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ブックマーク / antimainstreameconomics.blogspot.com (264)

  • マルクス その4

    人間は労働しなければ生きてゆけない。これは経験的事実であり、たとえ個々の人間は労働を免れることができても、誰かが労働しなければ、人間社会は成り立ちません。 しかし、労働時間を短くすることは可能です。また労働をアダム・スミスや他の古典派の人々が捉えたような「労苦」(toil and trouble, or toil and moil)ではなく、楽しい人間の仕事(work)に変えることも、決して不可能ではないはずです。これを実現することがモラルサイエンスとしての経済学来の課題のはずです。 しかし、現実の経済社会では事態がそのような方向に変化するとはとは限りません。むしろ、それを押しとどめようとする力学が働いているのではないでしょうか? ケインズが指摘したように(『ケインズの講義 1932ー35年、東洋経済新報者、1992年)、現代の経済は「企業家経済」です。企業家は投資し、人々を労働者とし

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    gruza03 2014/01/04
    結局、賃金と利潤の分配関係を決めるのは、企業家と労働者の力関係(労使関係)であり、それに影響を与える制度的与件に他なりません。
  • マルクス その3

    スコットランド啓蒙の一人、アダム・スミスの『諸国民の富』(1776年)は、マルクス以前に労働価値説を説いた書物である。 スミス『諸国民の富』の労働価値論は、次のような内容になっている。(社会的)分業の下で、人々は、異なった生産物(商品)を生産し、市場で貨幣を媒介として交換する。しかし、媒介物を捨象すれば、残るのは異なった人の間での異なった商品の交換である。 仮に人が標準的には10時間の労働を行うと仮定しよう。人々はこの10時間の労働の生産物をお互いに交換する傾向を持つであろう。何故か? もしある人(A)の7時間の労働生産物が別の人(B)の10時間の労働生産物と交換されるような事態(労働時間から見た不当か交換)になった場合、BもAと同一の生産物を生産し、人と交換することを選好するであろう。もちろん、より少ない労働時間で同じ生産物(または貨幣タームでは所得)を得ることができるからである。もちろ

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    gruza03 2014/01/04
    アダム・スミスの場合、生産に多くの資本ストック(設備、器具)が必要になり、人々が「主人」(企業家)と「奉公人」(労働者)に分かれる資本主義経済では、以上のような労働時間にもとづく交換はなくなるという。
  • マルクス 2

    マルクスの経済学(または経済学批判)については、今日の時点で、どのような側面が大きな意義を持っているのか? まず言いうるのは、資主義の制度・システム分析の面で、マルクスの経済学は新古典派の経済学などを大きく超えていることである。マルクスの後に、この点で大きな貢献がなされたが、マルクスの分析は基礎理論として意味を失っていない。 しかし、大問題となってきたのは、労働価値説である。 労働価値説というと多くの人々、特に専門家でない人は、すぐに相対価値論を考えるようである。相対価値論というのは、一定量の商品Aと一定量の商品Bが同じ価格であるとき、それらに投下された労働量は同じである(例えば10時間労働の産物である)といったことである。 この相対価値論が証明しがたい議論であることを説明するのは、それほど難しいことではない。実際、例えばインド人の生産する商品£100と英国人の生産する商品£100を比較

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    gruza03 2014/01/04
    科学が依拠している経験主義の土壌から決定的に離れてしまう。それは新古典派の依拠する心理的な「効用」が客観的に計測不能であるのと、同様である。
  • マルクス 1

    元IMFのエコノミスト、Nouriel Roubini がグローバル金融危機の勃発に際して、「マルクスは正しかった」と発言したことは、その道の人ならばよく知っているだろう。 マルクスが資主義経済の科学的分析の点で偉大な経済学者であったことは、言うまでもない。20世紀の最も偉大な経済学者がケインズとカレツキであったとするならば、資主義的生産様式の包括的な制度分析を行った『資論』(Das Kapital, 1868〜)の著者は、19世紀を代表する経済学者である。 これに対して人は言うかもしれない。彼の構想した「共産主義」は失敗し、崩壊したではないか、と。しかし、その言説は正しくない。彼はソ連圏や中国で建設された計画経済や国家社会主義を推進者ではなかった。むしろ彼はそれの批判者であった。そのことは、彼の影響下にあったSPD(ドイツ社会民主党)の綱領的文書を読むことでもすぐに理解できる。計画

