯定的に書こうというスタンスで書いているので、最近感想どまりで、単に、うん、おもしろかったです。だけしかいわないペトロニウスです。キャッチコピー的にいえば、普段戦記ものを読まない人には、とびっきり★5つ級に面白いと思う。逆に戦記ものに慣れている人、アメリカとの戦争歴史的経緯を知っている人には、ああーなぞりかーと思ってしまうだろう。 ちなみに↓これ、おもしろかった。 http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/4032961.html が、しかし、この作品は、全シリーズのように、物語として面白かったです、だけではない部分があったので、そこを書いてみようと思う。多分僕のプラスの評価もマイナスの評価も、この部分の表裏一体になると思います。

    『とある飛空士の夜想曲』 犬村小六著  アメリカとの戦争で、もし、日本が戦術的に奇跡があって勝つことができたら?というお話 - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2012/01/11
    曰く,「この物語は、このせつないほど追い詰められた弱小国家が、それでも、奴隷化されずに、自らの足で立つ!と決めた、悲しい戦争の物語、という「物語」をよく描けていると思うんですよね。」
  • 『コクリコ坂から』 宮崎吾朗監督 普通のアニメ制作会社になろうとしているスタジオジブリ - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    評価:★★★★4つ (僕的主観:★★★★☆4つ半) 視聴終了後、集約して感じたのは、「スタジオジブリは普通のアニメ制作会社になろうとしているんだな」ということでした。 これは悪い意味ではありません。宮崎駿という個人の妄想が時代の文脈を超えてエンターテイメントとして商売として成立してしまう、ある種、化け物的なクリーチーなアニメ制作会社であったスタジオジブリが、まともな制作「集団」になろうとしているんだな、という感じです。 スタジオジブリを語る文脈には、常に「宮崎駿の後継者はできるのか?」という問題提起がいつも存在していました。けれども、さすがに御大の年齢と『もののけ姫』以降のスタジオジブリの作品を見ていれば、宮崎駿という希代のクリエイターは、後にも先にも生まれない「天才」だったんだ、ということが、我々もよくわかってきたんだと思います。時代性を無視してムーブメントを起こす力があり、この分裂する

    『コクリコ坂から』 宮崎吾朗監督 普通のアニメ制作会社になろうとしているスタジオジブリ - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2011/08/27
    曰く,「全編にわたって、過剰な他者視線の内面化があるんだけど、この自意識過剰感って、ああ、たしかに60年代くらいまでの映画や小説に刻印されている感じだよなーって思いました。」
  • 『魔法少女まどか☆マギカ(PUELLA MAGI MADOKA MAGICA)』 監督新房昭之 脚本虚淵玄 まどかは何を救ったのか?〜世界には解決すべきでないことがある - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    評価:★★★★★5つのマスターピース (僕的主観:★★★★★5つ) 先程12話視聴終了。ガッツリ書こうと思うと、描けなくなってしまう昨今なので、思いついたことを寝る前に(いま真夜中の3時)メモしておきます。気力があれば、書き足します。ちなみに、物凄い傑作に出会ったな!と感動でいっぱいです。超面白かった!!。たった12話でここまで!!と思いと、虚淵さんってほんとうに『ファントム』で描いた「あの草原の向こう」を見れたんだなーと感動しきりです。彼にとって、FateZeroという作品は、ほとんど主張を変えず、絶望ではなく希望を語ることを可能にした素晴らしい出会いだったんだな、と思います。いやもちろん虚淵さんだけで作ったわけではないので、作家主義に還元しすぎるのは、なんだな?というのはありますが、そういう語り口、ということで。まぁ、虚淵さんの問題点を押さえていくと、このまどかマギカって、見通しやすい

    『魔法少女まどか☆マギカ(PUELLA MAGI MADOKA MAGICA)』 監督新房昭之 脚本虚淵玄 まどかは何を救ったのか?〜世界には解決すべきでないことがある - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2011/05/06
    曰く,「希望を持つことがすなわち絶望につながるってのや、感情的に正しい動機がすべての過ちの根源になる構造とか、虚淵さん脚本の良さというかFateで学んだものを見事に脚本に溶け込ませている
  • 『お家さん』 玉木かおる著 明治7年から昭和2年の約半世紀の間に世界に君臨した鈴木商店 - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    評価:★★★★4つ (僕的主観:★★★★★5つ) ■金子直吉の歯をいしばってオーナーのいじめにしか見えない暴虐にじっと耐える姿に日の徒弟制度の世界を見る 伝説の総合商社、鈴木商店のオーナーのことを書いた小説『お家さん』を読む。素晴らしかった。これ、まじで素晴らしい小説だった。物語としても、とてもいい。金子直吉が、当に底辺から商売に熱中してのし上がっていく様を見て、、、、自分も、もっとかんばらなにゃーな、としみじみ思った。ほんとはわき目もふらないくらい集中することが、大事なんだよな。とかおもう。初代オーナーに殴るけるの暴行と罵倒の嵐の中、歯をくいしばって耐える姿に、胸が熱くなったよ。鈴木商店の道の小脳は扱わせてもらえないので、他の商材をコツコツ得意分野にして発言権を獲得しようとする、そのポジティブというか、そこしか逃げ道ないぜ的な追い込まれ方は、「生き残る」ってのはこういうことなんだ

