アダム・スミスの『諸国民の富』(1776年)の出版から237年。この間、様々な経済学が構築されてきました。 しかし、経済学を研究し、教えている者がこう書くと、自らの営業に対する妨害のような気持ちもしますが、実は現在大学で教えられている経済学、社会で流通している経済学の理論にはきわめて大きな(致命的ともいえる大きな)問題、欠陥があります。もちろん多くの優れた経済学者がそのことに気づいており、言及してきました。例えばケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936年)は、当時の主流派=(新)古典派の経済学が「現実離れした想定」に依拠しており、したがってそれに沿って政策が実施されたならば、「悲惨な結果」がもたらされると述べることから始まっています。 この欠陥は、現在でも取り除かれたとは到底言えません。 もちろん理論には抽象性がつきものです。そして、抽象とは複雑な現実を単純化することですから