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    gruza03 2014/01/04
    ケインズが偉大であっても、カレツキの経済学の方により合理的な核心があることがあるように、マルクスも絶対視する必要はない。
  • 貨幣数量説 再論

    シカゴ学派は、左辺の中央銀行によって決定される外生的・独立的な貨幣的要因(特に貨幣量M)が右辺(特に価格P)に影響を与えると説き、その際、時間差(半年から2年ほどの間で変動する)を根拠にMの変動が原因であり、Pの変動が結果であると主張する。時間的に先行する要素が原因であり、後で生じる要素が結果であることは、否定できないというわけである。例えばある人(A)が別の人(B)をたたいたので、B が怒る場合、Aが最初に行った「たたく」という行動が原因であり、Bの「怒り」はその結果である、のと同じである、と。

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    gruza03 2014/01/04
    時間差が発生するもう一つの理由は、貨幣に対する(実物生産のための需要ではなく)金融的需要に求められるかもしれない。
  • 近年の日本における賃金率の低下について

    このブログでも何度も取り上げたように、近年の日では賃金率が傾向的に低下してきた。その低下は、貨幣賃金率(名目賃金率)についても、物価指数を考慮した実質賃金率についても、生じている。また特に1997年、2001年、2008年と内外の強いショックが生じたときに、それらと同時に生じているという特徴が見られる。ただ2002年春から2006年春の「史上最長の景気回復期」とされている時期には、貨幣賃金率の低下はストップしている。とはいえ、この時期にも賃金率の目覚ましい上昇が観察されたわけでは決してない。よく知られているように、この景気回復期は、日の輸出量・輸出額の対GDP比が顕著に増加した時期でもある。しかし、それでも賃金が引き上げられることはなかった。ただその低下にブレーキがかけられたにすぎない。この時期には消費支出(貨幣額)もきわめて緩慢に拡大しただけであり、決して好景気の局面が現れただけであ

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    gruza03 2014/01/04
    かつてケインズが述べたように、労働者は(インフレによる実質賃金の低下は受け入れても)貨幣賃金の引下げには頑強に抵抗する。
  • 消費増税の影響 その2

    2)歴史的見地 ここでは、まず政府が増税しながら、支出を増やさなかったケース、つまり財政再建を目的とする緊縮財政(austerity)政策を実施した場合を紹介することから始めることとする。その最もよく知られているケースの一つは、1979年5月に政権についた英国でサッチャー首相(当時)によって始められた緊縮財政・マネタリズム政策であり、いま一つのケースは、1997年に日の橋首相(当時)によって実施された財政構造改革である。いずれの場合も、その結果は、かなり深刻な景気後退であった。 1 サッチャー首相の緊縮財政・マネタリズム政策 サッチャー氏(今年物故した英国の元首相)の経済政策の実態は、イギリスの経済学者N・カルドア氏(原正彦・高川清明訳『マネタリズム その罪過』日経済評論社、1984年)がよく分析している。ここでは、まず同氏の『世界経済における成長と停滞の諸原因』(Causes of

    消費増税の影響 その2
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    gruza03 2014/01/04
    1979年から始められたイギリス(サッチャー政権)のマネタリズム政策の失敗、それは公共支出の削減と租税負担の激しい増加の組み合わせによる公共部門赤字の削減策(緊縮財政政策)の壮大な失敗を示すものでもあった
  • 消費増税の影響 その1

