筑波大学教授 溝上智恵子 今、情報技術の進展に伴い、公共図書館は地域の情報センターとしての役割を担いつつあります。一方、日本は高齢社会に突入しています。そこで、今日は高齢社会における図書館の役割について考えてみたいと思います。 しかも高齢化のスピードは、他の国々がかつて経験したことのない速さで進行しています。およそ60年前の1950年、日本の高齢者比率は5%未満でしたが、2010年には世界でもトップクラスの高齢化率を誇る国になりました。 高齢化の速度を、高齢化率7%からその倍である14%に到達する所要年数、倍化年数で他国と比較してみましょう。 フランスは115年、スウェーデンは85年、アメリカは69年かかりましたが、日本はわずか26年です。いかに急激なスピードで、高齢社会に突入したかがわかります。もっとも、今後は南米やアジア諸国でも高齢化が進み、倍化年数は、ブラジルでは21年、韓国では