絶対にリストラしないが年収は6割になるかも--。こう社員に告げるのは勇気がいるに違いない。40年前に米国から市場調査で来日したのがきっかけで、72年、ソフトウエア会社を設立し、年商200億円にまで育て上げた。その社員約800人に08年夏、そんなメールを送った。 週休3日など柔軟な働き方を提案する一方、社内で農業や洋裁を学ぶプロジェクトを始め、「自給自足が豊かな生活をもたらす」と呼びかける。09年11月には「『年収6割でも週休4日』という生き方」(小学館)を出版した。 終身雇用制を信奉するのは、独学した松下幸之助ら日本の「古き良き」経営学から。「お客さんを大事にするには、社員が会社を好きでなくてはだめ」と、独立・転職した社員の再入社も歓迎する寛容さを示し、米国発の大量生産・消費・廃棄型の経済システムを批判する。「エネルギーや環境問題を考えると、6割の経済規模に縮小する可能性がある。給料は守れ