    消費税の5%から8%への増税の実施をめぐって政府内でも実施論・慎重論などが飛び交っている。それが日経済にどのような影響を与えるのか、もちろんそれは大問題であり、結果次第では安倍内閣の支持率があっという間に暴落する可能性も高い。 ここでは、理論的および歴史的な見地から問題を簡潔にみておこう。 1)理論的見地 まず3%が量的にどれほどになるかをみておこう。国民経済計算によると、2012年度の消費需要は384兆円ほどであるから、いま仮にその数字をもとに推論し、その全体に消費税がかかると考えると、11.5兆円ほどの増税となる。GDPは473兆円ほどだから、それはGDPのおよそ2.4%に相当する。 これほどの増税が経済に与える影響をみるために次の点を考えなければならない。 1 まず考えなければならないのは、GDPの2.4%にあたる金額(11.5兆円)が人々(個人部門、家計部門)から政府に移転するこ

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    gruza03 2014/01/04
    政府の態度であるが、それはもちろん経済政策次第である。もし政府が消費支出をまったく増やさないならば、政府の側から発する有効需要は増加しない。その結果は、相当な景気後退=不況である。
  • 服部茂幸『新自由主義の帰結』(岩波書店)を推薦 「なぜ、このような世界になってしまったのか」

    今日は、新しく出版された岩波新書を推薦します。 私の講義(経済学入門)を履修している人は、是非、読んでください。 また世間一般の人も、アベノミックスを信じている人も信じていない人も、是非、読んで欲しいと思います。 同書は、⑴なぜ失業率が上がるのか、⑵なぜ賃金が停滞する(または低下する)のか、⑶なぜ金融危機・財政危機・通貨危機が頻発するのか、⑷なぜ1%と99%の間の格差が拡大するのか、を「新自由主義レジーム」という視角から分かりやすく説明しています。 結論的に言えば、アベノミックスは、この「新自由主義レジーム」から抜け出すのではなく、むしろそれを追求するものです。 安倍政権は、日銀に「異次元の金融緩和」を強要し、それによって年あたり2%のインフレーション(平均的な物価水準の上昇)を引き起こし、このインフレーションを通じて、景気を回復させると言っています。 しかし、まともな経済学に、インフレー

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    gruza03 2014/01/02
    「新自由主義レジーム」米国の「失われた40年」この40年間に労働生産性の2倍以上の上昇にもかかわらず、労働者の平均的な実質賃金率(1時間あたり)は低下。⑶なぜ金融危機・財政危機・通貨危機が頻発するのか
  • なぜ景気は悪化するのか? ポスト・ケインズ派の経済学

    景気がよくなったり、悪くなったりするメカニズムを説明します。 そのためには、1)マクロ経済の基礎(三面等価)、2)景気変動をもたらす最大要因としての有効需要、3)所得分配と有効需要の関係、という3つのことを理解する必要があります。 1)マクロ経済の基礎(3面等価) 社会全体の経済(マクロ経済)は、個別の経済主体の経済活動(ミクロ経済)の集計という側面(一面)を持っています。 社会全体で産出された生産物は、商品として販売され、人々に収入(所得)をもたらしますが、さらにそれらの所得は支出され、需要(有効需要)を構成します。有効需要とは、企業にとっては生産した商品が売れるということを意味します。この循環(サーキット)のどれからはじめてもよいのですが、ここでは、所得から始めます。 所得は、大きく賃金と利潤に分かれます。いま所得をY、賃金をW、利潤をRで示すと、次の式が得られます。 Y=W+R   

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    gruza03 2014/01/02
    現代の資本主義経済 「不思議の国のアリス」が迷い込んだ魔法の国では、一カ所にじっとしてためには、走らないといけませんが、それと同じような状態です。
  • 所得二極化の実態 森ゆうこ氏が予算委員会に資料を提出

