「介護」と言われても具体的なイメージはなく、「その時が来ればなんとかなる」と思っている人が多いだろう。これまではそれでも良かった。しかし今後はそうはいかない。高齢化で介護や医療のインフラは圧倒的に足りなくなり、「家族介護」の時代に逆戻りしかねない。人口は減り、国の財政がさらに悪化し、年金不安も増す。この最悪シナリオの主役は高齢者だけでなく、国民全員だ。2040年に向かって何が起ころうとしているのか。【毎日新聞医療プレミア/吉永磨美、鈴木敬子】 <連載「介護崩壊」トップページはこちら> 「民間経営の有料老人ホーム」に1カ月27万円! 年をとって施設に入るとき、いったいどのくらいの費用が必要かみなさんはご存じだろうか。名古屋市のサトシさん(仮名、80歳)の例を紹介しよう。 介護付き有料老人ホームで暮らすサトシさん。入所してもうすぐ2年になる 2年前に血管の病気を患い、認知症が進行したため市内の