Tech-On!のN副編集長が苦笑いの表情を浮かべながら筆者の机に近寄ってきた。N君がこのような表情をするのは,何か問題が起きたか,筆者に文句があるときである。少し身構えていると,「ブログ読まさせて頂きました。しかしですね…」と言う。 彼の言うブログとは,前回の当コラムである。その中で,日本の半導体メーカーが1970年代から1980年代にかけて,過剰技術で過剰品質を作る「技術文化」を形成した,というくだりについて,N君は言いたいことがあるようだ。そういえばN君はこの時期に半導体メーカーに在籍していて,まさにその渦中にいたのである(日経マイクロデバイスのブログ記事)。 「我々はコストダウンのことも考えていた」 N君は,当時の半導体メーカーは品質を上げることばかり考えていたわけではなかった,と語る。「確かに,私の場合,要素技術の一つであるリソグラフィの合わせ精度の極限を追求するという仕事をして