    森ゆうこ議員が「戦後最長」と言われた小泉政権時の「景気回復期間」に所得格差が拡大したこと(二極化)を示すグラフを国会予算委員会に提出しています。 資料のもととなったのは、私も以前使ったことのある国税庁の「民間給与実態統計調査」です。 ちなみに、景気回復というのは、2期(3ヶ月が一期です)続けて前の時期より実質GDPが増えている(減っていない)というのが定義です。決して景気がよいという状態を意味するわけではありません。実際には、うんと景気は悪かったのです。この間の成長率は、ほとんどの年で0%は超えていたものの1%程度で、非正規雇用の拡大とともに貨幣賃金は低下していました。1%程度というのは、ほとんど生活様式の変化にともなう必要部分であったり、誤差であったりします。 他方、こちらは財務省の法人企業統計でも確認できますが、企業の経常利潤は増加、大企業(小企業は異なります)の役員報酬も増加し、その

    所得二極化の実態 森ゆうこ氏が予算委員会に資料を提出
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    gruza03 2014/01/02
    この間の成長率は、ほとんどの年で0%は超えていたものの1%程度で、非正規雇用の拡大とともに貨幣賃金は低下していました。
  • 賃金を下げれば失業率が下がるというトンデモ理論

    橋下徹氏が最低賃金を下げれば、雇用が増え、失業率が下がると言ったようですが、これほど現実離れしており、欺瞞的な議論はありません。一般的には、最低賃金に限らず、実質賃金を下げれば失業率が低下するという(世の中で横行していて、半ば常識化している)議論が行なわれていて、最低賃金率の引下げによる雇用拡大という主張はその一部をなしています。もちろん、実質賃金を下げるためには(一番簡単な方法としては、例えば)企業が製品価格を据え置いたままで、貨幣賃金率を下げる必要があります。 しかし、実質賃金引下げによる雇用拡大という議論は成立ません。その理由は、私のホームページ(社会経済時評)でも取り上げましたが、今日は、理論をいったん離れ、現実世界の実相からせまりたいと思います。これは1930年代にアメリカ経済学者、ダグラス大佐が行なったものに近いものですが、ダグラス大佐は当時の統計を詳細に分析して「賃金の理論

    賃金を下げれば失業率が下がるというトンデモ理論
    gruza03
    gruza03 2014/01/02
    ケインズの批判した新古典派の雇用理論を宣伝している人々がいます。そのような経済学者はまともではありませんので、相手にする価値もないと思います
  • TPPと農業  モンサントと一味が裏庭にやってくるのはすぐ間近

    TPPに関連して、Andrea Brower という人がISDS条項(投資家・国家紛争処理に関する条項)の怖さを紹介しています。今では、よく知られていることかも知れませんが、具体例が記載されていますので、一部を紹介します。 「こうした民間の裁判所は、会社の経済的利益をいつも政府の権利より優先します。NAFTAのISDS条項の下で、メキシコ政府はHigh Froctose Com Syrupに対する課税のために3つの別々の会社に訴えられ、1億7千万米ドル近くを支払わされました。ISDSの歴史における最高の貨幣的報酬は、昨年執行され、そのとき、エクアドルは彼らの石油契約を終わらせるためにOccidental Petroleum Corpに17億7千万ドルを支払うことを命じられました。わたしたちは、ニュージーランドにおける資産売却に関する最近の論争を考え、また民主的な過程と対話の結果であるべき決

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    gruza03 2014/01/02
    ISDS条項(投資家・国家紛争処理に関する条項)の怖さ「こうした民間の裁判所は、会社の経済的利益をいつも政府の権利より優先します。
  • TPPに思わぬ一撃:チリの交渉担当者が厳しく非難

    TPP交渉のラテン・アメリカのチリ代表者として長らく交渉に参加してきた人物(ロドリーゴ・コントレーラス氏)が辞任し、TPPにおける「高所得国」(もちろん米国です)の要求を「われわれの国々(ラテン・アメリカ諸国)に対する脅威」としてきびしく批判し、ラテン・アメリカ諸国が協定に同意しないよう呼びかけました。 しかし、TPPはラテン・アメリカ諸国だけでなく、日を含むアジア諸国やオセアニア諸国の普通の人々にとっても、米国にとっても99%には脅威です。 TPPは、今日世界で交渉されている最も重要な協定の一つである。交渉中の諸問題のより深く、広い取り扱いと関係する国の数と重要性のために、TPPは、その地理的な範囲を超えており、将来の貿易交渉の基調を構築することになるだろう。ラテン・アメリカの数カ国における貿易政策は、総じてTPPの目的と一致する。しかし、それはわれわれが如何なる形であろうとこの新しい