    『お家さん』 玉木かおる著 明治7年から昭和2年の約半世紀の間に世界に君臨した鈴木商店 - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
  • 『Angel Beats!』 岸誠二監督 麻枝准脚本 これってセカイ系の否定への助走かも!? - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    評価:★★★☆3つ半 (僕的主観:★★★3つ) 最終回を昨日視聴終了。終わり方はとても良くて、ぐっときました。いい話だったなー。最後は、妙に物悲しく、、、しかも希望が持てて。 うーんとね、講評を言うと、「期待を裏切らない」話だった。というか、最初の頃から想定している仮説通りだったし。まさに思った通りという感じ。ブログの過去の記事を読んでくれれば、 1)この作品が、並行世界のからの脱出の一類型で「謎解きをしながらこの世界の秘密を探る」という部分 と 2)読者の感情を揺り動かす「報われなかった悲劇」を、完成されたエピソード毎に示す という二つの構造から成り立っていると考えられると思います。 この系統のオチを考えた時に、あまりメタ的にひねることをしなければ、非常に単純すぎるけれども「報われなかった悲劇」を「自分の中に受け入れる」ということと、そのご褒美として、「もう一度人生をやり直す(=別人だけ

    『Angel Beats!』 岸誠二監督 麻枝准脚本 これってセカイ系の否定への助走かも!? - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2010/06/27
    曰く,「『天使』という神のみ使いの存在がいることがこの話の前半で大きなポイントになったのは、「上位存在がいるかいないか?」という問題の分岐点だった、ということがよくわかります。いまにして思うと。」
  • 『Angel Beats!』 岸誠二監督 麻枝准原作・脚本 閉じられた世界からの脱出とバトルロワイヤルの相性 - 物語三昧〜できればより深く物語を楽しむために

    世の中で盛り上がっているの?かな、、、LDさんが、折角旬なので、ヒマがあれば見てくださいということなので、見てみた。見た時点で水準は越えているアニメなので、安心して見れるし、見続けてもいいとは思う。ただ、なぜだろう、個人的には、あまり、、、、とてもできはいいのだが、自分の心に「好き」という吸引力の働かない作品だなー。いや、かなりおもしろいっすけどねぇー。たぶん僕の趣味とか琴線と少しズレているのかもしれない。 とはいえ、OPのピアノの趣味の良さ(←これはいいねー!)、たぶんここに集っている少年少女たちは、死ぬ前の現実では相当の困苦を背負っている、、、貧病苦の重荷を背負っている設定なので、「世界の残酷な美しさを見せる」系統と僕は呼んでいるが、そういう視線で見ると、非常に趣味がいい。だれが作っているか良くわからないが、音楽の選び方、世界観が凄く統一されている感じがする。・・・僕は好きではないが、

    『Angel Beats!』 岸誠二監督 麻枝准原作・脚本 閉じられた世界からの脱出とバトルロワイヤルの相性 - 物語三昧〜できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2010/04/19
    曰く,「この『AngelBeat』の脚本は凄く典型的な、内面からの脱出劇のパラフレーズの系統だな、と思いました」
  • 『RETAKE』『ねぎまる』ドラゴンクエストの同人誌など  きみまる著  この腐った世界で、汚れても戦い抜け。楽園に安住することは人として間違っている。 - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ傑作) ■言いたいことは一つだけ〜この世界の唾棄すべきか日常の嘘と欺瞞を破壊せよ(笑) 同人誌を、かなり手に入れたので(全部で10冊以上)一気に読んみました・・・。素晴らしいです。はっきりいって重すぎるほど重いけれども(苦笑)、この人の目指すべき主張すべきポイントは、とてもとても共感します。ドラゴンクエストの同人誌。平成17年(2005年)初版ですね。最終巻が平成20年(2008年)ですから、案外新しいですね。これが今回は一番心に残りました。 ちなみに、この人の全作品に共通すること、それは この腐った世界で、汚れても戦い抜け! です。 構造的に分解すると、この世界のパラダイス的な業都合主義の真綿に包まれた「快感原則」にしたがった世界を「壊す」ことからこの人の作品はすべて成立しています。まずはこの世界のご都合主義の世界が、「ウソだ!」という告発

