大切な人を失う経験において、亡くすということと相手が生きたまま変わっていくのを見守るのは、どちらのほうが辛いことなのだろう、と思う。 いっそのこともう二度と会えない方が楽なのか、どんな状態でもいいから生きていてほしいと思うのか。 相手が少しずつ「その人らしさ」を失っていったとして、どこまで私たちの愛情は続くものなのだろうか。 *** 小室哲哉さんの引退会見書き起こしを読んで、一番苦しくなったのは妻のKEIKOさんがもう音楽への興味を失っている、というくだりだった。 「KEIKOは歌手として大きな存在だったと思うんですが、残念ながら音楽への興味は日に日に減ってきています。カラオケに誘ったりCDを聴いたりしても興味を持ちません。最初期に無理やりレコーディングスタジオに連れて行って1曲歌ってもらったけど、それ以降はもう歌うことはなくなりました」夫である前に一人の音楽家として、KEIKOという歌手