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    gruza03 2014/01/02
    ・・・高所得国の現実に応じて計画されたモデルの押しつけを拒否することが決定的に重要である。高所得国は他の参加国とはきわめて異なっている。
  • 安倍政権下の日銀の金融政策

    大胆な金融緩和政策(量的緩和、政策金利の引下げ)によって貨幣供給を増やし、2パーセントのインフレーションを実現して(インフレターゲティング)、景気をよくする。これが安倍政権の方針、いや失礼、日銀は政府から独立した組織ですから、黒田日銀の政策スタンスだということはよく知られています。 もっとも日銀がどんなに努力しても、貨幣供給が増えるかどうかは不明です。というのは、貨幣供給というのは、日銀が市中銀行に供給する貨幣量のことではなく、市中銀行が人々(企業や家計)や政府に対して供給する貨幣量のことですから、日銀が人々や政府に銀行からお金を借りるよう命令することはできない以上、結局のところ、人々や政府の態度(期待、所得、税収、政策スタンス)にかかっています。 そこで、黒田日銀総裁が日銀だけで景気を良くすることができない旨の発言をしたのは正しいことになります。前の白川総裁もそうでした。さすがに日銀マン

    gruza03
    gruza03 2014/01/01
    景気がよくなるということは国民所得が増えるということであり、しかも国民所得は賃金と利潤の合計以外の何物でもありません。利潤は増えても、賃金は増えない(増えなくともよい)と考えているのでしょうか。
  • 安倍政権と新日銀の「近隣窮乏化政策」

    自国通貨安を始めとする方策を通じて外国への輸出を増やすこと(つまり外需依存)によって経済成長をはかる方法を「近隣窮乏化」政策と呼びます。これは第一次世界大戦前に行なわれドイツとイギリスの通商戦争の原因をもたらし、最終的には世界戦争をもたらしたと考えられます。両大戦間期にも、特に不況時に「近隣窮乏化」政策が採用され、結局は戦争を導きました。そして、現在も・・・。 どうして「近隣窮乏化」なのか? それが外国人の需要(市場)を奪うことによってその国の経済成長のポテンシャルを奪うからです。ただし、輸出を増やそうとする国の側でも、輸出を促進するために「国際競争力」を上げようとして価格を抑制するために賃金を抑制します。昔もそうでした。今も、特に1992年のマーストリヒト条約後のドイツ、1997年以降の日もそうです。したがってドイツや日では、経済が成長する(GDPが増加する)のに賃金所得が増えないと

    gruza03
    gruza03 2014/01/01
    輸出を増やそうとする国の側でも、輸出を促進するために「国際競争力」を上げようとして価格を抑制するために賃金を抑制します。昔もそうでした。1997年以降の日本もそうです。
  • TPPと自民党の6条件

    TPPへの日の交渉参加に際して自民党が6条件を付したことはよく知られていると思います。この6条件が守られなければ、TPPに参加しないというものですから、来、それはTPP交渉に大きな波紋を投げ掛けることになるはずです。というのは、それは、これまで4年以上にわたって交渉されてきたことを(すべてとは言いませんが、いくつかの根底的な部分を)ひっくり返すことになるからです。 しかし、これまでのTPPの交渉参加国がそれをのむとは、到底思えません。そこで、考えられるシナリオは、次の2つだけです。 1)自民党の6条件が無視される。このとき、自民党が(あるいは日が)どのような決定をするかも2つに分かれます。一つは、自民党が公約通り、または選挙後6条件を提示したときの約束通り、TPPに参加しないという選択であり、もう一つは、選挙公約を破ったのと同様に、約束を破り、TPPに強引に参加するという選択です。私