    『RETAKE』『ねぎまる』ドラゴンクエストの同人誌など  きみまる著  この腐った世界で、汚れても戦い抜け。楽園に安住することは人として間違っている。 - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2010/03/10
    曰く,「僕の目から見ると、きみまるさんという人の見事なビィルドゥングスロマン(=旅を通しての成長)ですよ。その生き様が。」
  • ハーレムメイカーは、物語の時間性を奪うか?(1) 何を語って、何を目的としているのか?議論の前提を振り返る - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    かなり前の書いて、うち捨ててお蔵入りになっていた記事です。少々議論としては古いのですが、まーせっかくなので、ハーレムメイカーを考えるヒントとして、載せておきますので、興味がある人は見てください。 ■直線的な時間感覚から、回帰的な時間感覚へ 基的に、定義をはっきりさせようと考えているのだが、たぶんそれは難しい作業になるのではないかな、という予感がします。なんか、やっていて難しんですよね。なので、ちょっと議論を、大きなベースに戻してみましょう。 「日常」と「非日常」のダイナミズムの中で、「日常」によっていくことは、回帰の時間感覚(=目的LESS)の方向へシフトすることだ、というのが僕の議論の大元です。ここに置いて、日常世界のノスタルジー喚起というドラマツゥルギーを固定化する手法を採用しようとする時に、「関係性の固定化を繰り返すという」手法が繰り返されます。このことを言いかえると、「時が止まっ

    ハーレムメイカーは、物語の時間性を奪うか?(1) 何を語って、何を目的としているのか?議論の前提を振り返る - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2009/09/22
    曰く,「美少女ゲームの歴史は、特殊例で、基本的に小説、そして漫画、アニメーション等のサブカルチャー領域では、逆の論理を辿っているように思えます。」,
  • 【映画版エヴァ破考察 その参】 僕たちが見たかった「理想のエヴァ」とは?(2)〜エヴァテレビシリーズと旧劇場版は、エロゲーのバットエンドだったのだ!さあぁ、トゥルーエンドのはじまりだ! - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    ■宮崎駿、そしてその後継者たちは何に悩んでいるのか?〜押井守監督のスカイクロラとの比較 『崖の上のポニョ』と『スカイクロラ』にみる二人の巨匠の現在〜宮崎駿は老いたのか?、押井守は停滞しているのか?(2)/スカイ・クロラ編 http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20080823/p4 『崖の上のポニョ』と『スカイクロラ』にみる二人の巨匠の現在〜宮崎駿は老いたのか?、押井守は停滞しているのか?(1)/ポニョ編 http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20080822/p5 さてさて、ちゃんと主題に戻りましょう。宮崎駿御大は、何に悩んでいたんでしょうか?。それは、「正しさ」がよく分からなくなった世界で、しかも「自尊心が壊れてしまった」男の子を主人公とする物語が描きにくくなったということです。言い換えると、この世界が素晴らし

    【映画版エヴァ破考察 その参】 僕たちが見たかった「理想のエヴァ」とは?(2)〜エヴァテレビシリーズと旧劇場版は、エロゲーのバットエンドだったのだ!さあぁ、トゥルーエンドのはじまりだ! - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2009/08/15
    曰く「並行世界の物語類型というものが出てくるのは、この「多選択肢を鳥瞰する」ということを倫理的に、正しい形に戻したいと願う意識によって最終的に形作られてきたという系譜の歴史を思い出してほしいのです」
  • 【映画版ヱヴァ破考察 その壱】僕たちが見たかった「理想のヱヴァ」とは?〜心の問題から解き放たれた時、「世界の謎」がその姿を現す  - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    ちなみにネタバレなので、見ていない人は読まないでくださいね。2回目の人推奨です(笑)。 ■前向きなシンジくんの物語である「序」を受けて 当に話したいことの核心は、あまりにネタバレなので、まずは周辺部から話してみたいと思う。今日金曜ロードショーで「序」を見直したんだけれども、最初に見た時の感想が非常に正しかったのを思い出した。「序」は、その映像は素晴らしいけれども、テレビシリーズの総集編である域を出ず、僕は音のところでは「なーんだこの程度か」というふうに思ったものだ。 しかし、何かが違う!。それは、当時海燕さんも言っていたが、総じてこの「序」は、碇シンジくんが「前向きだ」ということを評した感想が多かったことが、まずもって一番に挙げられるだろう。僕の友人は「逃げてばかりいたシンジ君が大人になっていて、ちょっぴり好きになった」と言っていました。概ね、誰もがそう思ったと思う。あくまで「ちょっぴ