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    gruza03 2014/01/01
    現在でもまだTPPは関税を撤廃する自由貿易協定の一種であり、農業は被害を受けるけれど、その他の分野では国民に利益がある位にしか考えていない(知らされていない)人がかなりいます。それはまったく事実ではない
  • TPPの ISDS(投資家・国家紛争解決)条項

    TPPが秘密裏に密室で行なわれていることは、よく知られている通りです。しかし、米国を始めとする多国籍巨大企業の経営者たちが密室の会議に招かれ、彼らの要望を聞き入れられていることはどうでしょうか。米国の議会関係者が蚊帳の外に置かれているにもかかわらず、です。 このことは、TPPの性質をよく示しています。それは様々な人々が示唆しているようにグローバルな「企業支配」(corporate domination)の強化に他なりません。よくTPPを評して、「全領域にわたる貿易自由化」を実現するものという人がいたり、米国の利益を実現するための経済戦略から出てきたものという理解を示す人がいます。それはまったく的外れではないかもしれませんが、正確な理解ではありません。まずTPPは国際貿易だけに関係するのではなく、経済・社会生活のほぼ全領域に関係します。またそれが2008年、米国のブッシュ政権から提案されたも

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    gruza03 2014/01/01
    政府調達(業務委託や公共事業)でA国の企業が J 国の企業と比べて差別されていると判断しても訴えることができます。企業の政府統治=ファシズムです。
  • GATTとWTO その2 貿易自由化と保護主義

    しばしば貿易自由化と保護主義は、対立概念であり、和解不能な二物であるかのように扱われます。しかし、当にそうでしょうか? ご存知の通り、リストは19世紀前半に活躍したドイツ人の経済学者であり、ドイツ歴史学派の祖と言われている人です。彼は、当時のイギリス自由貿易主義のイデオローグ、J・バウリング(John Bowring)と「ドイツ関税同盟」の対外関税政策をめぐって論争しました。バウリングは、イギリス功利主義の哲学者、J・ベンタムの弟子、かなり有能な弟子でした。 さて、リストの保護主義の主張は、次のように要約出来るでしょう。当時のドイツ(という国はありませんでしたが、ほぼその後のドイツ帝国の領域となる地域)の産業発展のレベルは低く、ドイツ産業は幼稚産業であり、したがってドイツ関税同盟がイギリスと自由貿易を行なったら(つまり対英輸入関税をゼロにしたら)、イギリスとの品質競争、価格競争に敗北して

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    gruza03 2014/01/01
    自由貿易、自由貿易とわめき散らすしか能のない人は、「制度とルール」を知らない者、キャッチコピーを繰り返しているだけのように見えます。
  • GATTとWTOについて その1 はじめに

    最近、GATTとWTOについて調べています。 そのため中川淳司『WTO  貿易自由化を超えて』(岩波新書、2012年)を読みました。 私はあまり人の悪口を言いたくないのですが、また岩波新書にはかなりの信頼を寄せているのですが、このはあまりいただけないように思います。 何故か? 一言でいうと面白くありません。いわゆる制度と制度史を形式的に、うわっつらだけなめただけという印象が拭いきれません。例えば政府調達について書いてあるので読んでみると、ただ透明性とか自由化が必要だとしか読めません。そこでは具体的・現実的なミクロ(微視的)な現場で何が問題となっているか、という叙述が見られません。そもそもそういう視点が見られません。しかし、実際には、私の知っている限りでも、政府調達が構造改革によって「透明性の高い」競争入札制度を入れたとき、確かに価格が大幅に低下したことは間違いないけれど、それと同時に市民

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    gruza03 2014/01/01
    「貿易自由化」の理念を持っているとしても、そういう作業を通じて現実の問題をえぐりだした時のほうが、より説得力を持つでしょう。その意味では、J・スティグリッツの叙述の方が説得的です。