    【映画版ヱヴァ破考察 その壱】僕たちが見たかった「理想のヱヴァ」とは?〜心の問題から解き放たれた時、「世界の謎」がその姿を現す  - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
  • 東のエデン感想 100億円と超法規的実行力を持ったジュイスを与えられた時、なにを目指し、どうやって、この国を救うだろうか? - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    その他はほぼ脱落した(見なくなった)が、やはりこれは面白い。まだ全体像が見えていないので、当にいい作品かはいまいちわからないが、その匂いを持って、僕らを物語の世界にいざなってくれる力量のある作品だ。今期は、これのみだな、胸をときめかせてくれるのアニメは。 いま見ている観点を、少し書いてみます。 ■小人数のプライヴェートルールによる世界を天秤にかけるゲーム この作品を見ていて、ふと思い出したのが二つの作品だ。一つはゲーム『Fate/StayNight』ともう一つは漫画の『未来日記』だ。この3作品には「小人数の人間がなんだかよくわからないゲームに参加させられて」「マクロ(=世界)を掛け金として競争する」という共通の舞台設定がある。 Fate/Stay night DVD版 TYPE MOON 2006-03-29 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools この設

    東のエデン感想 100億円と超法規的実行力を持ったジュイスを与えられた時、なにを目指し、どうやって、この国を救うだろうか? - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2009/05/19
    曰く,「この作品を見ていて、ふと思い出したのが二つの作品だ」,『Fate』『未来日記』とには「〈小人数の人間が...よくわからないゲームに参加させられて〉〈マクロを掛け金として競争する〉という共通の舞台設定が
  • 世界の残酷さを抱きしめて 『キラ☆キラ』 - 物語三昧〜できればより深く物語を楽しむために

    評価:★★★★星4つ (僕的主観:★★★★★星5つ) ■この、くそったれな世界に、精一杯の愛をこめて キラキラ。いまほぼ終わり。明日休みだからって、ほぼ徹夜です(笑)←バカ過ぎて、泣ける。キラリルートの最初のやつまで。。。「もう一回やる勇気がないなぁ・・・」と海燕さんが言っていた意味が凄くよくわかる。僕も、二度はやれない・・・。僕は学校の屋上に上るシーンで、『バニラスカイ』を思い出しました。いや、、、、もう、なんというか、素晴らしいです。。。。ああ、『SWANSONG』と同じ脚家だ!と、死ぬほどよくわかります。うんうん。めちゃめちゃらしい。 なんというのだろう・・・僕は、言葉が選べなくていつもだめだなぁ・・・と思うんですが、こういう感情が胸を渦巻く時は、やっぱり何か言いたい・・・。えっと、意味不明になると思うけれども・・・物語的には、たぶん大した話じゃないんですよ。人間の不幸は、貧・病・

    世界の残酷さを抱きしめて 『キラ☆キラ』 - 物語三昧〜できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2009/04/29
    曰く,「個別のエピソードは...あまりにつらくて言及できない、、、、けれども、その組み合わせすべてから見えてくるものは、「このくそったれな世界の残酷さと愛おしさ」なんだよね」
  • 『マリア様がみてる ハローグッバイ』 今野 緒雪著 ついに祐巳・祥子編の終わり、大好きだが一点不満があります! - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    シリーズ34冊の大長編が、とりあえずの終結を見た。個人的には、とても楽しませていただいた上に、キャラクターがとても好きだったので(とりわけ祐巳ちゃんにはメロメロでした・・・こんな娘がほしいです)の、著者の今野さんには、多謝です。また、祐巳が祥子と出合って、成長していく様を長期間にわたって見ることができたのは、とても幸せだったし、幸せにふさわしく穏やかに終わったので、トータルとしてとても満足度が高い作品。 ただし、と、せっかくの大団円に水を差してしまうが、、、、、当は、まだまだ伏線が回収しきれていない、と思うのだ。これは編集部と作者の「選択」ではあったのだと思うが、小作品にし過ぎてエピソードをバラバラにし過ぎたというのが感想。たぶん超人気作品なだけに、「引き伸ばし」をすることになったんだと思う。そういった「ダレ」のようなものは、かなり感じていた。特に、祥子と祐巳が、それぞれに両想いになった

    『マリア様がみてる ハローグッバイ』 今野 緒雪著 ついに祐巳・祥子編の終わり、大好きだが一点不満があります! - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2009/01/11
    曰く,「ここに僕は1点不満がある。」「小笠原祥子の本質にまで踏み込まなかったと思うのです。」「最終的に終わってみると、祥子の内面の救済を深く本質的なところで達成できる力があるのは、彼だけだというのが
  • 魔法先生ネギま!220~223時間目 (1) 現代の受け手は「我慢がきかない」?~過去編の位置づけをどう考えるか? - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    あまりに面白かったので、久々の分析を。 ■過去編をやりすぎると現在のステイタスがロストする?〜古典的な骨太の物語か?それともキャラ萌えか? この「旅立ちのラカン編」は、僕にとってはたまらなく面白いシリーズで、なんでたった数回で終わってしまうの?と、憤ってしまいました(笑)。これは、マクロ的にいうと、長期連載をしているときによく発生する主人公などの過去を描く、いわゆる「過去編」の位置づけをどう扱うか?って問題だと思うんです。だって、上のシーンとか見てんも、シリアスすぎるでしょう(笑)。普通の漫画ならばこの過去編だけで、1巻分くらいは余裕で尺を取ると思うんですよね。 なぜ、それをしなかったか?というのが今回の考察の目的です。長々書くので、テキトーにお付き合いください。 ちなみに僕の感想は、ああ、確かにこの話ならば、短くかなり端折って言いたいことを、慙愧の念に苦しみながら削らざるを得ないだろうな

    魔法先生ネギま!220~223時間目 (1) 現代の受け手は「我慢がきかない」?~過去編の位置づけをどう考えるか? - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2008/12/20
    曰く,「ルルーシュもネギまもなんだが、昨今の物語には、〈感情移入の対象の誘導〉がうまくできないという現象が起こるんですよね。」
  • 『GUNSLINGER GIRL』 6〜10巻 相田裕著 成熟した大人の恋の物語の挿入から生まれる立体感 - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    たしかに、超法規的な世界というのは、ある意味惨劇の死の世界であり、その生と死をつかさどる世界は、容易に聖化されやすく、綺麗だ。この作品に無常観や諦念というテーマを見つけるのはたやすい。でもその綺麗さを舞台装置のみで使うのは、ただ単に設定だけの作品で終わってしまいかねない。以降に期待する作品ですね。 『GUNSLINGER GIRL』 相田裕著 聖なる残酷さ〜美しいが納得できない世界観 http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20081025/p1 以前の書評で僕はこう書いた。ただ、いま思うと「ただ設定だけに終わる」ではなく、無常観や諦念というテーマ性・世界観に、作者が自ら選んで留まっていたのだ、ということがわかる。既に、もうこの世界観だけで、完全に世界が完成している。巻の途中で評価するのは、物語性のダイナミズムを重視する僕には珍しいのだが、この作品は既に

    『GUNSLINGER GIRL』 6〜10巻 相田裕著 成熟した大人の恋の物語の挿入から生まれる立体感 - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2008/10/29
    曰く,「この精密な背景の書き込みと、政治家やマフィアなど年長の人物造形の書き込みと、そして、相田さんのこれまでの得意な関係性ではない...対等な男女の恋愛を描けた時に、すべてがそろったんだと思う。」
  • 『GUNSLINGER GIRL』 相田裕著 聖なる残酷さ〜美しいが納得できない世界観 - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

    評価:★★★☆星3つ半 (僕的主観:★★★★星4つ) ■美しいが納得できない〜しかし残酷さに彩られた静謐な世界観ほど美しいものはない・・・・ 親に殺されたり、スナッフムービー(殺人ビデオ)で殺されかけた少女たちなど、もう生きる意味さえないような悲惨な目で、なにもしなければそのまま死んでいく少女たちを拉致して、政府の裏の活動に従事させる。彼女たちは、与えられた「義体」によって、兵器と化し、対テロの超法規的な活動(=暗殺がメイン)をさせるという設定。この「義体」の設定は、士郎正宗さんの『攻殻機動隊』を連想させられる。けれど、僕が一番に連想したのは、リュック・ベッソン監督のフランス映画『ニキータ』それに『LEON』だった。 攻殻機動隊 (1) KCデラックス 士郎 正宗 講談社 1991-10 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools 二キータ アンヌ・パリロー,

    『GUNSLINGER GIRL』 相田裕著 聖なる残酷さ〜美しいが納得できない世界観 - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
    genesis
    genesis 2008/10/26
    曰く,「酷評しているようだけど、嫌いではないんですよ。 物凄く暗い救いようのない設定なんですが、胸がほっと温かくなる感じがするので。世界が暗ければ暗いほど、小さな灯りが胸を打つものですから。」